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あっちゃんは、甘やかしたい。(焼き直しver)

作者: ヴぃc

以前に「あっちゃんは、甘やかしたい」をブックマークや評価してくださった方、ありがとうございます&すいませんでした。

誤作動で作品を削除してしまった為、何とか思い出そうと書いては消し、書いては消しをモダモダしていた結果全く同じものになりませんでした。なるべく覚えてる範囲は盛り込んだんですが、前作とテイストが変わってしまっていたらもうしわけございません。

 「あつし君こんな所で会うなんて偶然だね。」

 「誰だっけ?」

 韓国モデルをコピーした様なキラキラした女の子が、私の腰を抱いて歩くあっちゃんに声をかけてきたけど、私に挨拶どころか、目で挨拶すらもなかった事にイラついたあっちゃんは、このキラキラしい女子をスルーしちゃうっぽい。

 「もうふざけちゃってぇ。同じゼミの山川だよぅ。せっかくだから、あそこで一緒にお茶しない?」

 山川さんのメンタルは強いらしく、どんどん表情を無くしていくあっちゃんを果敢に攻めていく。自分が男性にどう見られているか知り尽くしたいわゆる肉食系女子なんだろう。そして相変わらず私の事はガン無視している。

 「あんたさぁ、俺今デート中なの。空気読めないバカ女とお茶するわけないだろう。のり、行こう。ん?どした?」

 前半のセリフは冷たく、後半のセリフは私の目を覗き込んで甘い声でささやくあっちゃんに私、茹でダコよりも赤い顔してる自信がある。今日もあっちゃんは、はちみつよりも甘々でイケメンです。

 

 高3で同じクラスになったあっちゃんと私は、委員決めの時に、同じ美化委員になってしまった。本当は図書委員になりたかったのに、あっちゃんが美化委員に立候補するとクラスの目立つ女の子達はこぞって美化委員に立候補した。じゃんけんで決めるのかなぁと、のんびり眺めていた私の平穏はこの時終わりを告げることになった。

 「君たちいつも掃除おとなしい子達に押し付けてんじゃん。市川さん美化委員一緒にやろうよ。」

 「えっ!?私?」

 察しのいい読者の皆さんなら解るよね。そう私「市川 法子」はぽかぁんと口を開けたままフリーズしてしまっったのだ。それをしり目にあっちゃんは、すたすたと黒板まで歩いて行くと、書記の横山さんからチヨークを取り上げて私の名前を美化委員 内田 敦と書いてある下に書き足した。 

 物凄い怖い目で私をにらみつけてくる美化委員に立候補していた女の子達の視線から逃れたくて、猫背の背中を益々丸めてうつむく事でやり過ごすしか無かった。

 

 「市川君、掃除道具入れの上に乗ってる段ボール取って。」

 「うん。」

 何故か、あの委員決めから私は女子から君付けで呼ばれるようになった。身長も高く日焼けした私はお世辞にも女性らしいとは言えないけれど、それでも男子扱いはナイと思う。きっと、目立つ系女子が暗黙の了解で、あんたなんか内田君に女子として見られて無いんだからねと伝えたいんだろう。

 「のり、俺が取るよ。」

 ひょいっと背中越しから手が伸びて、内田君が掃除道具入れの上から段ボールを降ろしてくれた。

 「こういう事は近くにいる男子に頼めばいいよ。うちのクラスの男子フェミニストだから。」

 私に頼んできた伊藤さんにそう伝えると、振り返って

 「のり、もう用事済んだなら一緒に帰ろう。」

 にっこり笑った内田君は、いきなり名前で呼ばれて固まっている私の手を引いて机にひっかけてある鞄を2人分抱えて廊下に出た。何故に名前呼び?何故に一緒に帰るの?頭の中はハテナでいっぱいだし、エマージェンシーコールは鳴りっぱなしで動揺を抑えられない私は、あっちゃんにドナドナされたのだった。


 そんな胃が痛くなるような事件からグイグイくるあっちゃんと、いつの間にか私は付き合うことになっていた。あっちゃんの甘い声で

 「ん?どした?」

 と顔をのぞき込まれると私は否と言えないのだった。

 

 その当時の学校生活を振り返ると今でも胃が痛くなる。

 「のり、俺バイト代が入ったから靴買ってやるよ。」

 「この前も洋服買ってもらったし悪いからいいよ。」

 「いいからいいから。あっちの店のり好きだろ?」 

 腰に手を回したまま目当ての店まで連行される私。あっちゃんは、どうして私と付き合っているんだろう。あっちゃんならどんなかわいい子でも選び放題だと思うんだけどな。ぴったりくっついて離れないあっちゃんの横顔をそおっと窺う。

 「ん?どした?」

 「……何でもない。」

 「何でもない訳ないだろ?今思ってる事話して。」

 「……どうしてあっちゃんが私なんかと付き合ってるのか不思議になって。」

 あっちゃんの顔が近づいてきてチュッとリップ音をさせながら、私の唇をついばんだ。ここ外!公衆の面前であっちゃん何してくれるんだ。さっきよりも顔は赤くなっていると思う。

 「のりが好きだからに決まってんじゃん。今さらそこ疑問もたれちゃうと、俺自信無くなるなぁ。俺の愛情をもっとのりに注がなくちゃ。」

 お目当ての靴屋に到着すると、あっちゃんはブーツコーナーを物色し始めた。ウェッジソールの黒いブーティーをあっちゃんが渡してきた。

 「のり、履いてみ。」

 「それちょっとヒールが高くない?」

 「ウェッジソールだから、ちょっとぐらいヒールがあってもよたよたしないよ。履いてみ。」

 そのブーティーを履くと確実にあっちゃと目線が同じになってしまう。どうやって断ろうか困ってもじもじしていると、

 「俺がチビだからって、のりが猫背になったりちょこっと膝を曲げたりする事無いし、ヒールの有る靴を我慢する事無いんだぞ。」

 「ぺったんこの靴しか履いたことが無いから、そんなヒールの高い靴で歩ける気がしない。」

 「だから、このブーツ履いて歩く練習すればいいだろ?」

 おずおずとブーツを受け取って試着してみた。あちゃー。やっぱりあっちゃんと同じ目線だ。

 「なんか地面が遠く感じて怖い。」

 「そのうち慣れるから。」

 そう言ってさっとキスをしたあっちゃんがニヤリと笑って

 「同じ身長だと歩いていてもキスしやすそうだな。ん?どした?」

 わなわなと羞恥で震える私の顔を両手で包み込んでうっとりと眺めるあっちゃん。

 「もう。恥ずかしいから外でのキスは禁止。」

 「いいじゃん。のりは俺の女なんだってみんなに見せびらかしてるんだから。すいません。これ履いて帰ります。」

 店員さんも目のやり場に困っただろうけれど、私も恥ずかしくて顔があげられなかった。恥ずかしすぎて2度とこのお店に買い物に来れない。

 「ほら、俺につかまってれば転ばないから。もっとくっついて。」

 また私の腰に手を回すと、あっちゃんは店の出入り口に向かった。普段と視界の位置が違い過ぎて怖い私は、あっちゃんにしがみついて必死に足を前に出す。

 「のりがこんなに積極的にくっついてくれるならもっと早くヒールの高い靴を買ってやればよかった。俺たち付き合いだしてもう長いんだから、いい加減にその恥ずかしがるのやめてもっと俺に甘えてよ。」

 口を尖らせて拗ねるあっちゃんは、ちょっと子供っぽくて、いつもの余裕綽々のあっちゃんより好きだな。と思ったのはナイショ。

ちゃんとマニュアル見てバックアップのダウンロードをしました。

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