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時の精霊の契約者  作者: 棒人間EX
時は動く
6/13

五話 父親

[聖域の森]を[聖なる森]に変更しました。

文章少し変更しました。 8/13

「答えよ!貴様は此処で何をやっている?」

 勇者≪タチバナ・ハヤト≫は貴族と衛兵を問い詰める。そのプレッシャーはやはり勇者というべきか、俺も含めて周囲に居る人は皆怯えている。

 そんな中、さっき俺を殺そうとしていた衛兵が口を開く。

「わ、私は、そこにいらっしゃる、[ジョシュ・フリアン]様が、無能が私の親を殺した、とおっしゃっていたので、その証言を元に無能を殺しに来ました」

 最初こそ怯えていたものの、段々と俺に対する謎の恨みの方が強くなっている気がする。騒ぎを聞きつけ部屋の前に集まっていた避難民たちは、小声で俺の事を罵っている。

「あれ、無能だわ。何?あの悍ましい眼と髪の色」

「本当。何であいつまだ生きているのかしら?」

「魔物騒動はあいつのせいじゃないか?」

「勇者様、そんな無能早く殺してください。殺人犯の無能なんて俺達の子供じゃない」

 実の親からも拒絶された俺は絶望した。

 俺より金の方が大事か。やっぱり俺は生きていちゃいけないのか。

(大丈夫ですよ)

 また、ハクアの声が聞こえる。何が大丈夫なんだ?

(すぐに分かりますよ)

 あぁ、何だろう。ハクアの声がとても暖かく感じる。少し、信じてみるか。ハクアは俺の相棒だしな。

「勇者様、早くこいつを殺す許可を下さい。こいつは殺すべき人間だ!」

 ジョシュ・フリアンが俺を殺す許可を求めている。その顔にはとても気持ち悪い笑みが浮かんでいる。

「俺は差別を無くすために戦ったのにこれとは...」

「はい?こいつは差別するなどという問題ではありません。何の役にも立たない無能です。そんな奴を生かしていても、ただ食料を消費するだけです」

 ジョシュ・ふ...めんどくせぇ!貴族は、俺をどうしても殺したいみたいだ。

「おい、そこの衛兵!お前、剣だけならどれ位の魔物を殺せる?」

 勇者は、俺を殺そうとしていた衛兵に声を掛ける。

「剣だけでですか?そうですね...オーク五匹位でしょうか」

 確か、オークはゴブリンよりも2、3倍は強い筈だ。それを剣だけで五匹も。意外と強いんだな、あの衛兵。

「ほう、ではそれ程の剣を完璧に避けていたであろうあの少年は何の役にも立たないと、そう言っているのか?ジョシュとやら?」

「そ、それは...あの衛兵が嘘をついているんだ!あの衛兵はゴブリン一匹殺せはしない!」

「そんな奴が衛兵やってる訳無いだろう。もし本当ならば、このホニン村はもう少しボロボロだろうな」

「ぐっ...」

 勇者が貴族の発言を一蹴する。ジョシュだっけ?何であんな嘘が通じると思ったんだ?やっぱり馬鹿なのか?

「くそっ...」

 馬鹿はめっちゃ悔しそうにしている。その時だった。

「くらえゴミ屑」

 父さんが、俺に風の魔法を放った。俺はその風圧で、開いていた窓から放り出された。何故か痛みはあったが、俺はギリギリで窓枠に手をかけ、父さん...いや、屑男を睨みつけ部屋の中に戻った。

屑男の顔は青ざめている。

「嘘だろ...あの魔法、当たれば風圧で体が木っ端微塵になるはずだぞ...」

 ちょっと怖いこと言ってる。だから痛みがあったのか。

 俺は、またもや廊下の方が騒がしいのに気が付く。

「何だあの身体能力?!」

「あいつ、魔力無いんだろ?」

「無能、なのか?」

 皆、俺の身体能力に驚いている。

「[マイケル]、そいつを捕らえよ!」

 勇者の声と同時に、俺に声を掛けた来た門番の人がどこからか現れ、屑男を捕らえる。

「ぐぉっ...放せ!」

 屑男は必死に抵抗するが逃れられない。

「さて、クロト君。君はこいつらを自分の親だと思えるか?」

 唐突に勇者が屑男達に指を指しながら聞いてくる。

「思えません」

 俺は即答した。二人共結局は金だった。俺の事も見ようとはせず、自分が悪い事をしても、結局は責任を俺に擦り付けた。

 俺は昔、自殺しようとした事がある。周りの奴らに毎日毎日、無能だからお前は俺のサンドバックだ、無能だからお前は遊びに入れない、無能だから、無能だから...そう言われた。

 家の天井裏、そこが俺の部屋だった。雨漏れはするし、ネズミは居るし、Gも居るし、最悪だった。俺はそこら辺にあった木にロープを括り付け、首を吊ろうと考えた。

 首を吊る寸前に思った。


 悔しい、悔しい!無能だから?それがどうした、無能だってやればできる事を証明してやる!俺が今此処で死んだら負けだ!


 俺はそれから努力をした。結果、鬼ごっこで他の奴らに何回もタッチすることが出来た。努力がきっかけで、今の強いメンタルが出来た。

 けれど、流石に親に金で売られたのは堪えた。

 だから、あいつらを親だとは絶対に今後一切、思えないだろう。

「ふむ、それじゃあ、俺の息子にならないか?」

「はい?」

 なんだって?息子にならないか?廊下にいる人達も口をあんぐりと開けている。

「どうして俺なんかを?」

「ふむ、そうだな...君に才能を感じたのと、目の前で困っている奴を見捨てられないから、ということにしておいてくれ」

「いや、まぁいいですけど「それでは君は、今から[タチバナ・クロト]、俺の息子だ!さて、妻達に報告しなければ。行くぞクロト、あとマイケルも」...分かったよ、父さん」

 俺はその時、何となく懐かしく感じた。

 屋敷には、唖然とした人達が残った。






(あぁ、()()()()()()()()だ)





あらすじも変えました。

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