三話 訪れた危機
また会話文が多い。
「さて、取り敢えず服を調達しないと。ってか俺の服、何で消えた?」
「さぁ、私が見た時には既に在りませんでしたけど...まさか、服を着ないで此処に?」
「んなわけねーだろ!しっかし、どうすっかな...」
ハクアが服を作れたらいいんだけど、と視線を向けていると
「あ、私だけでは自分の分しか作れませんよ」
「そうか」
気付いてた様だ。ちょっと待て
「じゃあ、お前服着てろよ!何で全裸のままなんだよ!」
「忘れてました」
「...服着てくれ」
「了解しました」
そう言うと、ハクアは白い光に包まれる。
少し経って、光が収まるとそこには、白いドレスを着たハクアの姿があった。
可愛いと素直にそう思ってしまった。
「っ...さ、さて、俺の服はどうすっかな~」
「私についての感想は無しですか?」
俺は、睨んでくるハクアを無視して話を進める。
「それは、魔力を使って作り出したんだよな」
「私を無視する人には話しません」
わお、怒ってらっしゃる。もしかしてこの後、契約破棄になっちゃうのか?
「あ、それもいいですね」
「ちょっと待って、何で俺の思った事分かるの?魔法?」
「いいえ、間接的な契約ですがクロトの思ったことは私に伝わってきます」
「そ、そうなのか」
契約ってすごいな。
待てよ...こいつ俺が可愛いと思ったことも...
「い、言ってくれないと分かりません」
少し顔を赤らめながら言うハクア。
どっか、穴があったら入りたい。
「か、かわいいです、はい」
もうやけくそだ!
「...やけくそなんですね」
「もういいだろ!俺の質問にこたえてくれよ~!」
ゾデブ達にいじめられていた時、泣かなかった俺だが、今は半泣きだ。俺まだ12歳だよ。
この時の事は一生忘れない。俺の黒歴史...
「わかりました!分かりましたから、泣かないで下さい!」
何故か、ハクアも泣きそうになってる。
契約した途端にこれだ。俺、契約に関係してることの運、割と無いかも。ハクアはいいけど。
その後、全裸で話していたにも関わらず俺たちは数分間恥ずかしくて、お互いの顔も見れず黙ってしまった。
もう、全裸って何だろう。
「オッホン、話を戻しますよ」
沈黙を破るハクアの声。若干顔があK...考えないでおこう。
「まずは、私の服についてですね。クロトの思っている通り、これは魔力で出来ています。私の服のイメージを魔力を操って構成しました。これには、魔力操作の精度とイメージ力が必要なので、まず魔力を操る事が出来ないクロトには無理ですね」
「そうか、じゃあもう俺は全裸でハクアを家に連れ帰った変態になるしか無いのか...」
「待ってください、さっき私だけではと言いましたよね」
「言ってた気がする」
「その時計を使えば、恐らくクロトの服を創る事が出来ます」
「すぐに!今すぐにやってくれ!いや、やって下さいお願いします」
俺は土下座をした。だって、変態になりたくないもん。...いや、もう充分変態か。
「そんな土下座しなくてもやりますよ。クロトが捕まっては、契約した意味があんまり無いですからね」
あんまり、なのか...
「...では、いきます!」
さっきと同じ様に、俺の体も光に包まれる。眩しさで目が眩む。少し経つと光が収まってくる。
「良かった、成功です」
そう言われて、俺は自分の体を見る。俺が着ているのは、まっ黒な執事服だった。
「クロトの、少し白髪が混じった紙と片目だけ私と同じ琥珀色の眼、それとマッチした黒い執事服。めっちゃ似合ってますね~」
「え?ちょっと待て。今何て...何か焦げた匂いがする」
俺の言葉に、ハクアに緊張が走る。
「風向きからして、俺の村の方だ!」
俺はそれに気付いた瞬間、走り出していた。物凄い速度で景色が変わっていく。
「なっ?!」
自分の速度にもっと驚きたい所だが、今はそんな場合じゃない。家族を助けないと。こんな俺でも、捨てず育ててくれた家族を。
俺は森から出た所で止まってしまった。
「これは...」
後から来たハクアも止まる。
今、俺達の目の前には、魔物が溢れかえりどこの家も焼けたり壊れたりしている、村の姿だった。
文字数、前の話より少なくね