二話 契約
遅くなりました。
会話文がとても多くなってしまった。
取り敢えず状況を確認する。今俺は全裸で、全裸の少女に神殿で膝枕されている。
「なぁ、お前誰?」
「ずいぶんと率直な質問ですね。まぁ、いいでしょう。私は[ハクア]。時の神級精霊です」
「!...神級精霊だって?!」
俺は驚いて、飛び起きる。
今更だが、精霊は幾つかの位に分けられている。
下から
下級精霊
丸い形状の小さい光の塊で、属性ごとに光の色が変わる。単体で弱い魔法を放つことが出来る。基本的に魔素を食べて生活しているが、契約したものは契約者の魔力を食べる。
口が無いので話すことは出来ないが、絆を深めるとなんとなく意思疎通出来る様になる。非常に人間に友好的。
中級精霊
動物と同じ姿をしており、その姿の動物と同じ生活をしている。属性ごとに体の色が変わる。食べるものは姿による。下級精霊と同じで魔素と魔力も食べる。
発声器官も動物と同じなので会話という会話は出来ない。絆を深めれば意思疎通出来る様になる。人間に友好的。
上級精霊
中級精霊よりも何まわりか大きくなった動物型の精霊。魔物を倒して食べたりして生活している。属性ごとに体の色が変わる。発声器官は動物と同じだが、テレパシーを
使って会話出来る。人間に少し友好的。
超級精霊
中級精霊よりも小さい、人型の精霊。個体差がある為、生態は不明。属性のごとに髪の色が変わる。
帝級精霊
人間と同じ大きさの人型精霊。個体差がある為、生態は不明。属性ごとに体の何処かの色が変わる。
神級精霊
神と同じ位の力あるとされている精霊。
つまり、目の前の少女、ハクアは、自分は神だといっているようなものだ。
「それ、証明できるのか?」
「出来ません」
即答された。
「ハクアって呼んでいいか?」
「いいですよ」
これまた、即答された。
「それより、貴方が持っているその時計の方が気になるのですが」
「あぁ、これか?...あれ?針が動いてる?」
確か、気を失う前は止まっていた筈だ。ふと、ハクアの顔を見る。とても驚いているようだ。そこで、ハクアが口を開く。
「それは、魔道具です」
「魔道具ってなんだ?」
「魔道具とは、簡単に言うと魔力が込められた道具です。普通なら人、一人分の魔力程度しか込められていませんが、その時計には、私を圧倒する程の魔力が込められています」
「は?」
自称神級精霊のハクアを圧倒するほど?俺が何とも言えない気分になっていると、ハクアが
「あと、その魔道具、持ち主を選ぶみたいですよ?ほら、えっと...貴方の名前は「あぁ、クロトだ」クロトさんの右手の甲、契約の証が刻まれていますよ」
俺はそう言われて、右手の甲を見る。そこには時計のマークが刻まれていた。
「これが、契約の証か...」
自分は、魔力が無いから精霊と契約できない。でも、魔道具とはいえ何かと契約出来たことがとても嬉しかった。
「そういえば、ハクアはどっから来たんだ?俺が倒れた時いなかっただろ?」
「いえ、いましたよ。倒れるところは見てませんけど」
「え?どこに?」
「ここにあった、女の子の像は何処にいきましたか?」
「まさか...」
俺はハクアのことをじっと見る。第三者が見れば、全裸の少女を凝視している変態にしか見えないだろう。
「変態...」
「...酷くね」
「それはさて置き、私はその時計によって封印されていました」
「お前が精霊というのは、なんとなく理解したわ」
「それは良かったです」
それなら、俺が一番聞きたいことが聞けるかもしれない。
「なぁ、魔力が無い俺でもお前みたいな精霊と契約できるのか?」
「普通なら出来ません。ですが、その魔道具と契約しているクロトさんなら契約できます。何でしたら、私と契約しますか?」
「いいのか?!」
「はい。此処に居ても暇ですし、どうしますか?」
迷う事は無いだろう。
「色々大変な生活になるだろうけど、よろしく頼む」
「デレ期ですか?」
「ちげーよ」
「冗談です。こちらこそよろしくお願いします」
そう笑顔で言うハクアに俺は少し、ドキッとした。
「で?どうすればいいんだ?」
「その時計を右手に持って前に出してください」
「こうか?」
「はいそうです。では、契約の儀式をしましょう」
すると、ハクアが何かを口ずさみ始める。それと同時に俺の右手の周りに複雑な模様の円がいくつか現れ、直ぐに消える。
「これで契約は終わりましたが、一つクロトさんに言い忘れていた事があります」
「何を言い忘れていたんだ?」
「私は正確には、クロトさんと契約してはいません。その魔道具と契約しました」
「は?」
「クロトさんは時属性の適性はあるようですが、分かっているようですが魔力がありません。その為、魔力がある魔道具と契約する。そして、その契約者であるクロトさんと間接的に契約契約しているということになる訳です」
「ま、そういう事ならいいわ。あと、さん付けはやめてくれ。何かこそばゆい」
「分かりました、クロト」
俺は今まで女の子に”クロト”なんて呼ばれることは無かったから、少し嬉しかった。
「なんか、さみぃなぁ」
「そういえば、服着てませんしね」
今更ながら、未だ全裸なことに気が付く俺達だった。
今週あと一話は投稿します。