十一話 橘 隼人(前編)
遅くなってすいません。
これからの投稿頻度は一週間に一回、水曜日に、ということになります。
ただでさえ短いのにすいません。
これからもよろしくお願いします。
時属性なんて大層なもんを持たされて、素直に喜んでいいものじゃないのを聞かされ放心状態になっていた俺だが
「...戻って来て下さい」
と、ハクアの一言で戻って来た。
「思えば、眼帯なんていらないですね。私が、時計の魔力を抑えるだけですから」
「そういう事はもう少し早く言ってくれ、ハクアさん」
隣には片手に眼帯を持った、少し埃っぽい義父さんが居た。
「あ、すいません」
「そういえばその時計って、クロトが持ってる物凄い魔力量の魔道具の事か?一応隠蔽されている様だが、俺には分かる」
「そうですよ。貴方の事ですからそんな事無いだろうとは思いますが。色々と内密に...」
義父さんは、当たり前だ、という様な顔をして俺の方を向いた。
「今から話すことは、俺の妻以外には話さないでくれよ」
いきなりそう言われて、少し動揺した。
「ど、どういう事だよ?何で俺にそんな大事そうな話...」
「いいから、聞け。俺は、異世界から来たんだ」
「は?」
異世界?意味の分からない事を言われ、正直俺の事を馬鹿にしてるんじゃないかと思った。しかし、義父さんは真剣な顔をしている。この顔みたの今日何回もあったから、少し慣れた。
「分からないのは当たり前だが...まぁ、最初から話そう...」
そして、義父さんの話は始まった。
俺、[橘 隼人]は日本で生まれた。そして、特に何も無い普通の生活をしていた。
大学を卒業した後、俺は結婚をした。高校の時から付き合っていた人と。
周りからは、「お前、結婚するの早いな!ちゃんと奥さんを幸せにしてやれよ」とか言われた。
その数年後、子供が産まれた。男の子だった。
その時も家族と仲が悪い訳でも無かったし。家計も安定していたからとても幸せだった。
息子が5歳の時、娘が産まれた。それだけだったら、とても幸せだった。だが、俺の妻は娘を産んで死んでしまった。
俺は、泣いた。娘を抱っこしながら泣いてしまった。息子は、何が何だか分からない様だった。
俺は仕事を休み、子供達の世話をすることにした。心に大きな穴が開いてしまった。だが、妻が産んだ子供達を養う為にはこのままではいけないと思い、妻の父母に子供達を預かって貰うようにお願いした。二人共、快く引き受けてくれた。
それから二年。子供達も順調に成長し、仕事も上手くいくようになった。家は妻との思い出が詰まっているので、俺だけはそこに住んでいる。正直一人には広い。
俺の家と妻の実家は距離が結構離れている為、休みの日に子供達に会いに行くようにしていた。
そんなある日俺は、こんな事を子供たちの前で呟いた。
「時間は、どんどん過ぎていくな」
「だからいい。ときはうごきつづけるから、とき。それを変えちゃだめ」
息子がそんな事を言った。俺はこんな子供がそんな事を言うのか、と驚いたが
「それもそうだな」
と笑顔で返した。
休みが終わりに近づき、家に帰る日になった。
息子達に、また会いに来ると告げて家を出て、駅に行って電車に乗った。
その電車は事故に遭った。そして俺は意識を失った。
気が付くと俺は真っ白な空間に居た。何処を見渡しても真っ白。だが、周りには何人か人がいた。皆、学生らしい。
「うひょー、ラノベ展開キター!」
近くから大きな声が聞こえて来る。男子生徒の一人の様だ。何をそんなハイテンションなっているのか...俺も少し分かる。
「皆さん、静かにして下さい」
後から声がした。振り向くと、美しい一人の女性が立っていた。
「貴方達は異世界に呼ばれています。なので行く前に一つだけ忠告をと思いまして、皆さんを此処に呼びました」
「その前に、アンタ誰だ?」
さっき、ラノベ展開とか叫んでいた奴(後で田中 太郎とかいう名前だと分かった)か。
女性の正体...此処に居る人は全員分かっている筈だ。そう、かm
「私は、光の神級精霊です。名前はありません」
え?神様じゃないの?一応俺も、ラノベ読んでいたからそうだと思ったんだけど。
「神級精霊?」
「そう、貴方達を呼んだ世界の最高位の精霊です」
「え?チートをくれるとかじゃないの?」
「私にはそんな力は...いえ、この中で一人だけ私と契約する事が出来ます」
その言葉で、場がざわついた。
至る箇所から「俺と!」「いえ、私と!」とか聞こえてくる。しかし、俺は覚えている。
「その前に、忠告って何だ?」
俺のその質問に、皆静かになった。だが...
「そんな事より、早く行かせてくれ!」
田中が言った。それに続き周りも、「俺も!」「私も!」と口々に言った。
すると、精霊様の横に光の門が現れた。
「分かりました。それなら、行きたい人は此処を通って下さい。私と契約する権利がある人は後で直接会いに行きますから」
その言葉と同時に周りの人が殆ど、門に入っていった。
残ったのは、俺と控えめそうな青年と気の強そうな少女だけだった。
「貴方達は忠告を聞いて下さるのですね」
俺達は全員頷いた。
「それでは言います。このまま何もせずこの門を通って異世界に行くと死にます」
その、衝撃的な言葉に俺達は何も言えなかった。
橘隼人視点が少しの間続きます。
息子の名前気になりますか?




