優しい魔狼
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(`・ω・´)ゞ
フローズは、疲れの余りにそのまま寝てしまう。すると、茶髪で赤い瞳の青年オロバスが笑う。
「なんか、フローズ様の寝顔は幼くて可愛いなぁ。これで、一番歳上なんだから笑えるし。」
ソロモン72柱、第55位 オロバス
20の軍団を率いる悪魔で、人間の胴体を持つ直立した馬の姿で現れる。過去・現在・未来の知識を持って、あらゆる質問にこたえる。召喚者に、地位や軍功などの名声や嘘を見抜き真実を知る力を与える。また、敵対するものと和解させてくれる。
「オロバス、場所を移しましょう。」
薄い水色の髪に、黄色い瞳の青年グシオンが真剣に言う。グシオンは、フローズが疲れていると感じたからだ。そして、他の3人を見ている。
ソロモン72柱、第11位 グシオン
容貌や率いる軍団について不明とされる悪魔。過去、現在、未来の知識に精通している。また、召喚者に敵対している人間の気持ちを友好的なものへと逆転させる能力を持つ。
「さて、ストラスとプルソンとエリゴル。」
マルコシアスは、3人を見る。
ソロモン第72柱、36位 ストラス
比較的召喚しやすい悪魔で、邪悪な気配がなく、頭に王冠を載いた鴉の姿をしているという。占星術や薬草学、医薬効の知識などに優れている。
「なんです?」
ソロモン第72柱、20位 プルソン
熊にまたがり、人間の体に獅子の頭という威厳のある姿で現れる。その手には蛇か喇叭らっぱのどちらかを持っている。召喚者に、宝の隠し場所や過去と未来の秘密を教えたり作曲や楽器を奏する技巧を授けたりなどするという。
「む?」
ソロモン第72柱、15位 エリゴル
騎士の姿で現れる悪魔で、未来を予見する力で召喚者を軍事的に助力してくれる。また財宝の隠し場所を教えてくれたり、召喚者に甘い恋愛なども与えてくれるという。
「なんだ?」
「俺達、7人でフローズを守るぞ。」
マルコシアスは、嫌な予感が止まらずに言う。
「ですが、我々がここで働く理由は無いのでは?」
「いや、あるぞ………マルコシアスは、フローズ様が自害なさるのを危惧しているのだろう。」
ストラスの言葉に、真剣な表情で答えるエリゴル。すると、マルコシアスは静かに頷く。
「今のフローズは、精神的に脆い………捕まるくらいならと、自殺を選ぶ可能性も否定できない。」
「………まさか、あの魔王の右腕と呼ばれた………」
反論が飛び出るが、マルコシアスは悲しそうに苦々しく言う。フローズの、苦し気で悲し気な表情を思い出しながら。ただ、理解をして貰うために……。
「フローズは、まだ心の傷が癒えてない。だから、昔のフローズと比較しても意味がない………。それにだ、誰がフローズの心に深い傷をつけたか………お前達、忘れていないか?話しは、それだけだ。」
マルコシアスは、小さくため息を吐き出す。
次の日…………。
うん、やらかした。まさか、泣くだなんて……。袖でぐしぐしと、涙を拭って小さくため息を吐き出す。
顔を洗い、いそいそと着替えてエプロンを着る。
さて、仕込みをしないと………。
階段を降りて、伸びをしながら窓を開ける。
「おはよう、フローズ。」
「あれ、今日は早いんだね。」
フローズは、キョトンとしてから笑った。
「………フローズ、俺達や勇者………人間が憎いか?」
「さて………どうだろ、もう分からない。」
マルコシアスの言葉に、少しだけ驚いてから苦笑を浮かべ悲しそうに呟くフローズ。アンドロマリウスは、真剣に無言でフローズを見ている。
すると、フローズは何事も無かったかのように笑って話を変える。まるで、聞かれるのを拒むように。
「それより、ナイスタイミングだよ。材料が少し、たりないから朝市で買って来てくれない?」
「なら、俺がアンドロマリウスと行くぜ。」
フローズは、キョトンとして他のメンバーを見る。そして、ドヨーンとしてマルコシアスを見る。
「………待って、何かメンバー増えてない?」
「俺が、呼んどいた。」
いや、呼んどいたって…………。
まぁ、邪神の配下の件もあるし………。僕が、心配なのは分かるんだけどさ。僕だって、一応は戦えるんだよ?伊達に、魔王の右腕をしてた訳じゃないし。
「何故に?7人は、多くないかな?」
「多くない。それより、仕込みするんだろ?」
うーん………。マルコシアス、何か様子が変だね。
「マルコシアスは、今日は休みだね。仕込みは、他のメンバーでも出来るし。これ、店長命令ね。」
「なっ!?フローズ!」
マルコシアスは、驚いてからフローズを見る。
「あのさ、マルコシアス。僕は、こう見えて君より歳上だよ。僕は、それより君達の方が心配なんだ。最近、無茶とかしてない?僕に構いすぎて、疲労で倒れられても困るんだからね?」
フローズは、優しく笑う。
すると、マルコシアスは思わず言葉に詰まる。それを見て、グシオンは少しだけ考えてから言う。
「私とプルソン、ストラスで仕込みをお手伝いします。フローズ様は指示をお願いします。」
「うーん、取り敢えず敬語と様付け……やめて貰えませんか?何か、困るのですが………。」
フローズは、困った表情で5人を見る。そして、振り向いてアンドロマリウスもしっかり見る。
『それは、出来ません。』
「いや、僕はもう偉くないし。それに、敬われる立場でもないです。まぁ、店長だけど未熟だし。」
うーん、取り敢えず様付けだけでもどうにか………。
「そうか?俺には、未熟には見えないけどな。」
マッ、マルコシアスっ!?余計な事を……。
「とにかく、買い出し急いでお願いします。」
じゃあ、仕込みを始めよう。もう、時間がない。
「そうだ、プルソンさんはマルコシアスの見張りよろしくお願いします。マルコシアスは、目を放すと直ぐに無茶するから。特に、今日は様子が変だったし。体調とか、悪いなら大変なので。」
「うむ、任せろ。」
プルソンが、頷くとフローズは嬉しそうに笑う。
「本当は、一緒に居たいけどお店を開けないと。きっと、街の常連さんや冒険者達が困るからね。」
すると、一瞬だけ固まりドアに視線を向ける。
「立ち聞きとは、行儀が悪いのではベリト。」
その表情は、氷のように冷たく氷柱のように鋭い。
ソロモン72柱、第28位 ベリト
赤い馬に乗り、頭に王冠を戴いた姿で現れる悪魔で、地獄では26の軍団を率いている。錬金術に通じているが、裏表のある性格をしており召喚者に対しても平気で嘘をつく。
「よお、フローズ様………。元気そうだな、悪魔を従えて過去の英雄気取りか?笑わせる……。」
「あー、はいはい。まったく、何とでも言え。」
フローズは、戯言だと流して笑う。
「それで、何をしに来たわけ?暇なの?それと、君の探し者はここには居ないよ。」
「チッ………。お前は、どうやって………。」
すると、フローズは大人っぽく微笑みを浮かべる。
「1つ忠告する、余りお痛すると殺すぞ?」
「っ!?おっ、お前には関係ないだろ!」
ベリトは、息を呑んで冷や汗ながらに言う。
「1度は、忠誠を誓ったんだ。あの子を、余り追い詰めないでおくれよ。これ以上、魔王陛下を追い詰める様だったら………分かるよね。」
その微笑みは、優しそうで目が笑っていなかった。ベリトは、無言で頷くと逃げるように去った。
何か、嫌な予感がするんだよね………。
フローズは、固まったように自分を見る7人を見て首を傾げる。マルコシアスは、驚いてから言う。
「フローズは、知っていたのか。」
「まぁね。それより、お帰りなさい。さて、仕込みの続きを………って何で来たのですか!」
そこには、前魔王である男の姿があった。
「やぁ、フローズ。」
フローズは、深くため息を吐き出した。