表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/9

神狼※※※※※

魔王は、真剣な表情である。フローズは、お茶を飲みながらまったりしている。マルコシアスは、苦笑して座っている。魔王は、真剣に問いかける。


「フローズ、お前の名を教えてくれないか?」


フローズは、苦笑して小さくため息を吐き出す。


「今更、貴女が聞く必要はないでしょう?」


「だが、私は聞きたいのだ。」


「お断り致します。」


「では、命令だ。言わねば、この国は魔王軍は守らない。私は、ずっと気になっていたのだ。」


魔王は、真剣な表情を崩す事なく言っている。フローズは、沈黙の後に苦し気に言う。


「僕は、どうなっても知りませんよ?」


「構わぬ。」


フローズは、諦めたように頷いてから言う。


「では、マルコシアスには席を外して貰います。」


「何で、俺は駄目なんだ?」


フローズは、悲しい表情をして呟くように言う。


「僕の名前は、強い力を持っている。何せ……いや、何でもない。とにかく、マルコシアスには言えないんだ。だから、席を外してくれないかな?」


マルコシアスは、何か言いたげだったが席を外す。魔王は、フローズを見て待っている。


「僕の名前は………いいや、我の名は※※※※※。」


次の瞬間、魔王は凄まじい寒気を感じ、心臓を掴まれたような幻覚を見て倒れる。フローズは、悲しい表情で倒れた魔王に記憶消去の魔法をかける。


フローズの名は、祝福にして呪い。


故に、産まれながら強い力を持ち、フローズは本来の力を封印せざるを得ない。


幼いフローズは、周りにとって恐るべき存在。


子供と侮れば、最悪は命を一瞬で刈り取り存在を消されてしまう。無邪気で、癇癪でも起こそうものなら慌てて逃げられた。フローズは、幼少期はずっと孤独で隔離されていた。少年になり、力をつけてから親と会うことを許された。


とは言え、最初は会ってはくれなかったが。


フローズは、顔をしかめ頭を左右に振り考えを振り切る。そして、魔王をお姫様抱っこして椅子に座らせる。フローズは、無表情に窓から空を見上げる。


本来の力を、少しでも出してしまえば、若き魔王など赤子の手を捻るごとく殺してしまうだろう。フローズは、苦々しくため息を吐き出した。倒れる音を聞き、駆けつけたマルコシアスを見る。


「フローズ、魔王陛下に何をした!答えろ!」


「僕は、名前を教えただけだよ。」


フローズは、困ったように笑ってから言う。


「何故、名前を聞いて倒れたんだ?」


「僕の名は、祝福にして呪い。主の資格を持てば、神の祝福を持たぬ者には必ず聞けば、命を奪われる死の呪いを与える。大丈夫だよ。死ぬ前に、魔王陛下からは名を聞いた記憶を消しておいたからね。」


フローズは、座ってお茶を飲んでため息を吐き出している。マルコシアスは、フローズの頭をよしよしと撫でる。そして、優しく顔でフローズに謝る。


「すまんな。本当は、言いたくなかったんだろう?お前は、最初に断ったもんな。」


「ごめん、夕食は作ってあるから2人で食べて。」


フローズは、狼の姿になり2階に上がって行った。よほど、顔を見られたくなかったのだろう。


マルコシアスは、苦笑してから魔王を見る。


「あれ、私は………どうして?」


「………貴女は、フローズの主としての資格を失ったようです。陛下、フローズをまだ好きですか?」


マルコシアスは、暢気に笑って呟く。


「本当は、脅したくは無かった………。しかし、邪神の配下が目撃された。だから、フローズの力が必要だった。私だって、フローズが好きで傷つけたくなかった!だが、配下は許してはくれなかった。」


つまり、魔王にフローズを従わせるよう言った奴が居ると。マルコシアスは、険しい表情でアンドロマリウスと頷き合うと、泣き出します魔王を見る。


フローズは、魔王軍に居た時に帝の称号を貰った。


そして、一部の魔王軍はその力に頼りっきりであった。マルコシアスは、魔王に帰るように言ってフローズの部屋に向かう。フローズは、布団に潜っている。感情が不安定で、人化が上手く出来ずに獣人のようになっている。マルコシアスは、ベッドに座るとフローズは顔だけ出す。


「ねぇ、マルコシアス………僕は、生きてて良いのかな?僕は、あの時に………死んでいれば…………」


「フローズ、お前はもう魔狼じゃないんだな。」


マルコシアスは、悲しげに表情を歪めるフローズを見ていう。察するに、魔狼族を見捨てた戦場で、フローズは生きる為に神狼に進化する道を選んだ。


そして、それを邪神の配下に見られてしまったのだろう。フローズは、それを後悔していた。


マルコシアスは、アンドロマリウスに命じる。


アンドロマリウスは、援軍を呼ぶことにした。


そして、部屋に彼らが入ってくるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ