表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

仮装会場前

登場人物一覧

・李千里:目付きが鋭いのを除けば女装の似合う高校生。友人の企みにはまり女装コンテストに出場する。

・橘礼人:李千里の友人。同じく高校生で黒服を愛用している。

・浜田透:見た目がやくざにしか見えない大学生。身長も百八十以上ありとても威圧感がある。根は優しい。

・音田千夏:見た目が小学生にしか見えない大学生。浜田の友人だが、一緒に歩いていると誘拐犯にさらわれている子供だと周りから認識される。

「おい礼人、なんだここは」

「何って、前に話した通りお祭りの会場だよ」

「これが……祭り?」

 李はゆっくりと、周りを見渡した。

 視界に映るのは、奇抜な格好をしたたくさんの若い男女。おそらくアニメや漫画のキャラクターを模しているだろうことは分かるが、そう言った方面に対して疎い李にはただただおかしな格好をした変人集団にしか見えなかった。

 頭痛を感じ、ついその場にしゃがみ込んでしまう。

「どうしたの千里! もしかして体調悪いの?」

「……今、主にお前が原因で悪くなったんだよ」

 そう呟き返すが、周りの喧騒がうるさすぎて橘の耳には入らない。

 それどころか、李が喋れないほど体調不良に陥っていると勘違いしたのか、救急車を呼ぼうとさえし始めた。

「もういい、大丈夫だ」

 慌てて立ち上がると、橘の持っていた携帯を奪い取る。

 それでも心配した様子でいる橘をうっとおしく思い、気は進まないながらも仮装集団の中に足を踏み入れていった。



 *  *  *



「おい千夏。ここは一体なんだ」

「ここは仮装パーティーの会場ですよ、浜田君」

「仮装じゃなくてコスプレだろ、こいつは……」

「まあそうとも言いますね」

「……はあ。どっちにしろ俺には関係ねぇけどよ」

 ツインテールの青髪少女や紫の髪で鎌を持った少女。その他蜘蛛の巣がかかったような赤い服を着た男や、服の中央にSの字が書かれた青タイツの男などなど、どこかで見たことのあるキャラクターに扮した人が楽しそうに談笑しあっている。

 それらの光景を見て浜田が大きくため息をついていると、音田がはしゃいだ声を上げながら飛び跳ねた。

「さあ、親睦会を兼ねて大いに楽しもうじゃありませんか! ここでは衣装の貸し出しも行ってますから、浜田君も好きな衣装を借りてきていいですよー」

「いや、俺は仮装とかしたくはねぇんだけどよ。つうかお前、今日はずっとそのテンションで行くのか。俺と二人なんだし、別にその仮面を外してくれたって構わないぞ」

 浜田の言葉を聞き、ピクリと音田の肩が震える。しかし、すぐに笑顔を取り戻し、元気な声で宣言した。

「いいんですよ、これで。楽しそうに振る舞ってる方が、より楽しい気分に浸れるってもんですから。何でしたら浜田君もはめを外して盛り上がっちゃってもいいんですよ? 絶対引いたりしませんから」

「仮にお前が引かなくても、この見た目の男がお前みたいなテンションではしゃいでたら確実に通報されるだろ。まあせっかくここまで来たんだ、いろいろ付き合ってやるから回りたいところを指示してくれよ」

「はい! 取り敢えずこの女装コンテストは見るとしてですね、他にはお客さん参加型の何でも屋敷とか推理ゲームとかをですね……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ