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パソコン

 『異世界なんて怖くないかもしれない』の著者はある話をした。

 それは、世界がひっくり返ってゲコゲコするくらい衝撃的な話だった。



『実はな、俺が異世界に行く原因となった物が俺がこっちに住んでいた家に存在するんだ』

「おぉ……! ひょっとして自分も異世界に行けるんですか?」

『話をもうちょっと聞け』

「すみません。ちょっと興奮したもんですから」



 と、いうかこの著者に会ってからの祐介は興奮しっぱなしである。

 何の今更、それが著者の思った感想であったりする。



『実はな。俺が行くことになったのはパソコンが原因なんだ』

「おぉ……! 直接見たことは残念ながらありませんが、あの『異世界なんて怖くないかもしれない』でちょくちょく話に出ていた機械ですね!」

『ああ、そうだ。もともとパソコンというのは、俺たちの時代では当たり前と言っては変だが、かなり生活に密着した道具だった。だから別に驚くような代物でもないが、あの……きっかけになったパソコンは特別だった。俺は、それをある人から貰ってあっちの世界に行ったんだよ』

「それがこちらにあると!!」

『ある。だが、残念ながらもうそれで異世界にはいけない』

「……」



 oh……何ということだ!

 これほど愛している異世界に俺が行けないとは……。



『まあ、そう落ち込むな』

「どこをどうすれば落ち込まないか教えて頂きたいですよー」

『確かに異世界には行けないが……だが異世界にいる人間を呼ぶことが出来ると聞いてもか?』

「自分、元気です。元気いっぱいであります!」

『……はぁ、まあいい。あのパソコンはな俺が異世界に行ったので、こっちから異世界には行けなくなったが、こっちに人を呼ぶ機能は健在というよりも残ってるんだよ』



 何ですとぉおおお!!

 心が粉砕骨折したと思ったら、新しい心がやってきた。

 あの小説で例えるならオリハルコンハートが天から降りてきた感じだ。

 もう誰にも俺の心は折られない!



「では、もうそれこそ異世界の住人を呼び放題ですか?」

『まあそうと言えるが、違うとも言える』

「その心は?」

『お前……真面目に聞く気あるのか?』

「もちろんです!」

『まあいいか。それはな、誰かに一人に権利を移譲すると、その移譲された者は使えるが、他の者には使えなくなるのさ』

「イエス! その権利を自分に?」

『うむ。まあいいだろう。だが、お前に移譲したら最後、お前以外の誰にも行使する権利がなくなるから忘れるなよ』

「でも、これって自分が他の人に権利を移譲すればいいのではありませんか?」

『いや行くことが出来たのは俺一人。これでわかるか?』

「と、いうと呼ぶことが出来るのも自分一人だけってことですか?」

『そうだ。お前は誰にも移譲出来ずに、お前が死ねばパソコンは誰にも使えなくなる』

「責任重大じゃないですか!」

『ふむ。なら止めるか?』

「いえ、止めるはずないじゃないですか! 異世界ですよ。異世界の住人が自分を待ってるのに、そのチャンスを無駄になんて出来ませんよ!」

『よし! ならこれから説明をするからしっかりと聞いておけよ』



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