神社と夢と
祐介は、島に着いてすぐに神社にお詣りに行くことにした。
頼まれたことは早めに終わらせてしまおうとする精神だった。
島に着くと、用意して貰っていた自動で目的地まで走ってくれる無料タクシーに乗って神社まで行く。
祐介愛用の『異世界なんて怖くないかもしれない』では、そんな便利な文明機器などなく、苦労をして人と出会ったりするのだが、ここには人もいないという訳なので、サクッとタクシーに乗って神社まで行くことにしたのだ。
ただ、新しい話になったので再度言っておこう、祐介は四苦八苦する為に島に来たということを。
神社まで来ると、島に行く際に持ってきた花を運搬用の機械(結構な量を持ってきた)に乗せ、裏手のお墓まで持って行った。
ちなみにだが花をあげるのは人間だが、回収をするのは機械だったりする。
一時期、結構な人が住んでいただけあって結構なお墓があるのだ。
まあこの島は結構広いので、当然他の場所にもお墓があったりするのだが、さすがにそこまでは手が回らないのでそこは機械にやって貰うことになる。
でだ、運搬用の機械のサポートを受け、各お墓ごとに花を供えていく。
一年に二回だけなので、丁寧にお墓に供えていく。
線香も供えるのだが結構な数があるので、自分の身は線香臭で漂っている。
まあ無香の線香もあるのだが、線香の香りが好きな方だったのでこの香り付きのを選んだのだが次回以降は無香の方を選ぶことになりそうだ。
で、祐介がお墓に花を供えてると昼になり、やがて夕方になった。
結局、夕方過ぎに花を供え終わり、そのまま神社で一泊することにした。
この島にある建物、いや屋外でもどこでも勝手に使ってもいいことになっているので何も問題はない。
で、夕飯を携帯食で軽く済ませ、本堂で寝ることにした。
まあ現代の人間なら普通、本堂に寝ることはしないだろうが、もうそこら辺は緩い未来人、躊躇なく眠る。
するとその晩、祐介は変な夢を見た。
祐介は気付くと、暗い空間に座っていた。
そして、祐介の目の前には五十代くらいの筋肉隆々のオッサンが座って俺に話しかけてきた。
『お前、祐介といったか。この島の墓参りありがとな』
「はぁ、どういたしまして」
『そして、俺の作品を愛してくれてありがとな』
「……ん? 作品ですか?」
『異世界なんて怖くないかもしれないって言えば分かるか?』
「おぉ……、あの著者の!!」
『あぁ、あれは俺が異世界に行って書いた作品だ』
「まさかの異世界!」
祐介は、簡単に信じた。
それはもうアッサリと。
書いた本人が実は、どのように信用して貰おうかと思っていたらしいが、拍子抜けするくらいに信じた。
まあ、信じるまでに苦労するよりこっちの方が数倍マシだが、それはそれで釈然としない感じである。
『お前が素直で……良かったよ』
「いえ、あの臨場感溢れる描写は目の前じゃないと書けませんよ!」
そこからの祐介の話は熱かった。
それは著者がドン引きするくらいに。
祐介の話は止まらなかった。
それこそブレーキのない自転車の如く。
なぜならあの作品を語り合える人は、今まで誰一人としていなかったのだ。
それが初めてそこに居て、しかも著者だったら……。
祐介が百語り、著者が一を返すという楽しい時間が過ぎていく。(ただし祐介に限る)
著者は嬉しいのだが、受けきれない重い……想いにアタフタしていた。
どうやらその筋肉は飾りだったようだ。
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どれくらいの時間が経過したのかわからない。
それが三時間なのかはたまた五時間なのか。
で、祐介の興奮が収まったのを見てある話しをした。
それはこの世界を揺るがす、いや異世界を揺るがすような話だった。