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図書怪  作者: 青之屋
3/3

自習机

高校の時の話だ。

テスト1週間前だったので、学校が終わったら市内の図書館へ勉強しに行っていた。

いつもは閉館1時間前に終わるつもりが、この日は気づけば集中力が続き閉館30分前であった。

苦手な数学の問題をもう少しと思いシャープペンを走らせるとーー


コツンコツン


向かいの自習机に座っている人の靴が、私の靴にあたる。

ここは自習机が向かい合わせになって配置されており、足元の隙間からお互いの足があたる度々ある。

気をつけてはいるのだが、ついつい気を緩むと足が伸びる。そして、あたる。

足を引いて、意識を数式に移行し一問解く。


コツンコツン



なんだよう!

心の中で毒吐きながら、足をこれでもかと、椅子の下に引いて数式二問目。

答えは、y=3



コツンコツンコツン


「ちょっと何なの!」

 文句を言うと同時に立ち上がり、向かい側の人を睨め付けようとした瞬間--



...不正解...



 机の下から声。

 向かい側には人がいない。

 足もとからじわじわとくる冷たい温度。

 底からくる異常な冷たさが背筋にこみ上げた瞬間、机の上にある私物を全てまとめると乱暴に鞄にしまい、この机から一刻も早く逃げ出そうとした。

 足首に何かが絡まったが、強引に振り払い脱兎のごとく図書館の外まで走り出す。




 図書館の外でパニックになった頭をどうにか鎮めた後、気づいてしまったのだ。

 向かい側の席にいた人は、閉館30分前にいなくなったことを――

 向かい側の人が席を立つとき、あまりにも物音がうるさかったため、集中が途切れてしまい腕時計を見たことを。

 それからというもの、図書館ではめったに勉強しなくなった。

 

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