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恋愛小説コーナー
図書館に恋愛小説コーナーという特別に設けた棚がある。
図書館員のオススメがきれいに並べられている。
その本棚に注意書きがあった。
「もし、本が濡れていましたら、図書館員にお知らせください」
首を傾げながら、適当に1冊抜き取った。
ざばー
「あー、ダメダメ! すぐに本をしまって」
近くにいた図書館員が駆けつけ、本を奪うと元の場所に戻す。
「この本だけはダメなんですよ。泣くから」
ちんぷんかんぷんな理由を述べ、私にタオルをわたしてくれる。
タオルは最初から用意されていた。
何も事情を知らずに濡れてしまう利用者のために。