計略と文芸部(6)
その日も休み時間を使って部員探しをした。
今回は最初に当たってダメだった人たちに再度事情を話して頼み込む作戦に出たのだが、やはり全て断わられてしまった。断わられた時に理由を聞いたのだが、
「今から部に所属する気はないわね」
「文芸部ってイメージじゃないんだよねえ」
といった軽い拒否から
「ちょっと暗い感じだよね」
「私、文章とか無理、痒くなっちゃう」
という文芸に対するよくない印象によるもの、
「なんだか生徒会ともめているらしいじゃない。そういうの私無理だから」
という事情を知った上での回避まで、さまざまだった。
共通するのはこちらがいくら「部に入っても何も仕事をしなくてもいい」とか「一緒にお茶するだけの活動でいいから」と言っても聞いてくれないという点であった。
「みんな、人の話を最後までちゃんと聞いてくれないなあ」
都が嘆く背中に芽衣子はぐったりともたれて力なく同意したものである。
◆
放課後を迎え、二人は図書室へと向かった。
芽衣子が掃除当番だったので少し遅れてついたのだが、仕事は始まっていなかった。カウンターの中をのぞくと一年生の藤崎がパソコンに向かって必死に何か作業をしている。その周りを委員長たち三人が取り巻いて、することもなく立っていた。
「どうしたの?」
芽衣子は弥生に尋ねた。
「それがね。何でも、データー構造に問題があるんですって」
「何、今までの労働が水の泡と消えるのか?」
都が身を乗り出してくる。
「それはないと思うけれど、今確認中なのよ」
「ふへえ」
奇妙な言葉を吐いて都は引き下がった。
「それで、仕事はどうするの?」
芽衣子の言葉に弥生はちょっと考えてから答えた。
「今日は休みにするわ。土日もあるからね」
「鬼だなあ」
「今日は週末のために英気を養って頂戴」
都の不平にかまわず弥生は休養を言い渡す。
芽衣子たちは図書委員一同に「お疲れさま」を言って図書室を出た。そのまま、渡り廊下で思案する。
「どうしようか、ギシさん」
「帰ろうか、ナーさん」
「それもなんだかねえ」
芽衣子は暗に反対した。せっかくの時間を無駄に過ごしたくない。
「勧誘に行ってみる?」
「部活じゃない人は帰ってしまってるわよ」
「じゃあ、情報処理部に交渉に行く?」
妥当な案だろう、と芽衣子は思った。しかし、
「その前に一息つきたいわね」
「部室でお茶でも飲むかな?」
「そうしましょ。考えてみると最近部室に行ってなかったわね」
二人は部室棟を目指した。




