16話 BOSS 三頭番犬ケルベロス
今回は短めとなっています
ゲーム時代では見慣れたドア。
四階の門番は中ボス戦らしい。
四階で中ボスが来てよかった。階を下る事に強さが倍増していく。
ルシフがヘソを曲げているので早めにダンジョンを終わらせるしかない。
恐る恐るドアを開ける。
正直言って今大群で来られると負けるかも知れない。
中を確認するとどうやら集団戦ではないようだ。
部屋の真ん中の一匹しか確認できない。
狼神種ではなさそうだ。サイズが小さい。
しかし心当たりがある。
あんまり思い出したくはない。
人間で言うところの天才。
数万に一匹程度。天災。
ゲーム時代にこの一匹のためだけにイベントが起きる。
こんなところで勝てるのか?
「よう。まさかこんな低層であんたみたいの会えるとはね」
「ほう・・・俺がわかるのか。あんた変わった人間だ」
「名前はあるのかい?」
「テンペスという名をもらった」
『天災級使徒種』
モンスターの中から極稀に生まれてくる。
これが成長するとコクエンのような○神種となる。
基本的には一属性のみしか操らない。
しかし上位魔法を軽々操る。
「属性を教えてくれると助かるんだがね」
「なかなか面白い人間。雷光だ。」
「これまた珍しい。できえば冗談だといてくれ」
いわゆる雷属性亜種でサポート魔法系統。
雷属性を光属性の複合自己強化魔法。
特徴はそのスピード。雷の如き速さ。
普通なら雷を撃ったりはできずに唯雷と同一の火力とスピードになる強化のみ。
だがこいつは使徒種だ。どうせ雷も操れるに決まってる。きっと光魔法もだ。
「光魔法は得意かい?」
「まったくおしゃべりが好きな人間だな。雷も光も得意だ」
「嫌になるねぇ」
光や自然そして水を操るモンスターは回復魔法を持っている確率が高い。
しかもこいつは使徒種で自己強化系。
(さてどうしたもんかねぇ・・・)
‘・・・手伝ってもいいですか?‘
(う~ん・・・手懐ようとも思ったんだが俺自身が雷属性持ってるしなぁ・・・)
(手伝ってくれ。消し炭にする)
‘了解です!アバド様!‘
ルシフが少しだけ機嫌を直してくれたようだ。
魔力は減らないしさっさと消してしまおうか。
「残念ながら君は不合格だ。今はガランさんみたいな氷属性の系統が欲しいんだよね。
まぁ・・・ここはダンジョンだし消し炭にしても君は生き返るからなんの問題もないだろう」
「随分と自信家なんだな。俺が負けると?」
「勝ち負けはない。あるのは圧倒的な蹂躙なんだよ」
「さあ始めようか!」
俺がそう言うとテンペスは強化により一気に目の前に来る。
普通ならこれは避けられない。普通なら。
俺はテンペスの頭を普通に掴み・・・
「『バースト』」
爆発系魔法『バースト』
エルフ捕獲の際にも使った魔法。
これは相手の魔力を暴走させ内部から爆発させる魔法。
爆発系魔法『エクスプロージョン』の派生
テンペスは暴走した魔力を前足に集め前足のみの爆発に抑える。
爆発した前足はすぐに再生される。
「くそっ!いったい何をした!」
「そうかわからないのか。それなら君は死んだよ。『副手』
さあ!頑張って再生してくれよ!」
魔力を裏世界によって回復できるからこその戦い方。
自分の魔力だけではあの使徒種の方が有利だった。
あの使徒種は頑張っている。
とにかくさっきの繰り返し。
段々と回復は追いつかなくなっている。
切り離す部位がなくなっていく。
「『クリムゾンソード』。さあ止めだ」
あの使徒種に向かって炎の剣を投げる
その剣はテンペスの頭に突き刺さり残った全てを燃やした。
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「なんでこいつでボスじゃないんだよ・・・」
まださらに上が来る。
次の階層に降りる。
すると・・・
「おぉ!ボス部屋か!」
無駄にごてごてしたでかい扉。
あまり趣味のいいデザインではない。
完全に周りのダンジョンの雰囲気からかけ離れすぎている。
ゴゴゴ・・・
かなり重たい扉を開けて入る。
今までで一番広い。そしてボスも大きい。
何かは見ただけでわかった。
三つの頭のワンワン、その名もケルベロス。
実は三頭番犬種という種族なんだけどね。
その多くはどこかを守っておる場合が多い。
あると土地への侵入や脱出の禁止。
重要は場所の門番。
国宝級の宝箱の前。
三頭番犬種は守るものによって強さが変わってくる。
というか門の前が一番強い。狼神種並に強い。
守るものによって戦い方が変わるから一概には言えないが一個体だけでなら門が一番。
土地への侵入などは連携するため門の時とは違った強さだ。
属性は闇であることが多い。まず守る場所が魔族関係しかない。
宝箱の前は基本的にはゴーレムが守ってるため出会うことは極僅か
「またこいつか・・・」
そうです。ゲーム時代に何度も見ました。
当たり前でしょう。あのゲームで他国は占領しないとつかえない。
同じ魔族でも魔族には仲間意識がないから襲ってくる。
その時の国の門番の大多数はこいつだった。
国の規模によって大小様々だがこれくらいならうじゃうじゃいたよ。
確かに狼神種並に強い。だがこいつらが得意な魔法は移動阻害や威圧など呪術師系魔法。
確かに魔法を使わなくても充分に強い牙と爪がある。
しかし狼神種と違って知能の低いワンワン。
‘ですがアバド様使ってくる魔法は全て上位級ではありませんか?‘
(俺の魔法威力が高いから動く必要がないんだよ。しかもスピードも中ボスみたいな強化はないからさ。
でも一番は・・・)
「相手の力量を見極めるのがすごくうまいから格上には立ち向かわない。
番犬と言いながら何よりも欲には弱い。」
まあでも襲ってこない確証があるわけではないし・・・
「『ブック』」
「『命令』、おすわり」
犬といえばお座り。
言霊魔法で半ば強制的だが。
「くぅん」
わかってくれたらしい。
階層が5階程度だからそこまで強いわけではないだろう。
それでも腕か足の一本でも持って行かれたかもしれない。
「これでクリアだ!」
なんて呆気ない最後だろうか。
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「お疲れ様!」
「なんでお前がいるこのクソ犬」
「いや~偶々旅をしている子供のミノス族にあってさ!」
頭が痛くなる。このダンジョンの宝物は何かとボス部屋の奥に進んだらコイツがいた。
いつの間にかいなくなっていた荷物持ち。
「で?これからどうするよ?」
「もう少し旅をさせてくれ!この愚かな世界をもっと見てみたいんだ!」
「そうか・・・別にいいさ好きにしてくれ・・・手元に置いておきたかったらとっくに呼び戻してるよ」
こいつ面倒なんだもん。もともと呼び出す気もなかったし。
「どうせ俺の下にいるとは思ってないさ」
「僕はこの世界をもっと知りたいんだ!」
「で?そんなことよりこのダンジョンの宝は?」
「え?そんなものないよ。このダンジョン作ったのミノス族の子供だし」
・・・金くらい置いておけよ・・・・・・
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「はぁ・・・実に時間の無駄だった・・・」
‘ですがコクエンという不確定要素を遠くにやることはできましたよ?‘
「それもそうか・・・マイシャの成長を見るがてら新しい荷物持ちを出してもらうか。」
‘マイシャの成長については重要です。どうやらアバド様が上げていた本は終了したようです‘
信じられない・・・まさか現在存在している召喚陣全てマスターしたというのか!
「マイシャ・・・恐ろしいな。ひとまずアプスに帰ることとしよう。」
こうして初ダンジョンを後にした。
連投です




