12話 裏側2
あれから2週間くらいだろう。
師匠との特訓は大変だった。俺はもともとのステータスがすでに出来上がているため初めから師匠との戦闘訓練がメインだった。
師匠はさすがの腕前。勇者のパーティにいてもおかしくない強さだ。そんな人と二週間びっしり戦闘していたんだ。レベルはガッツリ上がったよ。
試しにステータスプレートを確認。
名前:アバド 性別:男 年齢:23 種族:人族 職:剣士 LV:20
攻撃:C 防御:E 総魔力:B 魔攻:C 魔防:C 俊敏:A
わかりづらい。何が何だか。
そんなに変化がない。
試しに師匠に見せてもらった。
名前:ハーン・フェルディモ 種族:人族
職:剣聖 ランクS
技能:全耐性(小) ウェポンマスター
精神:I 肉体:F 技術:S 評価:Cランク
俺のと違う。話によるとこれは人族以外が使っているものらしい。
精神の欄は心の強さとかではなく魂のエネルギー量のことらしい。長寿なものほどこれが多い。たがしかしこれが多いから長寿というわけではないらしい。
魂のエネルギーとはつまり魔力ことらしい。これによって魔法がどの程度かわかる。
肉体はそのまま肉体のことだそうだ。獣人などの体が大きく筋肉量が多いような種族がこれは高くなるらしい。武道職に大切な肉体エネルギーも含まれる。
技術は上二つのような何かのエネルギーではない。
これは上二つを扱う力。戦闘技術の強さらしい。あげるには基本的には地道は特訓しか無いようだ。
しかし他種族は生まれ持ったバトルセンスとしか考えない場合が多い。
評価のランクが全て合わせた強さになっていると教えてくれた。技能も加算して考えられているらしい。
師匠は全盛期はもっとすごかったらしい。
職業のランクはギルドに入るとき説明を受けると言われた。
実はかなりの年で肉体は気の操作で何とかしているが魂が限界を迎えていて最近一気に老け込んだらしい。
ということは師匠は剣を扱う技術 と二つの技能・・・いやきっとウェポンマスターという技能のわずか2点だけで総合的強さをCランクまであげているのだ。
「どうだ?すげぇだろ。」
「師匠がなかなかに化け物だとわかったよ」
「判断基準もお前のそれとは全然違う。レベルが100になれば自動的に進化するから頑張れよ」
そうしてあと一週間本気の師匠と戦いことになった。
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「ここは・・・」
‘お久しぶりです主よ‘
「久しぶりだな。今回はどうした。」
実は何度か呼ばれている。前は『知識接続』について教えてもらった。
‘現存している魔法への接続が完了しました。「ブック」と唱えることで裏世界から本を取り出し、取り出した本に書いてある魔法を行使できます‘
彼女は本当に有能だ。どうしてコクエンも見習って欲しい。やつは「遊びに行ってくる」と言って出かけたっきり帰ってきてないらしい。
「そろそろ名前がないと不便だよな」
一番働いているのに名前が無いのはおかしい。どうだろう・・・そうだ!俺の半身みたいなもんなんだからぴったりの名前があるだろう。
「ルシフなんてどうよ!ルシファーだとそのまま過ぎるだろ」
‘警告‘
‘裏世界の無自我の案内人『彼女』が主によって命名されました‘
‘これによって『彼女』の自我が復活します‘
いつものルシフとは違う感じ。この感じはゲーム時代のメッセージだ。少し懐かしい。
だがどうしたのだろう。自我が復活とか書いてあったぞ、やばいんじゃないかそれ。
‘・・・復活が完了しました。‘
「もしかしてやちゃったか?」
目の前に真っ白い猫が現れる。この裏世界の生物と思えないほど真っ白。今は部屋の中にいるからまだいいが、真っ黒な外でならどこからでも見つけられるほど真っ白だ。
‘主よ‘
いつも通り文字が出る。いつもと違うのは音声付き!自我だけでなく声もついている!
「すごい!ルシフが喋った!」
「アバド様!」
真っ白猫ルシフがこちらへ走ってくる。俺はルシフを抱き上げた。
なんでコクエンなんかに自我があってルシフにはないんだ!と何度も思った。
だからこそ今すごく嬉しい。しかもルシフは俺の命の恩人でもあるんだ。嬉しくないはずがない。
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「字幕でも普通に声でも両方いいんだ。すごいな」
ひたすらルシフを撫でたあと今は膝に乗せている。猫の見た目だけど中身は従順だからやりたい放題。モフりたい放題。
「はい。自我が復活したことにより裏世界のみでの実体を作成可能となりました。それによって声帯ができ発言が可能になりました。」
一言で言えば体は便利。
「それによって裏世界で変化がありました。町規模での発現が成功しました。」
「でっかくなったのか」
「はい。隣の家はラサニアさんの家になっています。がラサニアさん自体は住んではいません」
「じゃあ誰が住んでるの?」
「・・・王子・・・ですかね」
あれ?何で少し不機嫌になった?
「挨拶がてら散歩しようか?」
「はい。でも抱っこじゃなきゃ嫌です。」
あらかわいい。まさか猫を抱っこしながら散歩することになるとはね。
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ラサニアさんすごいっす
隣の家から出てきたのは一人の青年と幼い女の子。きっと俺がいない一ヶ月で成長したんだろうな。
でもまさか本当に妄想の子供に出会うことになるとは。
てか王子って・・・確かに裏世界の王の子供だけど。
「ラサニアの妄想から生まれたんじゃないのか?」
「いえ。母上の強い思いを父上が目を背け裏世界に逃がし続けた結果です」
逃げてんじゃねーよヘタレ、そんな風に聞こえたのは気のせいだろうか。
「あぁ父上ぇ!」
この娘危ない!兄の横でずっとこれだよ・・・
「二人の名前は?」
「この母によく似てしまったのが妹のサンディ、そして僕がラバドです」
母に似てしまった・・・か・・・
「あぁ父よ!なぜあなたは私の父なの!」
この子面倒くさい。
「でも私はあなたが父でもかまわない!あぁ!」
もっと・・・子供らしく・・・・・・してほしい。
「サンディは部屋に帰ってなさい・・・」
息子よ・・・苦労してるな。
「頑張れよ」
ただ一言。息子へ送る。
「父上へお返ししたいです・・・」
それだけは嫌だ。こんなのが四六時中頭のなかにいるなんて。
「もういくよ」
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相変わらず暗いところだ。
町並みはアプス王国そっくりだ。屋根のいろ、壁のいろ。
道を歩くとたまに住人を見る。
それは人であったり、動物であったり、ただの黒いもやだったり。
それら全てに共通していることはお面を被っていること。
形や表情は様々で同じものは一つもない。
そんな町を猫を抱きながら歩く。
とても不思議な世界。ただ裏というだけでここまで違うのか。
家に帰るとだんだん眠たくなってくる。目覚めだ。
特訓は昨日で終わった。今日はアプスね帰る日だ。皆に会うのが少しだけ楽しみだった。
明日も0時投稿です。




