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三次元の女に興味はない  作者: これでいいのか?
3/3

何度あらわれても三次元の女に興味はない

気軽に読んでいってください

 部長と下校デートをして帰ってからというもの、毎日部長はホームルームが終了した瞬間に俺の教室まで来て恋愛のシミュレーションをしようと大声で叫んだ。ホントに迷惑だ。もう、何なら部長は俺の通い妻という噂まであるらしい。そのことで斎に心配されたが、原因の一つはお前だからな?イケメンの影響力なめたらあかんぜよ?何はともあれ本当にヤバい。そろそろ俺の "普段はクールなのに、意外と遊び人" 説が浮上してしまう。決して "普段でさえキモオタなのに、なおさら女の奴隷でキモ過ぎワロタ" 説じゃない。どうであれ早く対処しなければ、教室で空気にすらなれん。何も仲良くしてくれとは言ってないのになぜほっといてくれないのか俺には理解できんが。高校生にもなっていじめというのも幼稚な話だ。え?座ってるだけじゃん、なんもしてないよ?ただライトノベル読んでただけなのに何でそこまで罵倒されなきゃなんないの?もし俺がライトノベル風の純文学読んでたらどうすんの?芥川賞作品に対して "わーなによんでんの?キッモーイ" とかいえんの?……いかんいかん。つい熱くなってしまった。今のは別に実話じゃない。今日はガツンと言ってやろう!そうでもしなければ俺のこれからの学校生活が危うい。

 そして今日も部長は俺の教室に現れた……

「恋愛シミュレーションをしましょう!」

「部長?今日は金曜日ですよ?昨日もしたじゃないですか、しかも僕は部長みたいに頭がよくないので、自分で勉強しないと授業についていけなんです。週末の課題もしなくちゃいけないし、すいませんが今日は帰らせてくれませんか?」

 しまった、この言い方じゃほんとに俺が奴隷みたいじゃないか。

「なら丁度よかった。今日は勉強デートのシミュレーションをしましょう」

 しつこいな。

「だから何度も言ってるじゃないですか!僕は家で一人で集中したいんです!人に教えてもらってちゃ頭に入ってこないんです」

 もちろん嘘だ。俺は頭はいいほうだ家で勉強などしたこともない。

「しかし、勉強デートをすれば鳴宮君は勉強でき、かつ私も勉強デートのシミュレーションができる。一石二鳥だと思いませんか?」

「だから、そういう問題じゃないんだ!俺は早く帰りたい!ただそれだけなの?」

「では、早く終わらせましょう」

「鬱陶しいな!!帰るんなら一人で帰れよ!!何で俺が必要なの!?お前、俺が来る前は一人でシミュレーションしてたんだろ?じゃ今日も一人ですればいいだろ!?はっきり言って迷惑なんだよ!!ストーカーみたいに付きまとわれるこっちの身にもなれよ!?」

 ……やってしまった。終わりだ、場は凍っている。女子たちはこっちを刺すような目で見ながら、聴こえる小声で罵っている。男子たちもまるでごみを見ているかのようだ。もう死のうかな。

 少しの沈黙の後、誰からともなく "謝れ" のシュプレヒコールが始まった。部長は表情を変えることなく周りの人達を眺めている。そして、近くにいた男子が前に押しやるように俺を蹴った。俺の膝は絶望でほぼ機能しておらず、蹴られた勢いでこけた。そして俺は少し大勢を変え

「言い過ぎました、本当に申し訳ありません」

 と呟いた。それでも気が収まらないのか周りの奴らは "聴こえねえぞ!" とか "それだけかよ!" など口々に思う言葉を出している。その中に本気で言っているような奴などいない。笑い声交じりで、面白半分で言っている奴しかいないのだ。正義の皮をかぶり、その名のもとに普段はできない弱い者いじめを楽しんでいるのだ。正しいから間違っていないから正義なのだ。

 ひとしきりの罵声を聴いた後、部長は俺に歩み寄り言った。

「なぜ謝っているのですか?間違ったことなどしていないのに?なぜ、この人たちはこんなにも楽しそうなのですか?こんなにも悲しそうな顔をしている人がいるのに。なぜこんなにも、胸が苦しいのですか?」

 それを言っている部長は泣いていた。いつも通りの無表情の超合金で、でも何処か悲しそうに泣いていた。

「正しいことが正義だとは限らないからです。楽しいことが正しいとは限らないからです。でも、僕が泣いているのは部長を傷つけてしまったからです」

次回はちゃんとふざけます

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