第1章-7
ソロでは攻略できそうもなかった森を俺たちは安定した戦いで切り抜け続けていた頃。
「順調ですね!」
笑顔でユウが言う。
俺はそうゆうフラグを出すと順調じゃなくなるんだぞっと教えたかったが、笑って頷いた。
我ながら甘いなっと自分を少し責めると、草が風の吹く音と共に揺れる。
俺らは剣を構え目の前の揺れる草を睨んだ。
すると草の中に潜む正体が明らかになった。
《対象レベル15前後》【暴れイノシシ】3体だ。
普通のイノシシの一回り大きく、色が赤っぽい暴れイノシシは、俺らと目が合うとすぐに戦闘モードに入った。
目つきが鋭くなり、俺らの方を向いて地面を後ろ足でかき立てる。
風が強く吹く。
ユウが剣を構えるのを見て、俺も遅れて剣を構える。
ブルブルゥウ!っと奇妙な鳴き声を上げると、俺らの方へと突進してきた。
ユウが最初に突進してきたイノシシを剣で止め、その隙を突きお腹に一撃を食らわす。
ユウの美しい剣技に魅了されていると俺の方にも獣が一匹、突っ込んできた。
俺も負けてられないなっと思いながら剣を傾ける。
「はあッ!」
俺は剣を刺すフリをして、ギリギリで避けた。
そして、横腹に攻撃を加える。
不意を突かれたイノシシは上手く着地できず転ける所にもう一発食らわす。
俺の雄叫びと共にHPがどんどん減っていく。
余裕ができた俺が横を振り向くとちょうど倒した所だったようだ。
相変わらず早いな……これがレベルの差というやつか。
俺は自分の獲物に視点を切り替えると、イノシシがちょうど起き上がろうとしてる所だった。
ブルゥ。
さっきよりも弱い声を上げるイノシシ。
もちろん立たせる間も与えず、俺はトドメを刺した。
「はぁあーー!!」
弱々しい短い悲鳴を上げると、そのまま横たわって消えていった。
「す、すいません! 一匹逃しちゃいました」
こんなことはよくあることだ。
特に集団で襲ってきたモンスターはラスト1匹になると恐れて逃げやすくなる。
だから俺は優しく声をかけた。
「大丈夫だよ。よくあることだし」
そう俺が言うとユウは申し訳なさそうな顔で頭を下げた。
俺が頭を上げてっと言おうとしたその時だ。
後ろの草むらがまたも揺れている。
俺らは驚いて後ろを振り向くとそこには先ほどのイノシシが出てきた。
「なーんださっきのイノシシさんですかー」
安堵の息をもらすユウの隣で俺は疑問を持った。
逃げたモンスターがまた戻ってくるなんて滅多にないことだ。それに、このイノシシのHPの減り具合からしてさっきのイノシシで間違いはない。
どうゆうことなんだ?
ユウが剣を構えると同時に俺は様子が変なことに気がついた。
「あ、あれは……」
「サクヤさん、どうしたんで……」
ユウと俺は目の前の状況に言葉を失った。
なぜなら……。
俺らの目の前に巨大イノシシが現れたからだ。
5/29
どうも白川みつきです!
今回から戦闘に入ってくるのでバトルに注目してください!
次回は、サクヤたちは巨大イノシシを相手にどうするのか⁉︎ です。
次回の更新は来週までにしますのでよろしくお願いします!
それと、お気に入り登録ありがとうございます!