第1章-6
「なんか、その……ありがとな」
ちょっと照れてしまい俺はユウから目を逸らしながら言い、遠くを見つめた。
ユウは「いえいえ!」と笑い続けて言う。
「あ、次はサクヤさんが質問する番ですよっ!」
「お、おう。じゃ〜率直に聞くけど……」
俺は聞いていいのかとても不安だったが、素直に尋ねた。
「なんでユウは借金をしたんだ?」
俺がそう聞くとユウは一瞬、悲しそうな顔をしたように見えた。
少し間を空けて。ユウは顔を上げ、答えた。
「強くなるためにGが必要だったんです」
ユウは遠くを見つめるように話始めた。
「元々、私はクラスでトッププレイヤーレベルだったんです」
少し自慢げにえっへんと言い、腰に手を当てる。
「レベル上げをすっごくやってたっていうのもあるんですけど、幼い頃から剣道をやってたこともあって、どんどん強くなったんです!」
当時のことを思い出しているのか、嬉しそうにユウは話す。
「でも……」
ユウの表情はまた暗くなり、さっきまで気にならなかった風が強く冷たくなっていく。
「交通事故に遭っちゃいまして」
「こ、交通事故?」
なんとなくだが俺はユウがお金が必要になった理由が読めてきた。
「……はい。交通事故で命には問題なかったんですけど、長めに入院することになっちゃって……」
「それで周りの人と差ができてしまったってこと?」
ユウがこくりと頷き言う。
「なんとかレベルは上げたんですけど、やっぱりまだどうしても差があって、それで強い武器が必要になって……」
「なるほど……」
って、待てよ。ユウのレベルでも低い方ってことはユウよりもレベルの低い俺はいったい……。
「さ、サクヤさん? なんか目が死んでますよ! 大丈夫ですか⁉︎」
「お、おう。大丈夫だいじょぶ」
真面目な顔でユウは心配してくれた。
そんな真面目な顔で心配するほど俺の目は死んでるのかよ。
っとツッコミたい気持ちを抑え、俺はユウを見た。
「な、なんですか⁉︎」
「うん、一緒に頑張ってゴールドを貯めよっか」
俺がにこっと笑うとユウの顔がなぜだか赤くなっている気がした。
「は、はい!!」
真っ赤な顔のユウの声が仮装の森に響いた。
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本日、更新しました。
更新大変遅れましてすいません。色々と都合が合わず……。
次回はしっかりと更新しますのでこれからもよろしくお願いします!
次回の更新は来週中にする予定です。