第1章-4
ポーションやMP回復アイテムなどの買い物を終えた俺らは街の外に出る大門の前にいた。
「往復で3日はかかるけど、これで準備は大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
明るく返事をした彼女の顔を見て俺は門をくぐり街を出た。
ここでは転移などの移動手段はない。全て自分の(リアルの)足だ。
SRRはリアルな体で動かしてるため、生身の体では不可能な動きができない。
だからスキルも、見た目にイマイチ違いがなく、ただ威力が異なるだけで面白みがまったくないのだ。
つまりSRRはリアルの身体能力、反射神経などが重要で、それに自信がないものは勉学やレベ上げに励まなくてはならない。
不平等なようでバランスを取ってるのが現状のSRRだ。
街を出ればすぐ出迎えてくれるのがモンスターたちだ。
街周辺の敵はこっちが刺激しない限り攻撃してこないので安全だが、ちょっと奥へ進むと強制戦闘になる。
「うぉおおおお!」
現在、俺たちは【岩人形】《対照レベル16》の14体の群れに捕まっている。
そして、俺がカッコよく雄叫びをあげているがようやく3匹倒したところだ。
ちなみにユウは5匹。
舌打ちしかけた俺は後ろからくる敵の攻撃を右に交わす。
「後ろががら空きだぜ」
隙をついた俺は岩人形の背中に片手剣を突き刺す。
俺の攻撃がクリティカルヒットしたようで、岩人形は一瞬にして消え去った。
これで4匹目。ユウは?
と後ろを振り向くとユウがちょうど敵を葬り去ったところだった。
ユウの使ってる槍は、なかなかいい攻撃力を備えていて、レア度でいうと上から3つ目のBくらいだろう。
武器も武器だが、ユウ自身のバトルテクニックもすごい。
盾が持てない分の攻撃力の高さを上手く利用している。
「ユーウ!今何匹目ーー?」
俺が大声で尋ねるとまたも心を折るような答えが返ってきた。
「8匹目でーす!今そっちに応戦しますーー!」
もう8匹目かよッ!
デザインが泥人形と変わらないのに地味に防御力が高い岩人形の群れを倒した俺らは森の先を進んだ。
「モンスターの群れに会ったの初めてです」
ちょっと疲れ混じにユウは言う。いや、オヤジギャグとか考えてないよ。
「この森は特に群れが出やすい。しかもレベルが高いことが多い。だからソロには不向きなんだ」
なるほどっとうんうん頷いたユウは、少しためらう様な顔した。
「ん?どうした?」
俺が聞くと、何か決心したように頷く。
「聞いちゃダメだとは思うんですけど……なんでサクヤさんは追放されたんですか?」
強い風と共に木々が揺れる音がする。偽物なのにこんなにもリアルに感じてしまう。
ここがリアルなんじゃないかと。
「あ!言いづらいことならいいんです!」
勢いよく手を横に振るユウを止めるように俺はゆっくり首を振った。
「大丈夫。でもその代わりって言っちゃ何だけど、君のことも聞いていいかな?」
また強い風が吹き抜けた。さっきよりも強い風が。
4/3:
急な延長と更新の遅れ、大変申し訳ございません。
今後はしっかりするので、これからもよろしくお願いします。
どうも白川みつきです!
今回は今作での初戦闘ー。敵が大して強くない+ユウちゃんが強すぎるためにあっさり終わっちゃい地味でしたが、これからどんどんありますのでどうぞご覧ください!
次回の更新は、今週中にする予定です。
どうぞよろしくお願いします!!!
ではでは。