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第2章-20

そう思った瞬間。



サクヤの前に一つの影が颯爽と現れた。

「ほんと最低ね、あんた!」

男の剣を大剣で防いだナナはそのまま振り払った。

「不意打ちするんじゃないかって睨んでて正解だった……サクヤもサクヤですぐに気を緩めない!」

「は、はい。すいません」

ナナの気迫みたいなものが怖くて、俺はすぐに謝る。

男に関しては、不意打ちも見事に失敗して苛立ちが増しているようだ。

「チッ、クソがあ!」

男は剣を構え、またもスキルを発動させようとしている。

するとナナが、

「相手はもうレッド。倒してもレッドになることはないから、だから……サクヤ」


「一緒に倒そっ!」


俺は力強いその言葉に強く頷いた。

「私が初撃を受けるから後は任せるよ」

「うん」

「じゃあ、いくよッ!」

ナナはそのまま男に突っ込んでいく。男はスキルを発動するべく剣をナナへ突き刺して来た。

それをナナが両手剣を盾に防ぐ、だが武器にそこまでの防具的機能はない。

それにナナが両手剣で防いだのは刃の部分ではなく、平らな剣の腹で受け止めているため、剣への負荷はかなりのものだ。

「サクヤっ!」

ナナの声を合図に俺は男の元へ駆け込む。

「もう、限界!」

両手剣が粉砕し、ナナは飛ばされる。

その隙に俺は男の横っ腹へ剣を斬り込んだ。

男のHPが残り3割を切る。

「くっ!?」

俺の横からの攻撃に戸惑う男へ休む暇なく斬りかかる。

「はっ!」

俺が通常攻撃を与え続けると相手のHPが2割を切った。

すると男の表情は青ざめていき、今にも泣きそうになる。

「あが、ああ、うわああああ」

俺は止めとばかりに片手剣スキル【クイックスラッシュ】の構えをする。


***


サクヤは右手に持つ剣を剣先を相手に向けたまま、奥へ伸ばすように構え、左手で相手との壁を作る。

「止めて、止めてください!お、俺が悪かった!だから、それを!」

「今さら何だよ……」

サクヤは冷淡に問う。サクヤの瞳は真っ暗だ。

「あ、あれなんだ!ちょっとした、ちょっした嫉妬心だったんだ!それでこんなことを!……お前を殴ったり、蹴ったことは謝る!俺が悪かった!だから、許して、許してくださいい!お願いしますッ!」

男は尻を着き、両手を前にして後ずさる。身体を震わしながら。

「…………」

サクヤの表情はこれまでに見たこともないほど、冷たく見下すように男を見やる。

彼の感情は外見では落ち着いて見えるが、内心はひどく怒っていた。

この醜い存在を今すぐ消し去りたいっと剣を握りしめる。

「もう……遅いんだよっ!」

サクヤがクイックスラッシュを発動させ、剣を一直線に突き刺す。


「ひいいぃぃいいい」

悲鳴が仮想の草原に響いた。

男は怖くてて目をギュッと閉じる。



「…………ん?」



男が目をそっと開けると剣が顔の横ギリギリで止まっていた。


「とっとと失せろ……」

サクヤが間近にいる男へそう告げる。


「!?……はい!すいませんでしたあああ!!」

サクヤの言葉を聞いて、男は一目散と逃げ出した。

あっという間に男の姿は見えなくなり、ようやくサクヤは本日2度目のため息を漏らした。

「はぁ〜〜」

すると、そのままサクヤは地面に倒れこんだ。

「サクヤ!?」

ナナが慌てて駆け寄る。


***


一方その頃、男は。

「くそ、くそ、クソクソクソクソッ!」

さっきまであんなに怯えていたにも関わらず、どうやってサクヤを倒すか、酷い目に合わすか……そんなことを頭に血を上らせながら考えていた。

「また殴らなきゃ気が済まねえ……今度は意識なくなるまでいたぶってやるよ……」

男のHPは残り1割しかない。そんな危ない状況にも気づかないで街へと地面を強く踏みしめながら歩いていた。

すると、

目の前にウルフが1匹現れる。

男にとって今の怒りをぶつけるには丁度いい獲物だった。

男は剣を抜く。

「一瞬で殺してやるよ……」

そのまま駆け寄ろうとした時に男は異変に気づいた。

「おい……ふざけるなよ……どうなってんだ」

男が目を見開くのも無理はない。

なぜなら、狼の数は1匹ではなく、11匹もいたからだ。

狼がこんなにも固まっているのは数時間前に至る。

サクヤがナナの元へ走っている時に何度もモンスターにターゲットを合わされたのだ。

ここの狼は街の付近とは違い、プレイヤーを見つければ追って戦闘になる。

だが、サクヤは必死に走っていたため、戦闘にはならずモンスターをこんなにも引き連れてしまったのだ。

「やめろ、来るな……はっ、HPを回復しないと」

男がHPに気づくのは遅かった。

11匹の狼は既に男をターゲットっとし、攻撃をいつ仕掛けるか伺っている。

「ポーション、どこにあったけ、あああ、どこだよ!!」

そして、一匹が吠えたことで一斉に飛びかかっていた。

「やめろ!こっちに来んな!う、うわあぁぁあああああああああああ」


男はここでHPを全損しーーーー



退学処分となった。


***


「サクヤ!?」

ナナが今にも泣きそうな顔でサクヤの名前を呼ぶ。

「大丈夫だよ……大袈裟だな」

「急に倒れれば驚きもするから!」

怒ってるのか、泣きそうなのか、嬉しいのか、よくわからない表情でサクヤに言った。

すると、ナナは倒れるサクヤの横へ静かに腰掛ける。

「…………ごめん」

「え?」

ナナは膝に顔を埋めて言う。

「……あたしのせいで、サクヤが酷い目にあったんでしょ……殴られたり、蹴られたり……」

ナナは声を震わせながら言った。身体もびくびくと震えていて、今にも泣きじゃくりそうな勢いだ。

「ごめん、何も知らないのに……か、勝手に怒って……あたし……」

ナナの声が裏返る。

「ナナのせいじゃない!」

サクヤは身体を起き上がらせ、ナナの言葉を否定する。

「俺も黙ってないで、正直に言えば良かったんだ……そうすれば、こんなことにもならなかった。だけど、ナナを無視しちゃって……」

「そんなことない!」

すると埋めていた顔を上げ、首を横に振る。

ナナの顔は目の下が真っ赤で、それに顔も真っ赤だった。

「…………」

少しの間、二人に沈黙が訪れる。

お互い黙って、地面に生える草を見つめていた。

すると、ナナがサクヤの目をまっすぐに見て、泣きそうな声で言う。


「……ありがと……ほんとに……」


揺れるナナの瞳に上目遣いをされ、思わずサクヤはドキっとした。

顔が熱くなるのを隠すかのように、サクヤは顔を逸らす。

「た、大したことしてないから!その、大丈夫だから!」

するとナナはニヤついた表情でサクヤに尋ねる。

「ん?あんた照れてんの?ん?」

「べ、別に照れてないから!」

「うわー、照れてんだーきもー」

イタズラっぽく笑うナナの表情はサクヤの見たことがないほど、綺麗で可愛らしいものだった。

「き、きもって、大体ナナはきもきも言い過ぎだから!」

「はいはい、ごめんなさーい」

ナナがこんなにもあっさりと引いたのでサクヤはキョトンとする。

すると、ナナはふぅ〜っと息を吐いて落ち着かせる。

「……サクヤ」

「ん?」

ナナは急に恥ずかしそうに体をもじもじとさせる。

サクヤもサクヤでナナの態度に姿勢を正した。

「これからも、あたしの……パートナーになってくれない?」

サクヤは一瞬「え?」っと固まったがすぐに表情を緩ませ、笑顔で答えた。


「もちろん!」


その言葉を聞くなりナナはホッと胸をなでおろす。

「い、一応言うけど、パートナーっていうのはパーティメンバーって意味だから!」

「わ、わかってるからそんぐらい!」

「あんたはよく勘違いするから言ってんの!このきもオタゲーマー」

「か、か、勘違いなんて今までしたことないだろ!?てか、自分だってコアなゲーマーでしょーがっ!」



サクヤとナナの物語はこれからが始まりだ。

まだまだ長くなりそうである。




だが、彼らはまだ知らない。

この先、彼らを待ち受ける過酷でc悲痛で、理不尽な現実を。


そして彼らは死闘を繰り広げるーーーー


宿敵になることを



第2章 『本当の気持ち』完結。

ここまで読んで下さった皆様ありがとうございました!

第2章-19のあとがきに書いてあった理由のため、ここで一旦、完結とさせていただきます。すいません。


文字数的にこれで約1巻分なので、1年かけて1巻は不味いなっと思いました(笑)

こんなスローペースの投稿にも関わらず、読んで下さり本当に感謝です!


そして、この作品の完結を祝して異世界短編を投稿させていただきました。こちらも良ければ読んでください!

http://ncode.syosetu.com/n2651dd/


それでは……約1年間、本当にありがとうございました!


ではでは!!! また会える日を楽しみにしています……

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