第2章-18
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腰から剣を抜いたサクヤは勢いよく暴れ牛に向かって斬りかかった。
初撃は敵がサクヤに気づいていないということもあり、うまく決まる。
「よし!」
そう言い、次も通常攻撃で斬りかかろうとするも、角で跳ね返されてしまった。
「ぬごおおおお!」
「うわぁっ!」
腰から落ちたサクヤはつい止まってしまう。
「しまった」
と気付くのも遅く。暴れ牛はサクヤに向かって角を突き刺す。
それと同時にHPゲージが減る。
「調子に乗るなよッ!」
サクヤも負けじとスキルで反撃をする。
右上からの一撃は見事近距離にいた暴れ牛に炸裂した。
「うごぉおおおお」
悲鳴を上げる暴れ牛にサクヤはリズムよく通常攻撃を加えていく。
「はあ!はああ!」
その攻撃が当たるたびに敵の怒り混じりの悲鳴もさらに増す。
「これで終わりだッ!」
叫びながら片手剣スキルを突き刺そうとすると、何者かの気配がサクヤの後ろからした。
サクヤはその気配に勘づき、後ろを振り向いたが遅い。
「うわっ!」
勢いの良いタックルがサクヤにぶつかる。ギリギリのところでサクヤが盾で防いだおかげで大ダメージにはならなかったが、状況が最悪になった。
「嘘……だろ」
サクヤの目の前には
「牛が、さ、3体!?」
暴れ牛が3体「うおおおお」と叫んでいた。
「さっきのうるさい叫び声は仲間を呼んでたってことか……そんな情報聞いてないよ」
嘘だろ〜っと焦るサクヤの額には冷や汗がたら〜っと落ちる。
「逃げるのは無理だから…………戦う!」
そう自分に言い聞かせてサクヤは敵の陣に突っ込んでいく。
「まずは一番最初の弱ってる奴!」
サクヤの狙いはさっきまでダメージを与えていた暴れ牛Aだ。
「うおおぉぉお!」
雄叫びを上げながら暴れ牛Aに斬りかかろうとするも、2体目の暴れ牛Bがその道を塞いで角を突き出す。
だが、サクヤは気にせず前進した。
「自爆斬りだ!」
もちろんそんなスキルはない。
走るサクヤは暴れ牛Bの攻撃を左手に受ける。
だが、そんなことも無視し、そのままスキル発動モーションを起こし、暴れ牛Aに突き刺した!
「まずは一匹ッ!」
サクヤの技が決まると暴れ牛AのHPゲージが一気に0になった。
だが、サクヤはこの後のことを考えていなかった。
「やばっ!」
思わずそんな言葉が漏れる。
サクヤの背中はガラ空き、その後ろには暴れ牛Cがまだ攻撃出来る状態だ。
背中へのダメージはクリティカルが高確率。場合によっては死んでしまう。
終わった……サクヤはそう思った。
びくびくしていると、サクヤの背中で金属の音色が響く。
急いで振り返るとそこには
「大丈夫ですか?」
一人の少女が暴れ牛の角を剣で防いでいた。
「だ、大丈夫、です」
サクヤが慌てて返事をすると、少女はにこっと笑って暴れ牛Cを前を押した。
「ぬごおおおお」
暴れ牛CとBがぶつかる。
「右にいる牛は私が相手をするので、左は任せます!」
急に現れたスケットにテンパるサクヤだが、すぐに返事をした。
「りょ、了解」
今はとにかく目の前の敵に集中。そう思い、暴れ牛Bに焦点を合わせる。
「ううぅぅうう」
唸る暴れ牛は前足で地面を蹴り、前屈みになる。
「背中が弱点なのは向こうも一緒だ。隙をつければ……」
小声でそう言い、タイミングを計る。
すると我慢ができなくなった暴れ牛が突っ込んできた。
それに対し、左手に持つ盾を前する。
そして、サクヤはまるで赤マントのようにその盾牛にぶつけさせ、すぐにそれを手放す。
その隙に牛の背後に回り込み一撃うぃ食らわした。
「はあああッ!」
一発斬り込み、怯んだ牛にすぐに2発目を斬り込みXの文字のように斬り込みができた。
「ウノオオモオォォオオ!」
暴れ牛がさっきとは違った叫び声を上げると、HPゲージは0になった。
「よし……」
とサクヤが小さくガッツポーズをするとちょうど横で戦っていた少女も戦闘が終了したところであった。
サクヤは少女の元に近づき、頭を下げる。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、大丈夫ですよ!むしろ私、余計なことしちゃいました?」
少し遠いためサクヤにはあまり表情は見えづらいが少女は不安そうな顔をしたように見えた。
「そんなことは」
と言いかけたところで遠くから声がかかる。
「おーい!ユウ?早く戻んないと置いてくよ〜?」
目の前の少女の仲間が呼んでいる。
「はーい!今行くから待ってよー」
可愛らしい少女はサクヤにぺこっと頭を下げると仲間の元へ走って行ってしまった。
「よくわかんないけど、ラッキーだったんだな俺」
今度会ったらしっかりお礼を言おうっとサクヤは思ったが、時間が経つにすれそのことは忘れ、再び会ってもお互い気づくことはなかった。
***
その後は完全に一匹になってる暴れ牛を一体素早く倒し、クエストを俺はクリアした。
「もうこんな時間か……」
時刻は午後9時を過ぎていた。
すると目の前に楽しそうに話す男子戦士(生徒)たちが通る。
「さっきの子めっちゃ可愛くね?」
「可愛いけど、ありゃ彼氏いるぜえ?」
くだらない会話してないでさっさと狩りに行けよ。
俺がそう思って睨んでいると俺の願いは通じず、話が続く。
「あーいるだろうな。なんかずっと誰かを待ってたっぽいしな」
待っている……?
俺は忘れていた。いや、忘れようとしていたことが頭をよぎった。
「ナナ」
そう呟いた時には俺の足は自然と待ち合わせの場所へ走っていた。
更新遅れてすいません。白川みつきです。
第2章は-20で完結予定なのであと2つですね。
ラストパートも全力でいきますのでよろしくお願いします。
次回の更新は活動報告でも伝えました通り1月18日~1月24日まで更新ができなくなってしまうので(諸事情で)1月25日からの週に更新予定ということにさせていただきます。
次回も読んでくださると嬉しいです。
ではでは。




