第1章-2
あまりの驚くべき状況に一気に眠気が吹っ飛ぶ。
「動く、な、動いたら、斬る、ぞ」
女の子? それに声と手が震えてる?
俺は一旦冷静にするため呼吸を整えて、状況を整理した。
相手は女子で、震え具合からしてこういう犯罪行為に慣れていないのだろう。みるみるうちに手の触れが激しくなっているのがその証拠だ。
俺は小さくため息をつき、本日何回目だよっと自分にツッコミを入れる。
そして、肩の力を抜き、ゆっくりと手を空に上げた。
「も、もってる、ゴ、ゴ、ゴールドを出せっ!」
俺はまさかと思ってチラッと後ろを見ると、またもため息が出そうになったがギリギリで止めた。
間違えなくさっき怒鳴られていた美少女だ。
さて、この状況をどう打破すれば。
「悪いんだけど俺、ゴールド全部武器に使っちまってるからほとんどない」
「ふぇ?」
間抜けた声がすぐ後ろから発せられ、少しナイフが首から離れる。
あともう少し。
「じゃ、じゃあ。アイテムと武器をわたせっ!」
「それもできないよ、っと」
俺は隙を見て、少女の手から離れることに成功すると、少女は口を開いたまま固まってしまった。
「あ……」
こう近くで見るとやっぱり可愛い顔をしてることがわかる。
少女の髪は短く2つに束ねられているツインテール。顔は整いすぎず幼さが残ってる感じで、全体的のイメージは子犬を感じさせる。
守ってあげたくなる感じだ。
とまぁ、こんなにまじまじ感想を言えるほど俺には余裕があった。
だって、さっきから俺を襲おうとした美少女犯人がフリーズしているからだ。
「お〜い。大丈夫か〜?」
俺が少女の顔の前で手を振ると、ぱっと意識が戻ったように「はっ⁉︎」となった。
「こ、こ、こうなったら正面突破‼︎」
「ちょっと待ってくれ! 俺は戦うつもりもないし、このまま逃げるつもりもないよ」
「へ? ど、どうゆうことですか⁉︎」
少女は首を傾けて聞いてきた。
「だから、Gが必要なら俺が手伝ってあげよっかってことだよ」
そんな俺の言葉に口をぽかんとさせると、すぐに。
「そ、そんなこと信じられません! どうせ逃げて通報するに決まってます‼︎ そもそもあなたにメリットがありません!」
またも刃を俺に向けてきたので慌てて言い返す。
「め、メリットならあるよ。俺はOutcast(追放者)だ」
「そ、それって……」
「あぁ。俺はクラスから追放されたレッドプレイヤーだ」
Outcastというのは、何らかの理由でクラスから追放される者のことだ。
この学校ではクラスは2つある。それはリアルの方のクラス。それとは別に上級生を交えたクラスがある。
例で言うと、俺がC組であると、こっちの世界では上級生のC組を交えたCクラスが存在するということだ。
まぁ、簡単に言うと授業を受けるリアルではC組だが、こっちのCクラスには追放されているため、クラスには所属してないということだ。
「…………」
少女は無言のまま俺を見つめているので俺は話を続けた。
「だから、通報はできる立場じゃないし、パーティーを組んでくれる人がいないからいい狩場にも行けない」
実際、追放者は表向きではクラスに所属していることになっているため、正式なモノではない。
学校側もこれに関しては悩んでいるようだが、ルール上。
学校側からSRRには基本的に関与をしない。
ということで教員たちも動けずにいる。
「な、なるほど……」
「これで納得してくれたか?」
「でも、やっぱ……逃げそう」
中々、手強いなこの子……。
「じゃ〜、フレンド登録をすれば、大体の居場所もわかるし。ダメかな?」
「…………それなら」
と言うと目の前に『フレンド登録承認しますか?』と出てきた。
それにもちろん俺は『YES』と押し、少女を見ると武器を仕舞ってくれたようだ。
久々のフレンド登録に懐かしい気持ちになりながらも、ついでにとパーティー申請を送った。
「この際だからいいよね?」
俺はできるだけ優しく言うと、こくりと頷いてくれた。
「じゃ〜、明日の朝の7時にウィリカの酒屋で」
そう言い残し走り去ってしまった少女を呼び止めようとしたがもう手遅れだ。
「俺まだ承諾もしてないんだけど……」
と言ってももちろん返事はなく、一人偽物の夜空を見上げた。
いつも読んでくださってる方も、初めての方もこんにちは!そして、はじめまして。
白川みつきです。
この度は読んでくださりありがとうございます!
誤字脱字など、設定に不明点などがありましたら言ってくださると飛び跳ねるように喜びますのでどうぞよろしくお願いします!!!
次回の更新は、頑張れば明日にでも。最低でも3日以内に頑張ります!
ではでは。