第2章-8
俺が時間稼ぎと行ったクエスト【町端の剣術士】。
色々とクエストを確認してみたのだが、どれもアイテムを集める分類のクエストだった。
とてもじゃないがする気にはならなかった俺は、町外れの暗い細道に足を踏み入れ、キョロキョロと見回る。
広場と違い、この細い道は暗く空が狭いせいで、太陽の光はわずかしかこの細道を照らせていたない。
右左に大きくそびえ立つ壁と家の裏には誰かが描いたであろう落書きがあった。
それに地面にはゴミ箱は乱雑に置かれ、タルや壺が倒れている。その残っていた中身の液体が地面に溢れているせいなのか、足元がヌメヌメとしていた。
まあ、このヌメヌメは身体中にある機械が脳に送っているせいで感じるだけで実際はただの道なのだろう。
それに落書きもタルもゲームの中の設定でしかない。
とはわかっていても、やっぱりテンションが上がっている俺はスキップをするようにこのヌメヌメロードをべちゃべちゃと鳴らしながら歩いていた。
そんな時に『?』マークのNPCを見つけたのだ。
こんなところにクエスト?
俺は興味本意で老人NPCに話しかけた。
「おぉ、冒険者よ。よくぞ、この人通りのない所におった老いぼれに話しかけてくれたな〜」
「い、いやいや」
ついNPCだということを忘れ、否定してしまった。いや、だって、NPCがリアルすぎるから。シワとか肌とかすっごいリアルだから!
「ワシはのぉ。この先何年生きることができるかもわからんと思ってなぁ。自分の剣術の後継者となってくれる者を探しておったのじゃ。だが、こんな老いぼれの剣術など大したものではないと、行き交う者は誰も見てはくれるのじゃ。」
なげぇ……。さっさと本題に入ってくれ。
話し方が元々遅いのに長いせいでかなり時間を食う。
すると願いが伝わったように老人は本題に入ってくれた。
「……そこで冒険者にワシの剣術の後継者になってほしいのじゃ」
最初からそれだけを言えよっと言いたい所だが、我慢し。
クエストを受けますか?という表示にYESと押した。
何だか面白そうだし、内容を見るからにはアイテム収集とか討伐系じゃないみたいだからという理由で俺は決定した。
「では早速だがついて来てくれんか」
と言われ、目の前の家のような小屋のようなボロボロの建物に老人は入った。
いきなり敵とか出ないよな〜。
と思った俺は一応、念のためということもあって剣を引き抜き、利き手でギュッと握りしめ中へ。
そこでは敵は出なかったが、老人の出す課題をとにかくクリアするということを繰り返し続けることになった。
的に向かって剣で斬ったり、遠くから剣を投げたり、NPC老人と同じ型を真似たりとハードな訓練のようなものをやり続け、ついに最後の課題に、
「よくぞここまで来た。我が弟子よ」
弟子になった覚えねえよ。
「それでは最後にワシの剣を3回避けてみよ」
ちょっと待て。身体能力がそのまんま関係しているこのSRRで避けるなんて難題すぎるだろ。
「な〜に本物の剣ではやらぬ。木剣じゃから安心せい」
いや、そうゆう問題じゃねえよ!
「…………」
せっかくここまで頑張ったのにいきなり無理ゲー突入ってひどすぎるだろ。時間返せ時間ッ!
「…………」
おじいさんは無言で俺の返事を待ち続けてくれているが、俺は無視して考える。
いや、でも待てよ。でもこの老人の攻撃だろ。それなら、さすがの俺でも避けれるじゃないか?
「あは、あははは」
自分でも気持ち悪いと思う不気味な高笑いをした俺は、答えた。
「準備OKです」
「……どういうことだよ…………」
40回以上挑んでるんだが、避けられない。
最初の初撃は避けられるようになったけど、その後の2撃目がどうしても避けきれない。
というよりも、この爺さんめっちゃ強ええ。それに剣捌きがめっちゃくちゃに早い。
閃光かよ……。
と思わず呟くほどだ。
これってもしやというか、やっぱり……無理ゲー、いや、無理クエなんじゃ。
だけど、ここで引くほど俺のゲーマー魂は緩くない!
40回も挑んでんだ。何となくパターンは読めたはず。なら……。
「よぉし、もう一回いくぞい」
頷く俺に老人は木剣を振り上げる。
初撃は何とか交わせた俺は2撃目に備え、急いで剣を斜めに持ち変える。
そして、相手の突きを何とか防ぎ、ラストとなった。
「これはいけるかも!」
つい口から溢れた台詞にすぐに俺は自分を責めた。
んな、失敗フラグ立てるんじゃねええよおぉーーーー!
肩に来た剣を避けようと、体を低くしようとした瞬間に気づいた。
フェイントだと……。
足元に思いっきり木剣で叩かれた。
バシッといういい音を立てて……。
それから何度も挑戦した俺は呆気なくやられ続けた。初撃、2撃目、3撃目とどんどん早くなる剣技に俺の体はついて行けてないとうのが現状だ。
ふぅ〜っと一息つく。
そして、時間的にこれが最後の挑戦に挑んだ。
初撃、2撃目はギリギリかわし、防ぐ。
そして、ある意味での最後の3撃目に俺はある勝負に出た。
それは……自分から攻めること。
剣を前へ突き出し、爺さんの体に向かって飛び込んだ。
NPCであるはずの爺さんは、慌てた様子で「まさか自分から攻めてくるとは⁉︎」と思ったように剣を戻す。
俺の攻撃を防ぐために素早く右肘の関節を曲げ、自分の胸へ剣を戻し、俺の攻撃を防いだ。
そして、軽く俺の剣を弾き飛ばしてしまった。
「……よし」
俺は思わずニヤついた。
運が良ければこれでクエストクリアになると思ったからだ。
まず俺の攻撃を防いだ時の爺さんの防御は攻撃とは言えないから3撃目には入らないだろう。
だが、俺の剣を弾く時の動作は俺を攻撃するモーションとほぼ同じ。
つまり、システム的に認識さえすれば、クエストクリアになるのだ。
***
「つまり、そのクエストをズルでクリアすことができたアンタは、報酬としてそのスキルを手に入れることができたのね」
「い、いや。ズルじゃなくて、ちょ、ちょっと頭を使った頭脳プレイって言って貰えると嬉しいかな」
あははと俺が笑うも、ナナさんの鋭い目つきは変わらない。
だから、それ以上睨まれてももう俺の防御力は下がらないって。
「まあ、いいわ。今回はそのスキルに助けてもらったんだし……」
ふうっと一安心する俺。相変わらず弱い。
戦闘中はテンションが上がったから気軽に話せていたが、ちょっと落ち着くともう噛み噛みでダメだ。
「それじゃあ、もう遅いし……」
「そ、そうだね。じゃあ」
とお互い戻る場所は同じなのに別れることに。
すると、俺から3歩ほどは離れた所でナナさんは立ち止まり呟いた。
「……もうあんな自分を犠牲にするようなことはしないで……それで生き残った人の気持ちも考えて…………で、でも……あ、ありがと」
とだけ言うとナナさんは足早に立ち去った。
気のせいだろうか。ちらっと見えたナナさんの朴が赤かったのは……それに……。
まあ、いつまでもさっきの言葉の意味を考えても仕方ないし、さっさと俺も帰りますか。
こんばんは。白川みつきです!
ギリギリセーフ(?)で投稿させていただきました!(笑)
次回からは話がかなり進展する予定なのです!
ナナさんに注目ッ!!
それとですね、かなり話変わりますが……評価も待ってます!(笑)
良ければお願いします!
ではでは!
追記:
8/24
長い間休んでしまいすいません。
次回の更新は今週中に必ずしますので
どうかお待ちください!




