第2章-4
次々にモンスターを狩ってくうちに早くも俺らはレベル2になった。
ちょっと待て、初日でこれは早すぎだろ? 高1のトッププレイヤーでも目指してるのかよ⁉︎
とツッコミを入れたくなるくらいの早いペースで経験値が足されていた。
ちなみに今現在も草原で狼2匹と戦闘中である。
「はあ!」
ナナさんが両手剣を器用に左から右へなぎ払うように斬ると、見事に狼2匹にダメージを与えた。
まだ初日だというのにこの技術力に関心してしまう。
「⁉︎」
俺も負けじと攻撃しようとしたが、その必要もなくナナさんがまたもなぎ払い、なんと2匹同時に倒してしまった。
すると「はぁ」とため息をついた現時点パートナーが俺に近寄って来て、俺はドキドキいや、ビクビクする。
な、なんだなんだ?
呆れ顔で近づいたナナさんは俺の顔を見るや無愛想に言った。
「アンタ……ちゃんと戦ってくれない?すっごい足手まといなんだけど?」
ムカっとした俺は男としてここはガツンと言わねば!
「……は、はい。すいません」
よ、弱いよ俺!弱すぎるよっ!
ま、まあ、実際、初日から喧嘩はよくないし、我慢は大切だ。
言い訳じみたことを自分に言い聞かせ、今日の狩りは終了した。
時刻は17時。現在関係が悪化中のパートナーとは別れ、SRRから出た俺は寮の自室で倒れていた。
SRR内にも宿などがあり泊まることはできるのだが、あいにく現在のポケットゴールドはスッカラカンのため泊まることはできない。
「はぁ〜〜、俺、やってけるのかな〜」
ため息混じりの弱音を漏らし、ベッドでうつ伏せになっていた。
「シャワー浴びようかな」
誰もいない小さな部屋に自分の独り言が響き、俺は起き上がった。
次の日の5時間目。
俺は数学の授業をうとうとしながら
なんとか受けていた。
つまらなすぎる〜早くSRRの時間にならないかな〜。
と心の中でうだうだ言っていると、待ちに待ったチャイムの音色が教室に鳴り響いた。
「では、ここの範囲分の演習をしとくように、それと次のテキストもダウンロードしとくように」
数学担当教師がそう言い、起立、礼を済ませ、5時間目が終わった。
ちなみにだが、俺の席の3つ前にナナさんの席がある。朝のHR時にそのことを知り、こんなに近かったのかよっと声が漏れそうにもなった。
休み時間になった現在の教室は、ざわざわと雑談の声が飛び交い、誰とも会話していない身 (ぼっち状態の俺)としてはうるさく感じる。
俺も雑談できる友達くらい作りたいな、という悲しい願望を抱き帰りのHRまで机に突っ伏す。
そんな俺とは反して、ナナさんは周辺の席に座るギャル系女子と「やっぱさあ、こっちの方が可愛くない?」などと雑誌を見せたりと楽しそうに会話をしている。
SRRというゲームシステムを入れてるだけあって、オタクっぽい人ばかりがいると思っていたが、意外にもああいったギャル系やチャラチャラ系、スポーツ系といった普通の学校と変わらない色んなやつがいるようだ。
突っ伏しすぎたせいか、腰が痛くなってきたので、俺が体を起こすと3席分離れた距離に固まるギャル集団に2人の男が話しかけていた。その男子生徒たちは、ワックスで決まっている黄色に近い茶髪に、少し乱れた服装からするにチャラチャラ系だろう。
話しかけられているのはナナさんらしいく、妙に笑顔が引きつってるように見える。
ギャルのくせして、男慣れしてないのか?実は純粋的な。
いや〜俺に対する態度からしてそれはないと思うけどな。
そんな疑問を抱えつつ帰りHRを終え、すぐに俺は更衣室に向かい、SRR用の服装に着替え、SRRに。
SRRに着いた俺の耳に心地よい鈴の音が鳴り、メニュー画面を慌てて開くとメールが届いていた。
慣れない音に一瞬「なんの音だ?」と思ったが、
メールの差出人は現在のパートナーナナさんからだ。
えーっと、『今日の待ち合わせ場所は、ファーストタウンの教会の前で。』とだけ記されていた。
素っ気なく感じるメールに俺は少し落ち込みつつ、メールを閉じる。
まだ待ち合わせまで時間あるし、簡単なクエストでもクリアしようかな。
そう思った俺は街にいる『?』を頭上に浮かばせてるNPCに話しかけまくり、1人でも出来る簡単なクエストを探し続けること約10分。
よし、これにしよう。と心の中で決め、空中に浮かぶYES/NOボタンのYESをタップした。
そして、俺は腰にある剣を引き抜き、クエストを提示したおじいさんの目の前に建つ家に入った。
待ち合わせ時刻6分後。
俺は大慌てで待ち合わせ場所の教会に着いた。
教会の前には現パートナーがイライラした様子で立っている。
「おっそい! 何分待たせるつもり?」
「す、すいません」
あからさまにわかるほどの怒った表情のナナさんに俺は頭を下げて謝る。
相変わらずに弱々しく。
「まぁ、いいわ」
なんだと⁉︎ 今日は何か優しい!
「その分、今日1日。私に付き合いなさい」
は?
付き合うというのは、恋愛絡みの方ではないのはわかってはいたのだが、まさか……。
「今日はDランククエストをやりたいと思うの」
「Dランククエスト?内容は?」
俺が軽く尋ねるとすぐに答えが返ってきた。
ちなみにクエストは一番下のEからAまであって、今回はDなので下から2番目だ。
「ポイズンラビットを20匹。報酬はクリスタル1個と毒消し5個よ」
「クリスタル⁉︎」
クリスタルというのは、このSRRでの最終成績を決めるアイテムで、このクリスタルが多い者がこの学園での頂点に立てる。
つまりこのクリスタルがSRRの全てだ。
「よくクリスタルが手に入るクエストを見つけられたな」
俺は驚きでついつい馴れ馴れしく聞いてしまった。
「え?あ、うん。普通にたまたま発見したのよ」
俺が珍しく話したのが珍しいのか、ナナさんは目を逸らして頷いく。
「で、でも今回はあんたが遅れて来たんだから、クリスタルはアタシがもらうから!」
よく言うぜ、どーせ遅れなくても最初からそのつもりだったくせに。と心の中で毒づき、了承した。
「な、なによ。その目は!」
「いや、別に」
「な、なんかムカつくっ!」
意外にもナナさんの素直な反応というか、わかりやすい反応に、俺は意外と単純な人なのかもしれないと思った。
「でもポイズンラビットって、毒状態にして来る厄介な敵じゃなかったけ?」
「うん、さすがにクリスタルを報酬に入れてるだけあってめんどくさい内容ね」
クリスタルの入手方は主にクエストクリアの報酬だ。クエスト自体毎日変更されるからクリスタルを報酬にしてるのを探すのも一苦労なので、結構難しいのだ。
それ以外にもモンスタードロップや、錬金、鍛冶ボーナスなどで手に入れることはできるがそれもごく稀である。
「それじゃあ、毒消しアイテムを買いに行こうか」
「言われなくてもわかってるわよ。バカにしないで」
やっぱり可愛くないな、この人は。
と口出しそうになったが、ギリギリで抑えた。
クエストに書かれているポイズンラビットの生息地に着いた俺らは、剣を構えいつでも戦闘状態になれる様にした。
毒消しアイテムも十分に持ったし、一応準備は万全だ。
だが、一つだけ問題がある。それはポイズンラビットこと毒兎の対象レベルが5であること。そして俺らのレベルが2である。
それを20匹も倒さなければならない。つまり、けっこうギリギリになってしまうのだ。
しかも一つにクエストは受けて3日以内にクリアしないと消えてしまう。そにため、急がなくてはならない。
「太陽が眩しいわね。こっちは昼間なのかしら」
「たぶんね。こっちの世界とは時間差があるから」
ちなみに本物の世界は夕方だ。だからか、ちょっと違和感を感じてしまう。
「それじゃあ、慎重にいくわよ。死んだら元も子もないんだから」
俺にそう言ってくるナナさんの表情は真剣だ。彼女なりに一応は心配してくれているのだろうか。
「うん。わかった」
俺が返事をすると一匹になってる毒兎に狙いを定める。
声に出さずに奥にいる兎に指を指し、それに俺は黙って頷く。
そして、俺らは敵へとダッシュで襲いかかった。
向こうは俺らに気づいていなかったようで、先制攻撃に成功。
「はあ!」
俺の剣が毒兎に当たり、現実の世界じゃ、聴くことのできない不思議な鳴き声が響く。
俺らが今いる場所は昨日に似た草原のため、もし敵が離れても見失うことはそうない。
だから俺から離れる毒兎にナナさんはすぐに反応して、攻撃を入れる。
「はあぁ!」
するとポイズンラビットのHPは半分近くまで減る。
だが、毒兎も(負けじと)反撃を仕掛けた。
このモンスターの特徴は長いツノで、このツノに当たると時折毒状態に陥ること。
この毒状態が厄介で、それさえ気をつければ1人でも倒せなくはない。
「うぅ」
ナナさんに当たった攻撃は運良く毒状態にはならなかった。
「このッ!」
怒りを込めたナナさんの攻撃が当たり、ラビットさんのHPが赤に。
いいとこ取りになってしまうが、俺はダッシュで剣を上から下へ斬り込む。
「うりゃああ!」
そして、ポイズンラビットは粉々に砕かれた。
「まずは一匹ね。案外、このペースならすぐ終わるかもしれないわね」
「だといいね。じゃあ、次はあのウサギにしようか、ナナさん」
俺の言葉にぴっくと反応したナナさんはすぐに毒兎に向かって走って行った。
どうしたんだ?と、疑問に思ったが気にせずナナさんの後を追うことにした。
「うりゃあ!」
「はあっ!」
と掛け声を上げながら、ざっと1時間で9匹は倒した。
1匹になっているラビットを探すのに案外時間がかかり、余計な手間をかけたが順調だ。
「あとちょっとね。毒にもなんなかったし、いいペースね」
「そうだね。でもまだ5匹か……」
「そうね、これじゃあと一時間はかかるかも」
時刻は19時越え。これであと1時間かかるとなると、20時は軽く超えてしまう。
「だったら、明日にする?」
と俺が提案したがすぐ却下された。
「アンタ……」
呆れた様な、哀れむ様な表情をしたナナさんは俺をじっと見つめる。
ちょ、女子慣れしてないんだからそんなに見ないでくれる。恥ずかしくて、防御力が下がりそうだ。
「な、なに?」
俺が尋ねるとすぐに、ため息を漏らす。
「アンタ先生の話聞いてなかったでしょ?明日から課題クエが出るから忙しくなるのよ?」
やっべ、そうだった。
「忘れてたんでしょ」
図星だ。
SRRのことを考えすぎて全然HRの内容が入っていなかった……。
「は、はい」
「い・ち・お、パートナーなんだからしっかりしなさいよ」
そんな一応を強調しなくても……。
「それに課題クエは重要なんだから、それなりに集中しないと不味いわよ」
「……はい」
またも弱々しく返事をする俺。
課題クエストというのは、学校側が出す課題で、これを全てクリアするとクリスタルが貰えるというシステムになっている。
というわけで、俺らは今日中にこのクエストをクリアすることにした。
この後を作業は非常に退屈なものだ。
一匹になるまで待ち続ける。そして、一匹になったら攻撃をするという繰り返し。
これがまた大変で、ポイズンラビットが中々一匹にならず苦労した。
そして21時近くになるころ。SRR内でも辺りは暗くなり空には星が見える。
俺らは18匹のポイズンラビットを倒していた。
「あと二匹」
疲れが声に伝わる。
だが、今思ったがナナさんはクリスタル貰えるからまだいいけど、俺は貰えないのにこんな苦労をしなければ……。
という思考はすぐに止められた。ナナさんが敵に突っ込んだからだ。
敵は2匹のポイズンラビット。
「ナナさん?敵は2匹だよ?」
「知ってるわよ!仕方ないでしょ、もう時間もヤバイし」
つまりはヤケクソのようなもんらしい。
「いいからさっさと倒す!」
少しだが、俺は嫌な予感がした。何事もそうだが、気を抜いた瞬間が一番危険だ。
今俺らは約3時間(気を張り詰め)続け、正直疲労がかなり溜まっている。その状態での2匹同時戦闘、大丈夫だろうか。
そんな心配をしていると、前方から二匹のポイズンラビットが俺に目掛けて突進して来た。
「なんで二匹とも俺目掛けて来るんだよっ!」
と盾で防ごうとするが、少しダメージを喰らってしまう。
「うぅ、今のうち!」
と俺が叫ぶと毒兎の後ろに駆け寄ったナナさんが両手剣を低く振り払った。
一匹は見事なジャンプで交わされたが、もう一匹には当たったようだ。
「よしっ!」
珍しく笑顔を見せるナナさん。あんな顔もできんのか……。
って、感心してる余裕ないんだった。
「やあぁ!」
俺が前方の毒兎に攻撃を与え、HPが黄色く染まる。
あと少し。
「こっちの弱ったのは任せるから、あっちはアタシがやる!」
それだけ言い、ナナさんはまだダメージを喰らってないウサギに向かっていった。
「それじゃあ、トドメを刺すか」
俺は右手の剣を突き刺した時だった。
目の前にいるウサギが消滅すると、奇妙な悲鳴が物凄い大きさで草原を(轟かした)。
「な、なんだこの音は」
俺が手で耳を抑えていると、
「きゃあああ!」
次はナナさんの悲鳴が聞こえた。
「ど、どうした?」
目の前の光景に俺は唖然とした。
「1、2、3……ざっと8匹以上いるな」
目の前にいるのはポイズンラビット……それもたくさん。
たぶんさっきの大きな音は鳴き声で仲間を呼んだんだろう。
たしかポイズンラビットは夜行性という設定だったから一気にたくさん来たのだろう。
「ど、どうしよ。逃げる?」
珍しく弱音を吐くナナさんに俺は答えた。
「この数じゃ、逃げ切れないし、この時間じゃ、助けも来ない」
「そ、それじゃあ、どうすんのよ!」
ナナさんの眼が少し涙目に見える。
「やるしかないよ。俺らが」
「無理よ!敵が多すぎるっ!」
「やってみなきゃ、わかんないし。ここで何もしないよりマシだろ」
俺は笑顔でナナさんの眼をまっすぐに見た。
「……わか……よ」
「ん?」
俺はナナさんの声が聞き取れずもう一度尋ねると、次は大声で。
「わかったわよッ!やってやろうじゃない!」
俺は吹きそうになったが我慢して、盾を前に構える。
「俺が時間を稼ぐからその間にMPを回復していて」
「アンタあんな数の敵1人で相手できんの⁉︎」
「なんとかするよ」
「なんとかってっ」
呆れ顔のナナさんはゆっくり頷く。
「……4分待ってて」
「了解!」
俺は敵がいる方へと突っ込んだ。
お久しぶりです。白川みつきです!
そして、更新遅れて大変申し訳ありません!!
諸事情によりずっと更新できない環境にいまして、ついこの前に帰ってきました!
久々に執筆をしてみると、元が下手なのにより下手になっていて焦りましたが、何とか今日の分を書き終えました。
かなりのミスやおかしな所があるので近日中には修正しようと思います。
次回からの更新は2日に一回ペースで更新したいと思いますのでよろしくお願いします!
ではでは!




