第1章-11
***
「えぇぇぇえ!?」
俺はユウの衝撃的発言に驚きの悲鳴を上げた。ここが現実世界なら近所迷惑で苦情が来るほどの声音だ。
口を開いたまま目の前のユウを見ると、耳まで真っ赤にして俯いている。
ちょっと待ってよ。こ、これって?
俺は小声でボソボソ言う。
「いや……でも、その、まだ会ったばっかで、その……えっと、これから積み上げていくっていうか、段取りっていうか」
段取りってなんだよ俺!落ち着けサクヤ!っと自分に言い聞かせても心臓の音はどんどん早まる。
するとぷふっと笑い声が聞こえた。
「ふふふっ」
ユウは口を押さえて笑いをこらえるような仕草をしたが、押さえきれない様子だ。
「え?ちょっ」
俺が唖然としてるとユウは笑い終えたようで、涙を拭いて言った。
「ごめんなさい、つい。その……ただ単に眠れないんで一緒に居てほしいって意味だけですよ」
「そ、そうだよな!ははは」
くすっとまた笑うユウに俺は恥ずかしい気持ちで頭を掻いた。
それでも一緒に寝るってやばいよな。一緒にいるってことは……。
俺は滅多に使わない脳を回転させて結論を出した。
つまりユウが寝るまで一緒に居てあげて、寝たらそっと出ればいいってことだよな?っと俺は解釈することにした。
俺はベッドの横にあるイスに腰をかけて言う。
「それじゃー俺はここに座ってるからいないと思って眠ってくれ」
するとユウは返事と共に頷くと布団を体に被せて倒れた。
窓を通した鈴のような虫の鳴き声だけが聞こえる静まった部屋の中。俺はウトウトしながらもなんとか耐えていた。
沈黙が5分続き、俺は部屋を出ようと音を立てずに慎重にドアまで歩く。
一歩……二歩……。そして、三歩目を踏むときだった。
「サクヤさん? どこ行くんですか?」
少し眠そうな声が俺の足を止めた。
ユウに呼び止められた俺はビクっと固まる。
「まだ起きてたのか」
てっきり寝たのかと思ったよ。
「サクヤさん寝ないんですか?」
「えぇ⁉︎」
唐突に言われた言葉に俺は本日二度目の驚きの悲鳴を上げた。
「ど、どこに?」
さすがに俺は背もたれのない椅子で寝るのはごめんだよ?っとツッコム前にユウは答えた。
「こ、こ、ここですよ」
ユウが指指した方はユウから見て左に空いたベッドのスペースだ。
このベッドは2用らしく、ユウが小柄ということもあってか、大きく感じる。
「で、でも……」
「こ、このベッドって大きいですし、部屋も広くて一人じゃ怖いですし、そ、それにお、お化けも出るかもしれないじゃないですか!」
何か誤魔化すように次々と言うユウの姿を見て、俺はようやく気付いた。
なるほど。
***
ユウはどうしてもサクヤを外で寝かすのが嫌だった。
お金を出してもらって、自分が室内で寝て、お金を出した張本人が外で寝るという状況に罪悪感があるという理由もあった。それともう一つ。自分だけ良い思いをして、まだ会って少ししか経たないサクヤに辛い思いをさせるのが嫌だったのかもしれない。
仮にも今は仲間だから。
(でも、どうすれば……)
沈黙の5分間、ユウは考えた。
どうせ、この部屋を譲ろうとしてもサクヤは絶対断るだろう。
かと言って一緒に寝ようと言ってももちろんダメであろう。
ベッドの上で横たわっているユウはチラっとサクヤの顔を除いた。
眠そうな表情を浮かべ、気合で目を閉じては開いてを繰り返し、見てるこっちが可哀想に思える。
そして、サクヤが帰ろうとした所に自分でも情けない理由でサクヤを呼び止めた。
(引かれちゃったかな……)
そんな不安を抱えてユウはゆっくりと下を向く顔を上げ、サクヤの表情を見た。
だが、予想と反して、サクヤは全てを見透かしたような笑顔で。
「わかった」とだけ静かな声で言った。
***
俺はユウに聞こえるか聞こえないかのギリギリの声で「ありがとう」と呟いた。
俺はベッドの右横、つまりはユウの隣の空いたスペースに横になって寝ようと心掛けたが、どうしても眠れずに時間が過ぎていく。
すると。
「……サクヤさん。まだ起きてますか?」
ユウの柔らかい声が耳に入り、「うん」と返事をする。
「私の話、聞いてくますか?」
先ほどとは違った大人しい声音のユウは俺の方向に体を向けた。
ユウの顔が至近距離にあり、変に意識して顔が熱くなってきたが、「平常心!平常心!」と、心で念仏のように唱え平然を装った。
「……この学校って、ほんとレベルとか、強さが大事なんだなーって最近思ったんです」
俺が首を少し傾げるとユウは続ける。
「この学園で推薦を取るには必要なのは知ってますよ?でも、それだけじゃないってわかったんです」
「というと?」
「……仲間です。レベルが低かったり、弱くなった私には一瞬で周りの仲間が離れていきました。要するに足手まといは要らないって意味何だと思います」
虚ろげな表情に何か輝き溢れるものが見えた気がしたが、暗くてよくわからなかった。
「それは仲間じゃない!」
少し強く言った後にすぐに付け足す。
「って思う。俺も仲間とかそういうのいないから偉そうなことは言えないけど……本当の仲間はそんな簡単に見捨てる様なことはしないと……思う」
はっきりしない俺の言葉にユウは真剣な眼差しで俺の顔を見つめ続ける。
「そんな単純なもんじゃないから、本当の仲間に出会うのは簡単じゃないんだと思う」
と言い終えるとユウは少し考えるような顔をして、また俺と向き直った。
「……そういうものなんですかね?」
「そういうもんだよ」
たぶんっと付け足そうとしたがやめて、代わりにニーっと意地悪な笑みを浮かべた。
「明日は早いし、そろそろ寝よう」
と俺が提案するとユウはにっこりと頷いた。
「……おやすみ」
「おやすみなさいです」
さっきとは違って今度は目を閉じるだけですぐに眠れた。
6/27
こんばんは!白川みつきです!
予定では帰宅まで書くと言って結局、狩場にさえ着いてないというペースの遅さ。
申し訳ないです……。
気を取り直して、次回は、いや次回こそ、帰宅とその後を書きたいと思ってます!
そして、次回で第1章終了です‼︎
ここまで読んで下さった方々、初めての方、ブックマークを登録して下さった方々、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!
次回の更新日は事情により未定とさせていただきます……。
出来れば、来週中にしたいのですが学生にとっての大きな難関。試験というものがありまして……それによってできないかもしれないです。
最低でも7月12日には更新しますので、お願いします。
それとTwitterを始めましたー!
小説の更新情報など色々と呟くのでフォローお願いします!
@sirakawamikkun
ではでは!
追記
その1
数部で完結する短編風の連載新作を現在執筆しています!
こちらの作品は、今まで以上に丁寧に仕上げているので公開は遅くなるかもしれないですが、読んでくださると嬉しいです!!
その2
とある所で『セカンド・ワールド・オンライン』の感想と指摘をいただきまして、その意見を元に7月か8月中に全章、部を修正&加筆する予定です!




