九話 顔合わせ
白い扉。香さんは扉の鍵を開け、中にはいる。
「…日光さんか…」
「え…?」
そこにいたのは自分とあまり年齢の変わらないような男子だった。
「…そっちは…」
こっちを見つめて、目が合った。
「ああ、こっちは本日から此処で働く事になった横濱弘星君」
「横濱…弘星…、社長の息子か…」
単語の間に細かく息を吸う音が聞こえる。彼は見るからに痩せて衰弱している。そもそもこの部屋は窓は無く、布団や枕、机の鉛筆までが真っ白だった。正直目が痛い。
「…で、弘星君、こっちが君にとっての初仕事のお相手様、神崎義人君」
「どうもよろしく」
「あ…、えっと、よろしく」
ぎこちないながらも挨拶を済ます。
「さて…、君には本来こっちから見てもらうべきだったんだが…」
活動課。
入口にそう書かれたプレートがある。
「タイルスのヒーロー達は、他のヒーローとの衝突に関する『防衛課』、市民に関する『一般課』、情報操作や支部の管轄などを行う上層部、『特務課』、その他の活動を行う『雑務課』に別れているの。そして、それら全ての仕事をまとめて行うのが我ら『活動課』というわけだ」
そして香さんがドアを開ける。
「みんな! 新人の横濱君!」
クラッカーの音と共に迎え入れられる。
部屋は窓側に来客用と思われるソファーとテーブル、反対側にはデスクが並び、奥にミニキッチンがある。決して広いとは言えない。
中にいるのは女性二人に男性三人。香さん合わせても六人だ。
「ささ、座って。全員紹介するから」
ソファーに腰掛け、お茶をいただく。
「えーっと、私は富士 仁美。能力は『手中返還』。よろしくね」
お茶を持ってきた二十歳位の女性が話す。栗色の髪が目立つ明るい系の女性だ。
能力、というのはヒーローの力の事だ。確か自分の能力を表したオリジナルの四字熟語がつけられるという。
「俺は壁寺 定。17歳。能力は『重量減少』」
自分と二つしか歳が違わないのに、随分と大人びている。詰襟がよく似合っている。
「僕は21、『経験値大』の三神 常松です」
メガネで痩せ型なかれは無愛想にパソコンとにらめっこしている。
「私は星野 結。よろしく」
優しそうな人だが、無口な人だ。
「俺は平氏 寛太。ここじゃ最年長の43だ。力は『発信追尾』よろしくな」
漁師のイメージを抱く粋な人だ。
「そして私が能力『範囲攻撃』の日光 香。よろしく」
改めて差し出された手を握る。
「ようこそ! タイルス『活動課』へ!!」
また暫く時間空いてしまいます




