八話 初仕事(?)
遅くなりました
「あの…」
「どうかした?」
「いや…、あれだけで良かったんですか?」
「別に大丈夫さ」
香さんは優しく答える。
部屋に連れていかれて何をするのかと思えば、MRIで身体検査しただけだった。
「ヒーローってのはね……動物に感知できないほどの特殊な電波を発しているんだ。それを確かめただけだよ。詳しい能力については明日以降決める事にして……」
エレベーターを閉め、香さんは地下のボタンを押した。
「君には早速仕事をしてもらいたくてね」
「へ?」
「いやいや、ここに所属したからにはちゃんとやるべき事はやってもらわなくっちゃ…って、言ってなかった?」
そういえば朝食の時に言っていたような言ってなかったような……
エレベーターが地下につき、重いドアが開く。
「……?」
一面真っ白な部屋だった。白い天井に白い床に白い壁。窓や換気口なんてなかった。
「相変わらずここの趣味の悪さには驚くわ。あなたがもう二度とここにこない事を祈るわ」
香さんが顔をしかめながら歩く。
「ここは……?」
「地下牢獄よ」
「ろ…!?」
「主にヒーローの力を悪用し、非行に走ったもの達がいる場所よ。それで……、最近この辺りで通り魔事件が起こっているのを知っている?」
「ええ……」
被害者は全員鋭利な刃物で切り裂かれたような傷を負っている。
「少なくとも人間業じゃないわ。…ヒーローの力よ。そしてここにその事件の容疑者がいるの」
「え…?」
「私達の仕事は囚われているその容疑者を冤罪から助ける事」
「え…、冤罪?」
さっきから話についていけない。
「もともとかれはここの職場でも嫌われ者の問題児だったの。そして今回の通り魔の手口が彼の能力でも可能だったから、これを気に、邪魔者を消しちゃおうって訳」
「そんなのありですか!? 仮にも正義の組織が! それに、信頼関係とかも…」
「お偉いさんは天下りとかあるから別にいいのよ。それに……ね、」
「?」
「完全な正義なんて、ないのよ」
香さんは意味深な表情で言った。
「さて……、」
香さんが足を止める。続いてその横に行く僕。
「ここよ」




