七話 新生活スタート
『RRRRRRRR…』
目覚まし時計が鳴り響く。
「んあ……」
手探りで枕元を漁って時計を探す。
『RRRRRRR』
何処にもない。
そこでようやく気がつく。
昨日の出来事。
「確か家が襲われて…」
『タイルス』っていう会社に保護されていたんだった。
すっかり目が覚めた僕はゆっくりと布団からでて、部屋を見渡す。
ベッドが四つ、カーテンで仕切られているだけの質素な部屋。病室みたい。
いるのは僕だけ。場所は一番ドアの近く。窓から差し込む光が遠く感じる。何時の間にか目覚まし時計は止まっていた。
「お目覚めかな? 横濱弘星君」
ドアが開き、人が入ってくる。
「! あなたは…」
昨日逃げた先で待っていて、保護してくれた…
「昨日は助けていただきありがとうございました」
頭を下げる。
「あ、いや…、まあ」
彼女は少しだけ困った顔をして、話を進める。
「私は日光 香という者だ。君の保護者代わりとなる。よろしくな」
髪は短め、目は大きめ、服装は特に目立ったものはない。
意外と美人。
でも、保護者代わりって…
「君も知っているとおり、厳しい事を言うけど、両親と叔父さんを失った君には完全に親族がいなくなった」
「……」
そういえばそうか。
「それで君はこれから此処を住居にしてもらい、此処で生活していただきたい。……いいかな? もちろん部屋は別の個室を用意してある」
「…はい」
断ったところで行く当てもない。それに何もわからない今は、こうして何かに頼っていた方がいい。
「…よし!」
時計を見て伸びをする。なんだか秘書みたいな人だ。
「君は無事ヒーローとしての力を目覚めさせたわけだ。君は今日から『タイルス』のヒーローだ。とりあえず登録が9時からだから…、それまでに御飯食べちゃおう!」
彼女の元気に押されて僕は頷く。
「あの…、日光さん…」
「香でいいよ」
「じゃあ…、香さん……、これから、よろしくお願いします」
「おうよ!」
明るい声で彼女はガッツポーズする。
よくわからないままここに入ったけど…、これからいろいろ見て行こうと思う。僕の新生活スタートだ!
そう思うとなんだかテンションが上がってきて、僕は軽い足取りで香さんの後を着いて行った。
……でも、何か忘れている?




