三十二話 迷宮⑥
迷宮編、長し。…でももうすぐ完結!
時は少し遡る。
「…………」
攻撃そのものを避ける事はできない。だが急所を外したり受け流したりしてダメージを減らす事はどうにかできる。
「……………!!」
固いボールが膝を叩く。思わず膝を着いたところにワイヤーで連結された槍が襲いかかる。
「あ"…」
体が限界を訴える。
「…………限界、かな」
退屈そうに木の槍やバウンスボールを投げていた青年はその手を止め、こちらに歩み寄る。
「まああれだけのハンデがあったんだし良くやったよ」
地面に対して並行に倒れているため見えないが、足音は確実に近づいている。
(…迷う事なんてなかったんだ…)
それは後悔では無い。単純な決意。
(…唯一の、力…)
足音が止まる。
そこを見計らって最後の力で立ち上がる。
グレーに光る両手で正面から抱くように青年を囲う。
(…これすらも想定内、か……)
青年は笑っていた。
(…でも今更、退ける…か!!)
たとえ到底かなわない相手にだって、力があるなら、才能があるなら、
「…………挑む!!」
両手を合わせる。ついこの間編み出した新技。強さの源となる『感情』は…、『諦めない心』。
両手が爆弾になったかのように、両手を中心にエネルギー波が広がる。
その時、彼が驚きの表情を浮かべたのを弘星は知らない。
自分の体が宙を舞い、地面に叩きつけられるのがわかる。
(…………)
体が動かない。
「…撃ってくるのは、僅かとはいえ想定内……」
声がする。
(…駄目だったか…)
やるだけやれたんだ。後悔は無い。
「…予想外だったのはその威力。…まさか暴発すら気にせず全力を撃ち込んでくるとは。流石…に…、少しは効いたよ」
それは彼にとって最上級の褒め言葉だった。
「この場で殺すのは惜しい」
「それにこの迷宮ももう長くないしな」
「だから今回は逃す。別に目的は君じゃなかったし」
独り言のように話を進めていく。
「最後に。約束していた正体について。わからなかったら大人に聞いてね。目良理。翼っていうとこにいる中央の幹部。それじゃ」
わずかに開く眼から彼の姿が遠ざかるのがわかる。
「……っと、忘れてた」
その動きが止まる。
「君、何か大事なことを忘れているね。意図的に。…それがわかったらもっと強くなれるよ」
今度こそ彼は去っていった。
「……………」
後に残ったのは、闘いの残した爪痕と、静かに涙する少年だけだった。
流れおさらいその2。正規ルートの方です。
二十話 慣れた後の
中原&渡辺が買い出し→事件勃発
二十二話 迷宮①
中原&渡辺vs謎の男→渡辺負傷、神崎登場
二十四話 迷宮②
横濱vs謎の男→中原、朽木&横川と出会う
二十六話 迷宮③
神崎vs月影夕与(謎の男)
二十八話 迷宮④
横濱vs謎の男
三十話 迷宮⑤
中原&渡辺&朽木&横川、横濱を見つける
…見事にごっちゃごちゃ。




