二十七話 彼女達
ちょいちょい@が入っている所があったりします。見つけ次第消してはいますが…
光の筋が空中に広がる。それを発した者とそれを避ける者。都市部を少し離れた廃工場にて二つの影が対峙する。
片方は黒いジャージに身を包む青年。『翼』という組織から派遣された戦闘員。
もう片方はクリーム色の髪に白い肌、金色の瞳といういかにも外国人、という感じだった。『魔女』という組織の構成員の一人だ。
彼女は懐から何やら長い物を取り出す。様々な電池が繋がっている鞭の様な物だった。
「ふを!」
その鞭を横に振るう。電池一つ一つから光の筋と化した電気が噴き出し、青年に襲いかかる。
それを回避し、銃を取り出す。
少女は鞭を持っていない方の手で懐から大きなモーターを取り出す。軽く宙に放り、片手で手を近づける。
またしても電気が、今度は@を中心に円を描くように広がる。
引き金を引き、弾が飛び出すが、それは盾代わりとなった電気によって阻止される。
青年に嫌な汗が流れる。
少女は鞭と盾をその場に捨て、青年の方へ走る。地面にあった何かを蹴り上げ、自分も地面を蹴り、跳ぶ。
菓子の箱位のサイズの縦に細長い直方体。六面全てが黒く塗られている。
それに向けて両手を向ける。
バチバチ、と音をたてながら手と直方体を一本の電気が通る。さらにそれは直方体を通過し、青年向けて真っ直ぐ伸びる。細い槍の様に。
蓄電倍出。
電気を蓄えている物を媒介し、その何倍もの電気を放出させる事のできる彼女の能力。電撃系、というよりは倍増の能力を特化させたようなものだった。
ヴァルプルギス。
北欧系の伝承の一種であり、有名なのは『ヴァルプルギスの夜』と呼ばれる北欧の祭りだろうか。本名かどうかはさておき彼女の名前である。彼女は密入国者だった。ガードの堅い国境付近を様々な工夫をし、結果として入国は成功。しかも未知なる力を手に入れ、『ヒーロー』にまで辿り着いた。本来日本人のみと言われていたヒーロー。彼女の
存在が一般に知られたら国中大騒ぎだろう。そういった意味でも彼女は表には出れなかった。だったら今はやる事をやるのみ。
電撃の槍はひたすら真っ直ぐ進み、青年の心臓を射抜く。
☆
「…………」
右、左、右、右、…
都市部の入り組んだ裏通りをくねくねと曲がる。しかも常人離れした恐ろしい速さで。
(…やつの力が本当ならば、これで証明されるはずだ…!)
更に左に曲がった所で足を休める。周りに人の気配は無い。追っていた人もまいたのだろう。とある男は安堵の息を吐く。そして、
「みぃーーーつけた♪」
歪んだ表情を最後に見せて、男は散った。
(…あの程度で撒けたと思ったなんて……、甘いあまい)
裏通りをくねくねと曲がりながらゆったりと歩く女が一人。彼女はポケットから携帯電話を取り出すと五人に電話を掛ける。
「全員聞こえてるよね? とりあえず今から私とヴァルプルギスは『左翼』の杉護と交戦中のマレフィキウムの所に行くから残りの三人は山から降りて来い。以上」
返事も待たずに電話を切る。
ウィッカ。
一見可愛い名前の彼女はとある少人数精鋭組織の『魔女』のリーダーだ。
電話が鳴る。女はポケットに手を入れて携帯電話を取り出す。先程とは違う物を。
仕事用とプライベート用。携帯電話を公私で使い分ける人はいる。彼女の使用はそれと似ていて異なる。
「…もしもし?」
通話ボタンを押し、相手の声を聞く前に名乗る。
「こちらタイルス特別部隊02班、捜査部隊隊長、伊丹涼子ですが」




