二十二話 迷宮①
できたから投稿しようと思って寝落ちして早三日。
「…、また行き止まり!?」
とうとう力尽きてその場に座り込む二人。
「ゴールないよこの迷路…」
路地が消失してから適当に歩き続けてまだ15分だったが、既に1時間以上も歩いている気分ですっかり疲れてしまった。所々に袋小路があり迷路のようになっている。
「『ヒーロー』…、よね、このあり得ない被害…。実際に受けるのは初めてだな…」
渡辺が諦めたように力無く笑う。
「俺はもう5回目位かな…」
中原も力無く応じる。
「…それは多すぎ」
☆
そしてその頃、
「あいつじゃないか!?」
神崎が指差す先にいたのは@、いかにも場違いな男。
「奴じゃないにしても、怪しい! おい、そこのあんた!」
神崎の声に反応し、男がこちらを見る。
「…この辺でヒーローを見なかったか?」
「……」
神崎の問には応えず、横濱、神崎と順に目を合わせる。そして、
「「消えた!?」」
慌てて周囲を捜す二人。しかしそこで二人はある事に気がつく。
「なあ、神崎…。この道…………神崎?」
彼の声がしなくなり、後ろを振り返る。
「っ、神崎!?」
そこにあったのは、家。
(神崎も…、消えた!? いや…、ここに家なんてなかった…。これが、壁の様に…)
今更危機感を持ち、周囲を警戒する。
(道自体が変化してる…。迷路みたいに…。とりあえず携帯は当然繋がらないし…、おそらくあの男と目が合ったあの瞬間からもう奴の中だったんだ…。まずは神崎を捜さなければ…、)
孤立してしまった事については今更責めようがない。横濱弘星は迷宮と化した住宅街を進む。
☆☆
「………」
「………」
無言で歩き続ける二人。時間は30分程しか経っていなかったが、どこまで行っても終わりの見えない道。精神的に追い詰められていた。
そこに天使…否、悪魔が微笑んだ。
「…ご機嫌はいかかでしょうか?」
突然通りの角から人がでてくる。それは、あの男。
「! あんた!」
「やっぱりお前か!」
噛みつく二人。しかし男の方は別段気にする様子もない。
「……、ちょっと部外者には寝ていてもらいましょう」
背中の方から取り出した物は…、
鎖の様な物。先にはおもりがついている。
「……?」
それを片手で何回か回して勢いをつける。
「…! 中原!」
気づいたときには既に鎖の先に付いたおもりが襲いかかる。
「!!」
中原の腹辺り、彼が抱えていた菓子の入った袋に当たる。中身は弾け飛び辺りに散り、中原自身が2M程吹き飛ぶ。
「痛った……、渡辺!!?」
同じ攻撃を喰らった渡辺だが、菓子の様なクッションになるものがなく、モロにダメージを受けて気を失って、倒れる。
「如何かな! 私の創り上げたこの迷宮は!!」
男が上に両手を広げ叫ぶ。
「この力、『創神迷宮』により私と目を合わせた者は全てこの迷宮に違和感なく移行する! この迷宮は私の思いのままに動く! 君達は永久に私の『玩具箱』の中で遊びたまえ!!」
(頼んでもないのに能力の解説を始めやがった…。お陰でどんな力かは解った。だがまずはこの状況…)
「私が見たいのはヒーロー同士の対決。…既に一部では始まっているようだが、兎に角一般人に動き回って欲しくないからな。君達は眠ってるが良い」
再び鎖を回し始める。
(まずい…!)
頭ではわかっていても、身体は正直。正常に考える事ができた事が不思議な位恐怖で震え、動けない。
「ーーーーーー!」
鎖が放たれる。
「ーーーーー?」
聞こえたのは地面を蹴る音。
何かと何かがぶつかる、金属同士の様な、高い音。
目を開く。少なくとも自分に被害はない。
そこに立っていたのは、
「……か…んざ……き………?」
「待たせたな! …なーんて」
手には市販のカッターナイフ。それだけであの鎖を受け止めていた。
「!? んなっ!?」
驚いて鎖を引っ込めようとする所にカッターナイフを斜めから差し込む。今度は金属同士のぶつかる音はしない。
鎖が綺麗に切断された為だ。
「!!?」
切れた先を見つめ、驚く男。中原は驚かない。知っているから。それが、彼の能力だと。
「いいか中原。渡辺を連れてここを離れろ。この迷路の何処かに横濱がいるはずだからできたら合流しろ」
「いや、神崎…」
「早っ…!」
わずかに怯んでいた男が再び攻撃を放つ。
「…早く!!」
鎖を受け止めながら叫ぶ。
(足は動く…。神崎のお陰で恐怖心が少し消えた…? 確かに……、今しかない!)
「わかった! 横濱を見つけて呼んでくるからそれまで耐えろ!!」
渡辺を無理やり背中に乗っけて走る。
「な……」
男の表情が変わる。受け止めていた鎖を再びカッターナイフで切り裂く。
「…あんたの声が聴こえたからここに来れたんだが…………、」
神崎の目つきが変わる。
「…!?」
「……見たいんだろ? ヒーロー同士の対決……、やろうぜ」
登場人物紹介
NO.009
???? (マレフィキウム)
♀
魔女
157
16
B
A
A
A
A
学生として過ごす日常
予測不可能な物
組織『魔女』所属。銃の量と桁外れの身体能力での戦闘を行う。
NO.010
杉護判治
スギゴハンジ
♂
????
190
75
28
A
A
A
A
A
とある人々
とある人々を見捨てた人々
とある組織の重役。スーツに革手袋が普段の格好。
『ヒーロー』について
③
ヒーロー発生当時、ヒーローは日本人でおよそ百万人に一人程だったが、現在は千人に一人程度とだいぶ確率は上がっている。
④
能力の一つに『無限災害』と呼ばれるものがある。桁外れで世界そのものに影響を与えかねない能力の総称である。かつて『破』と『滅』の衝突により、世界が唯ならぬ被害を受けたこともある。しかしその強力さの代償か能力の使用は特別な条件を満たさないとできず、それは一生に一度しか来ないと言われている。




