二十話 慣れた後の
11月。新しい生活も一ヶ月が経った。学校生活は順調で、今は転校してから初めてのイベント、文化祭に向けての準備を進めている。
「……はぁーーー……なんで俺なんだか…」
「ぐだぐだ言わないの。ほらこれ持って!」
菓子の入ったビニール袋を強引に持たせる。
「お前頼める友達とかいないの?」
「皆忙しいの! 暇そうにしてるあんたが悪い」
「だいたい差し入れって…、金渡す位なら先生も自分で買って来い、って話だよな…」
「ほら行くよー!」
先に歩き出す渡辺を渋々中原が追う。
差し入れを買ったコンビニから学校までは住宅街を5分程歩く。今日は土曜日、時刻は午後2時。住宅街に他の歩いている人は見当たらない。
「しかしまあ、随分と買ったな……」
軽いはずの菓子類だが、持つ袋は意外と重たい。渡辺が持つ袋にも2Lのジュースの入ったペットボトルがいくつか見える。
「まあ40人もいればこれ位は必要でしょ。金は全部先生が負担するんだし。多少多めでもいいってことよ」
「………そういうもんか…?」
いまいち納得しかねる所もあるが、なんだかんだととりあえずは
学校へ向かう。
「……なんだあれ」
「………さぁ?」
曲がり角を曲がった先にいたのは、修道服に身を包んだ男性だった。目が突出していて、何かを探しているように落ち着きなく動いている。
「修道服…? この辺りに教会なんてあったっけ?」
「関わらない方がいいって。行こう」
その時、声が聞こえたのか男が突然こっちを見た。
「「!」」
目が合う。大きな目が渡辺、中原と順に一瞥する。
(…だから早く行こうって言ったじゃん!)
(俺のせいかよ!)
(早く行こう!)
男は何をするわけではなく隣の通りに消えて行く。
「何だったんだろう…?」
「もう忘れよ…………あれ?」
次の曲がり角を曲がれば学校である。が、
「…行き止まり?」
曲がった先にあったのはT字路だった。直進できない。
「……道間違えたか?」
「いや、…でもな……」
とりあえず先の通りに引き返そうとする。
「「!!?」」
そこにも道は無かった。
☆
「渡辺と中原、遅いな…」
「そうだね…」
休憩がてら窓際で小鞠と雑談をする。
「時間、かかってるのかな?」
「彩恵がいた方が作業が進むんだけどなー…」
「確かにやる気があるもんな。しかも空回りしない所が凄い」
(まあ小鞠といるとやる気以前に力が抜けるんだがな…。脱力系ってやつ?)
「っ横濱!」
突然教室に他クラスの生徒が乱入してくる。最早お馴染み、神崎義人だった。
「またお前か…。どうしたんだ?」
ちょっと、というふうにこっちに来るように手招きをする。いつもであったらそのまま引っ張って行くので、そこのところ、いつもと違うやり方に違和感を覚える。
「どうしたんだ?」
教室の外までついていき、用件を尋ねる。
(近くにヒーローが出現した。詳しい事はわかってないが裏門付近を徘徊してるらしい)
教室に背を向け、肩を組みながら神崎が耳打ちする。
(…で行けと?)
(そういうわけなんだ。先に先輩は行ってるんだが…)
裏門…、名前の通り学校の
裏側に位置する門で、生徒の出入りを主な目的をする。住宅街に繋がっているため、あまり使われないところだ。
(あれ? でも確か……)
裏門について何故か考えながらとある事を思い出す。
(どうかしたか?)
(………)
(…?)
「あ!!」
「!?」
神崎が耳を抑えて弘星の方を見る。
「うるさっっ……どうした!」
「確か中原と渡辺が…、そっちにいるはず!」
登場人物紹介
NO.005
渡辺 彩恵
ワタナベ アヤメ
♀
162
16
C
C
C
B
C
特売、絵画
怠惰
小学生から学級委員などを努めていて、リーダーシップに長けている。やる気が空回りしない。熱血系で威圧感があるように見えるが実はそうでもない。
NO.006
紗倉 小鞠
サクラ コマリ
♀
156
15
D
E
D
E
D
友人、家族
新しい物
美人で人気が高いが本人は天然と鈍感であまり気がついてない。真琴と幼馴染で昔から色々面倒見てもらってる。(本人としては好い加減自立したい。)犬を飼ってる。
『ヒーロー』について
①
特殊能力者の総称。現在でも詳細は不明。50年前頃から日本人限定で発生している。現在はごく僅かだが外国人でも存在する。能力者からは微量の特殊な電波が流れ出るため、測定器を用いて識別する。
②
能力は十人十色。(稀に重複するが基本的には若干違ったりする。)ヒーローになった場合はいずれかの組織での登録が義務付られている。識別の関係より能力名は漢字四文字に置き換えられる。この登録を行わない者を『偽ヒーロー』と呼ぶ。




