二話 失う出会い (二年前) 下
…いきなり何が起こったのだろう。
未だ状況が理解度できないが、それはすぐにわかった。
「大丈夫!? 横濱君!!」
「…白木…?」
そこにいたのはクラスの女子、白木智子であった。しかしその格好は、いつもの可愛らしい私服とはかけ離れていて、黒色の長袖に黒色のズボンと、全身黒色人間だった。
「…ほっっ……、よかった…。横濱君無事だったんだね」
白木が安堵の表情を浮かべる。
横濱君、とは横濱弘星、すなわち僕の事である。
「ここは…? それに、どうして白木が?」
白木はちょっと照れながら答えた。
「えへへっ。わたし、実はヒーローだったんだ。ずっと隠していたけれど。ここは隣町。私の力で『瞬間移動』したの」
「隣町!? あの火の中にはまだ父さんと母さんが!」
隣町からも、燃え上がる火柱が確認できる。
普段なら白木の秘密のネタだけで一週間はやっていけるのだが、今はそれどころじゃない。
「それについては私が今から戻るから。横濱君は叔父の家にすぐ行って。事情もそこで説明してもらえるはずだから。急いで!」
叔父の家は隣町。つまりここからそう遠くはないはず。
見た事ない位焦った白木を見て思わず頷いてしまった。
「うん…、じゃあ、ね!」
白木の姿は一瞬で消えた。
暫く座りこんだままだったが、僕はゆっくりと立ち上がると叔父の家に向かった。
事情を知っているなら聞こう。もっと白木からいろいろ聞きたかったけど。
まずは父さんと母さんの安否。
次に奴らの正体。
頭の中で聞くべき事を整理する。
これが、二年前の出来事。
突然過ぎると思いますが、またいつか詳しく書いていきます。
次回、
三話
失う出会い 上