十三話 転校
翌日…。10月初日…
「今更ながら思うんですが…」
「ん?」
「この時期に転校ってあんま無いですよね…」
「まあ、そうだね…。はい弁当」
「え? てっきり貰った小遣いでやりくりするのかと…」
「不慣れで簡単なやつだけど、よければどうぞ」
「忙しいのにありがとうございます。ごちそうさま」
「ん。いってらっしゃい。あ、そこ、ネクタイ曲がってる!」
「え?」
「生徒手帳持った? 忘れ物無い?? 一人で大丈夫???」
「香さんって………、過保護?」
「……」
「……う、うるさい! 早く行け!」
「わっ! いっ、いってきます!」
「げっ」
ホームに駆け込んできた電車は見事に満員御礼。ドアが開き人が押し出される。降りる人は僅かなのに乗る人は大量。その中に自然と押し込まれて行く。
(朝の電車って本当に戦争だな)
なんとか吊革に手を掛ける。この路線はこの辺りでも一番混むらしい。そんな中急カーブなんてあったら…
(!!? ぐっ…)
全体の重心が傾き、肺が圧迫される。そして、
ドン、と何かが胸辺りに当たる。
「す、すみません…」
学生だった。が、小さい。平均的な弘星から見ても小さい。小学校高学年〜中学生レベルかと思えば、
(同じ制服…だと…)
しかもネクタイの色からして、タメだ。
そんな事に驚いたりしている間に最寄駅に。人と一緒に流される。
(こ、これを毎日…)
前の中学、高校は徒歩圏内なので、生まれてこの方電車に乗る機会もあまりなかった。
☆
「…というわけで転校生だ」
「東京県から来ました、横濱弘星です。よろしくお願いします」
下げた頭を上げ、一番後ろの席につく。
皆の視線が集まる。もともと目立つタイプではないため、こういう慣れてないのは、なんだか恥ずかしいような気持ちになる。
「質問とかがあるなら休み時間にしておけよ。じゃあ、授業始めるぞ」
とりあえず教科書とノートを取り出し、授業の準備にかかる。
☆☆
休み時間…
「ねぇねぇ、東京のどこから来たの?」
「やっぱり親の転勤とかが理由?」
「前の学校はどんな感じだった? 部活は?」
☆☆☆
「はぁー…」
次々とくる怒涛の質問にようやく対応しきって、授業のチャイムと同時に息をつく。
「お疲れさん。大変だったねー」
「!?」
急に声をかけられ驚く。
「あ、今朝の…」
車内で衝突した人…
「うん。朝はごめんね。大丈夫だった?」
「あ、全然」
やっぱり小さい…。それでいてなんだか横に出ているような…。丸っこい…?
隣が休みで更に教室の端だから実質気軽に声をかけられる唯一の席、弘星の前に座っているその男子。小さく、ちょっと丸い男子は、
「俺は中原 健。一応席も前だし、なんかあったら聞いてね。よろしく」
「あ、うん。よろしく」
また何か聞かれるか一瞬身構えたが、授業が始まったからかさっきの問答を聞いていたのか、特に話してくる様子も無く終わった。
☆☆☆☆
昼休み…
「あー…、終わったー」
授業のチャイムと同時に伸びをする。とりあえずは昼食だ。折角だし誰かと食べて友好を深めておきたいのだが…、購買か食堂か、大半の生徒は教室にいない。いるのは女子オンリーのグループ二つ…、は流石に厳しいな…。となるとあと一つ、男女混合の少人数グループ…。
「…昼飯一緒にいい?」
少し勇気を出して言ってみる。
「ん? …ああいいよ」
まだ見た事ない人達だった。さっきの問答のときに全員来たと思っていたが…。だとしたらそういうのに興味が無いんだろうか。だとしたら悪いな…。
「そこ座りなよ」
女子2人と男子1人。机と椅子は4つ。とりあえずそこに座るが、誰か来る為なんじゃ…。
「あ、横濱君」
「!」
後ろを振り返るとさっき話したばかりのクラスメイト、中原がいた。手にパンを抱えているところからして購買部にでも行ってきたのだろう。あれ? じゃあもしかしてこの席…
「ああ、いいよいいよ」
そういって近くの席から椅子を持って来て隣に繋げる中原。
「そういや三人は自己紹介まだなんじゃない?」
中原が紙パックにストローを刺しながら言う。
「まあ、確かにそうね」
そう言って立ち上がったのは隣にいた女子だった。
「私は渡辺 彩恵。一応このクラスの級長を務めているわ。よろしく」
背中まである長い髪が揺れる。所々跳ねていたりする。目は釣り上がり、怖そうな印象がある。
「じゃあ次は私かな」
正面の女子。こちらは渡辺とは逆で、綺麗な顔立ちにさらりとした髪をもつ。
「紗倉 小鞠です。よろしくねー」
声まで透き通るような感じで………
「良川 真琴。よろしく」
「わっ!」
いきなり目の前に顔が現れる。
「こいつ…小鞠とは幼馴染でな。見ての通りこいつはすげぇ美人の癖に無防備だ。だからって…小鞠に手えだすなよ」
「う、うん…」
縁の大きな眼鏡が光る。
「ちょっとマコ…。またいつものペースでそういう事しないのー!」
「ほまぁひこひょうはいほほほっへほほはは(とまあ、自己紹介も終わった所で)…ん! もう食べてるけど、昼飯にしよー」
★
「…ごちそうさま」
弁当の中身は殆どが冷凍食品であった。
(まあ香さん忙しいしな…。食べれるだけでも感謝しなくちゃ…)
「横濱君、部活とかどうするの?」
「あー…、多分入らないかな…」
(多分ヒーローの仕事があるだろうし…)
ヒーローについてはこれ以上注目されたくない為担任に黙っていてもらっている。
「あーそっかー…。なんかもったいない気もするけど…」
ちなみに今は弁当後のティータイム的なやつで小鞠が紅茶を飲んでいるところだ。かなり美味い。
「そういえば…、この学校にヒーローっているの?」
「んー。隣のクラスにいる事はいるんだけど…」
渡辺が口に手を当てて言う。
「今牢屋にいるみたいなの。でも冤罪らしくてらもうすぐ出て来るとかどうとか…」
「へ、へー」
十中八九神崎の事だ。あいつもこの学校だって言っていたし。
「でもいい奴なんだよ……」
「う、へぇ…」
ついうっかり同意しそうになってしまった。そんなこんなで昼休みも終わる。
★☆
「終わったーー」
カバンを持ったまま伸びをする。上履きから靴に履き替え、寒くなってきた外に出る。中原らと帰ろうかと思ったが、いきなりってのもないだろうな…、と思って初日は一人だ。
「とりあえず今日は真っ直ぐ帰るかーーーーーー??」
教員達の車のある駐車場。その奥で何やらやっている。
野次馬根性でこっそり近づくと、
「中原?」
と知らない男。男が何を当てているのだが…、
(!? ナイフ!?)
その為か無抵抗の中原はそのまま一台の車に乗せられて行く。
「まじかよ……」
テンションおかしいのと長いのは御了承下さい。なるべくこの長さを標準に頑張って行きたいと思います。あと、今回からここでおまけ(人物紹介とか制作秘話とか)やっていこうと思います。
制作秘話 1 ストーリー方針
○ノンエロ。ラッキースケベとかもあまり書きません。
○ラブコメ度低。こちらもあんまり書きません。デモ既にそれらしきものがでてきてたり。
↑これらは基本、健兎の好みです。




