スノードロップ
掲載日:2026/05/15
「あなたの死を、望みます」
酷くかすれた声。
その声は、果たして彼に届いただろうか。
本当にいるのかすらわからないまま、私は続ける。
「スノードロップの、花言葉。」
「ここにいると暇でさ、いろんなの覚えちゃったー」
冗談のつもりだったけれど、その言葉さえ重く聞こえてしまう。
せっかく楽しい時間のはずなのに、しんみりしてしまった。
「あ、でも」
一瞬、自分が何を言おうとしていたのか、わからなくなった。
私は、何を言っているんだろう。
いるかもわからない彼にずっと、話しかけ続けるなんて。
「……そんな暗い花言葉しかないわけじゃないよ?」
「楽しい予告」
それが、この花の良い花言葉。
「だからさ、めいっぱい楽しんでからこっち来てよ。お土産待ってるから」
お土産じゃなくて、お土産話だったなぁ、と思いながらも私は話し続ける。
「ものは持ってこれないだろうから、恋バナとか!友達との思い出でもいいし!」
「楽しかった思い出とか、あ、あとあいちゃんのこと!覚えてることだけでいいからさ」
痛い。
こんなこと、言いたくない。
いなくならないで。
忘れないで。
ずっと、私の側にいて。
でもそれは、叶わないから。
もう、あなたの側には、いられないから。
だから、
せめてあなたが、
楽しく過ごせますように。
書いてる自分が泣くという異常事態発生。




