第36話 「おもんな」←違う
「ちっくしょおおおおおおおお!!!」
:急にどうした……いや、本当にどうした?
:コ〇メ太夫?
:さっきまで「ドっラゴーーーンっっっ!!!!」ってウッキウキで言ってたやつのセリフじゃねぇよ
膝から崩れ落ちた俺は、なんとか頭だけ上げてコメントを確認すると、やはり冷静なツッコミだらけだった。
慣れって怖いねっ! …………本当に。
閑話休題。
俺が崩れ落ちた理由は──これだ……。
「ドラゴンパイセン……SSSなんすか……?」
魔物一覧を開き、その一番上にあるタブ【並び替え】をタップ。
すーっとスクロールして、『ランク順』をタップする。
すると、一番上に唯一のSSSランクの魔物としてドラゴンが表記されていたのだ。
:あれ、スレ主って何のランクまで召喚できるんだっけ?
:↑Bやな
:E→D→C→【B】→A→S→SS→【SSS】
↑ ↑
今 ドラゴン
:『チュートリアル完了ボーナス』でBまで上がった訳だけど、1レベル上がるたびにランクが1つ解放されるとしても、最低あと4レベル。んでまぁ、当然1レベルごとに上がるわけもなく……
:ドラゴンは諦めろ
えぇー……マジかぁ……。
「おもんな」
:「おもんな」じゃねえよ
:そうじゃん。諦めろっていったけど、当たり前なんよw
:ドラゴンとかいうアタオカ魔物を農業に使うなんて勿体ない
:↑はい、農家ブチギレ
:これ以上米が高くなったらどうすんだよ
:↑タイムリーすぎるって
:↑メタすぎるって
:また謎の力が働【謎の力によりこのコメントは削除されました】
:あっ
:アッ
:アッ
まぁいいさ。
どのみち、マンションの建築を終えてから『時間加速』を使えば、俺の『ゴブリンキング作業員軍団』が火を吹くからな……っ!
しっかし……魔物も特殊効果も、全部マンションメイキングに使ったし、もしかして今って何も出来ない?
時刻を確認する。
午前4時。そろそろ寝る時間か……。
「もーそろ終わるかぁとりあえず」
:せやな。そろそろ晩飯の時間や
:もうこんな時間か。ダンジョン作ってる間って時間経つのはやスンギ
:精神に時間加速かけられてるわ
:てか、バカニキまだいるのか?
:もちろんいるぜ! どーした俺が恋しくなったか?
:いや、お前学校だろ今日。水曜だし
:……………………ほんとや。楽しくなって時間忘れてたああああ!!
:お前wwwwwwwwwwwwwwほんと、かわいいな
:なんていうか、「ガキ」じゃなくて「子供」なんだよな
:↑分かる
:↑ガチそれ
:↑ほんそれ
:俺、大人だけど!?!?!?
「バカニキ大好き。そんじゃお前らおやすみ」
バカニキでほっこりしたところで、深夜テンションメイキング配信を終える。
────と。
ズボンのポケットに突っ込んでいたスマホがバイブした。
取り出し画面を見ると、サボリニキからのメッセージだった。
眠たい目をこすり、内容にザッと目を通す。
……目が覚めた。
「んー、1週間くらいダンジョンに来れない感じっぽいな」
配信終了後、追加で30分ほどダンジョンに残り、マンションの建築を終えたらそのまま次のダンジョンの建築に移るようセットする。
これで俺が何もしなくても、居住区エリアは完成してくれる……ハズ。
家に帰り、睡眠をとる。
埼玉県庁に行くんだから、しっかりと睡眠をとらないとな。




