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3/3

 

 家に帰ったら、お父様とお母様、弟のデービットが出むかえてくれた。



「カーリン!心配したぞ」

「よりによって、聖女山に遊学するなんて」

「姉上、食べられなかった?」


「まあ、皆、善い人達でしたわ」



 何でも、聖女山は戦闘聖女のカテゴリーの修道院だそうだ。

 凶悪、凶暴と言うが、分からない。皆、善い人だ。



「それで、クルト殿との婚約は・・・どうする?」

「あ、お父様、クルト様の事、忘れていましたわ。解消でお願いします」


「そうか、決断をしてくれたか。まずは書面で伝えよう」





 ☆貴族学園



 単位は聖女山の1年を入れてくれるそうだ。

 留年はしなくてすむ。

 しかし、学業はおくれているから頑張らなければ。



「よろしくお願いします」

「うむ。クラスを間違えないように」



 お友達とサロンでお茶をしていたら、クルト様とその取り巻きがやってきた。


「おい、エーリカ?いや、カーリンだっけ?お前、何、勝手に婚約解消をしているのだ!親父に怒られちゃったじゃないか?

 お前は形だけのお飾り妻として、家の事だけをしていればいいんだ。ミミーを愛妾に迎える計画だったんだぞ!」



「はあ」


 呆れて、席を立つ。


「女は愛してくれる殿方のために着飾ります。どうして、愛してもくれない殿方の家にいきましょうか?」


「まあ、いい。既成事実を作る。俺のサロンに来い!」

「へへへ、クルト様、良い思いした後は私達にも」



 最低な奴らだ。


「カーリン様、逃げましょう」

「いいえ」


「ヒヒヒヒ、こっち来いや」

「学園中で噂流してやるぞ」


「あさましや。畜生どもが夢の跡!」


 バキ!ゴキ!


 鉄扇でゴロツキ貴公子たちの腕や肩を叩いたら、骨が折れる音がした。


「「「ギャアアーーー」」」


 私はナターシャ様のように手加減は出来ない。

 クルトは狼狽し、後ずさったわ。壁で止ったわ。


「な、何だ。俺が好きじゃ無いのか?やめようぜ。なあ?」


 私は両手を地面に平行に広げる。

 こうすると、上体がブレない。


「王家令嬢大歩行!令嬢水鳥の舞!令嬢は媚びず。引かず。省みず!!」


 スーとクルトの前まで進み。


「な、何だ。や、やめろ。父上に言いつけるぞ!」


【フン!ハー!】


 肘打ちを食らわした。浅かったか。でも壁と肘に挟まれてダメージを負ったわ。

 クルト様は悶絶して床に倒れた。



「ウグ、グハ、回復術士を・・・」


 あら、血をはいているわ。


 私はこんな奴のために悩み苦労していたのかしら。


 今までの愛情が嘘のように憎しみに変わった。


 ドゴ!


 一回。腹につま先をめり込ませたら、もうだめだ。止らなくなった。


「オラ、オラ!これぐらいで根をあげてはなりませんわ!」


「や、やめて・・」


 ドコ!ボゴ!ガキ!




「「「カーリン様!」」」

「カーリン嬢!口から血が出ている!」



 王女殿下が間に入って無かった事にしてくれたわ。


 向こうも男子たるもの婦女子に不覚を取ったとは言えないらしい。

 無事に婚約は解消になり。クルト様の不貞が理由で多額の賠償金をもらったわ。






 その後、私には沢山の釣書が殺到している。


「カーリン・・大変よ。クルト様が来たわ。また、婚約を結びたいですって、隠れていなさい」


「まあ、どうして」


 何故、また来るのだろう。9割殺し状態、回復術士3人がかりでかろうじて生き残ったみたいだけど・・・



「いえ、お母様、行きます」



 玄関でお父様と執事、弟が止めていたわ。


「カーリン!また、婚約を結ぼうぜ!」


「結びません」


「はあ、はあ、はあ、俺、蹴られて分かった。これが愛だ!」


 はあ?


「あのときのカーリンの顔は、ゾォッとしてまるで汚物を見るような顔だった。俺を認識していた。俺を見てくれたぁーーーー俺は実存していたのだぁ!」


「知りません!」


「父上、これ、どういうこと?」

「デービット、カーリン、奥に行きなさい」


「「はい」」

 お父様に任せた方が良いみたいだ。




「はあ、はあ、はあ、はあ、放置?放置か?これも良いぞ!」


「クルト殿、カーリンには釣書が殺到している。君の出番はないよ」


「ウホー、寝取られだぁーーーー」


「黙らんかい!ボケ!」



 愛の反対は無関心。クルト様は私に無関心だったのが、裏返って、愛に変わったらしい。


 何を言っても喜ぶから質が悪い。

 また、無関心に戻ったから、クルト様には用がない限り話さないだろう。

 と釣書の山に囲まれながら、聖女山の皆にお礼の手紙を書いた。


 もう、クルト様に興味を持つことはないだろうと。





最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
可愛さ余って憎さ百倍。憎さも昇華して無関心に。というとこでしょうか。そ、そんな… 面白かったです!
首捻じ切ったほうが良かったな。笑えないキモさだわ
2024/12/02 17:46 退会済み
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