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解除の5歩目

 俺は、椅子に腰掛け、武具の封印を外すヒントがないか、テーブルの引き出しから、中の物をテーブルの上に並べる。


 •貸し出し帳の予備 •羽根ペンとインク •プレートの予備 •鎖の予備 •金色の粉の入った瓶

 

プレートと鎖の予備は、それぞれ銀色の箱に入れてある、金色の粉は、何に使うのか、まったく分からない。

 試しに、プレートと鎖を取り出し、近づけてみる、すると、融合するように2つは繋がった。

 「接着剤も金具もいらないのか、これで外れたらラッキーだな」

繋がったプレートに金色の粉をかけてみるが、変化はない。

 「ハズレか」

 俺は、別のプレートと鎖を取り出し、入口に向かう、さっき放電が始まった辺りだ。

 「まず、こっちから」

 手に持ったプレートを足元に置き、鎖を手に前に出る。

 一歩、二歩、前に出るが石柱に反応はない。

 「鎖じゃないなら、そっちか」

 床に置いた、プレートを手に取ると、一歩前に出る。

 〈パチッ〉

 石柱から、放電が始まる。


 「なるほど、やっぱりこのプレートに反応している」

 テーブルにあった物で、確認出来る事はこれくらいか•••

 

 リュエールとエストレアの2人には、プレートの付いていない武具がないか、確認してもらっていた。

 「片山様、武器の中にプレートがない物はありません、これから、指輪やネックレス等の装飾品をチェックします」

 リュエールが報告に来た。

 「ありがとうございます」

 彼女がチェックに戻ろうとしたところ、ふと気になる事が頭をよぎった。

 「あ、リュエールさん、すみません、親父は、ここの武具に魔法を付与したり貸し出したりするときは誰が居ますか?親父と魔法を使う人、貸す相手、メイドの方々でしょうか?」

 「失礼します、エストレア、少し一人でお願い」

 エストレアは無言で頷く。

 「こちらでは、魔法の付与作業の時は、大地様と魔法を使う方々と私達メイドが武具やお茶のご用意をしますので待機しております、また、貸し出す場合には、大地様とお相手の方だけです」

 「ん、貸し出す時は、メイドの方々は居ないんですか?」

 「はい、貸し出す時は、こちらには入らず外で待機しております」

 「なるほど、あと、この城で武具を借りている人は分かりますか?」

 彼女は、指で髪を直し、右の頬に手を当てつつ、思い出しなから答える。

 「大地様は、この国直属の付与師ですので、重職や騎士レベルの方々には、大地様が直接お持ちしていたので、今、この城内には、ここで借りるという形でお持ちの方はいらっしゃらないはずですが」

 「そうですか、何か持ち出す時のヒントを聞ければと思ったのですが•••」

 そうなると、あそこに隠してある可能性が高いのか•••

 「ありがとうございます、プレートのチェックを続けて下さい」

 リュエールにお願いし、俺は、気になっていた魔法陣に向かう。

 

 床から1段高く、半径5メートルほどの大きさの魔法陣には、ルーンや呪文と思われる文字が書かれており、魔法陣の部分は5センチほど低くなっている。

 「やっぱり、ここだな」

 魔法陣の上に上がり、四つん這いで目を凝らすと、中央にうっすらと切り込みが見える。

 「力ずくじゃあ、開かないだろうな。親父の事だ、これも、何か仕掛けを作ってあるはず、そして、ここに例の物も」

 一度下に降り、魔法陣の周りを調べ始める。

 「ここにあるなら、普通の連中には見つけるのは不可能だろうから」

 魔法陣のある段の片隅に、銀の枠が付けられ、下には木製の箱が置いてあった。

 「これだな、ん、何か書いてある、『歴代に並べろ』か」

 銀の枠の下に、日本語で書いてある。

 「歴代か、歴史なら将軍とか大統領だろうけど、親父の事だ、ウルトラ星人や宇宙探偵、戦隊ヒーロー、変身ライダー、機動兵士ガンダールあたりからだろうな、意表を突いて美少女魔女っ子シリーズかもしれないが•••」

 歴代で思いつく、アニメや特撮を考えながら、木箱を開ける。

 そこには、10センチほどの金色の六角形プレート20枚ほど、片面には風車のような模様、反対側に絵と小さく平仮名が描いてある。

 「歴代に並べると、文が出来るって事か」

 絵が描かれている面を上に全て並べる。

 「狼、蝶、ん、半分づつ違う絵もあるのか、サソリとカマキリ、これは、背景付きか、月にハチ」

 プレートを銀の枠に合わせてみる。

 「7枚か、となると、歴代7人って事だな」

 ウルトラ星人だと、兄弟でも放送順だと9だし、宇宙探偵は4人だったか、しかも、この絵柄の意味は•••」

 並べた、1枚に目が止まる。

 「カブト虫と、てんとう虫」

 ふと、6人目の変身ライダーを思い出す。

 「でも、この枚数だと全てのライダーは無理だ、すると、昭和ライダーの並びか、ただ、てんとう虫は、ライダーに入ってないはずだけど•••」

 

 変身ライダーは、基本、生物をベースに悪の組織に改造されたが、脳改造をされず自分を改造した悪の組織を倒すため戦うヒーローだ。

 そのライダーによって、生物が変わってくる、最近では、ドラゴンやロケット、フルーツとまったく改造人間とは違う強化スーツ路線を進んでいるのだが。


 「1枚しかないから、初代と2号がセットで、バッタ、次がトンボと人、4代目はこれか?」

 バッタとタコが半分ずつ描かれたプレート。

 「バッタがベースだけど、深海探査とかの要素があったはず、次がトカゲ、次がこのカブトとテントウ、次もバッタだけど、最初のプレートとは違う空を飛ぶバッタ、そして最後が、スズメバチベースの惑星探査目的だったから、ハチの背景に月のプレートか」

 全て、銀の枠にはめると、枠が鈍く光る。

 「これで、正解なら、文章は•••」

 『ま•じ•ん•を•お•こ•せ』

 「魔神を起こせ、となると」

 ん~ん~、と叫ぶため、喉をならしながら、魔法陣の正面に向かいう。

 「では、キングスマッシャー!」

 魔法陣に反応はない•••

 「だよね〜、なら、出ろぉぉぉぉっ!ガンッダァァァァル!!」

 しかし、反応はない。

 「片山様、どうなさいました?」

 いきなり、俺が叫び始めたので、リュエールとエストレアが、駆け寄って来た。

 「あ、すみません•••、正解が分かっている時に、つい、違うセリフを言いたくなる事ってありませんか?」

 エストレアが首を振る。

 リュエールは、首を傾げながら。

 「嬉しさのあまりに、違うと分かっていながら叫んでしまう事は、あるかもしれませんが、私はしませんね」

 「そうですか、つい、興奮してしまって、すみません」

 「ところで、この魔法陣に何かあるのですか?」

 俺は、さっき揃えたプレートを指差しながら説明する。

 「おそらく、親父は武具に付いたプレートを外す道具を他人には分からない様に隠していると思ったんです、そしてそれは、この世界の人には見つけられない、もし気づかれても開ける事が出来ない様にして、親父と俺なら分かる特別な仕掛けを作っていたんです」

 「それが、この魔法陣であり、叫んでいた理由なのですか?」

 「そうですね、自分が親父と同じ立場なら、ここに隠すと思うので。大丈夫だと思うのですが、一応下がって下さい」

 開き方は、アニメと同じだと思うが、念の為、二人を少し後ろに下がらせる。

 「では、開けますね」

 リュエールは、無言で頷く、エストレアは、無表情でこちらを見ている。


 (悪用される可能性は少ないとは思うけど、念の為、関係ないセリフも付け足しておくか、おそらく、あれもこの中だろうから)

 

 「裂空!阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだい、魔神ゴォー!」

 俺は、掛け声とともに、両手を前に突き出し、左右に広げ、最後にあの世紀末覇者のように拳を突き上げた。

 掛け声に反応し、魔法陣が光だし、魔法陣中央から両側にスライドしていく。


リュエールは小声で「おぉ」と呟き、エストレアは、無表情だが、2人とも手を叩いている。


 (やっぱりこのパターンだよね、プールじゃないけど)

 昔の、巨大ロボットの出撃シーンを思い出していると、下から2つの台座が上がってくる。

 「あれかな?」

 開いた魔法陣のある段に上がる、上がってきた台座の上に木箱が乗っており、台座と台座の間に下に向かう階段が伸びていた。

 「この先だろうけど、まずは箱からだな」

 箱を見比べると、解除用と貸出用と書かれている。

 「何が違うのか分からないけど、とりあえず解除なら間違えないだろう」

 解除と書かれた箱の中から、黒いが鈍く輝く20センチほどの箱を取り出した。

 「エストレアさん、何でもいいので、武具を1つ持って来て下さい」

 無表情で頷くと、すぐ横にあった、彼女の身長の倍はあるであろう、死神が持つような巨大な鎌を手に取り引っ張ってくる。

 「あっ、そんなに大きな物じゃなくても、いいんですが•••」

 俺の言葉を、気に留める様子もなく、引っ張ってきた、巨大な鎌を俺に差し出す。

 「あ、ありがとうございます」

 鎌を手に取ると、重い•••クレナとのボーナスゲームで筋力も上がっているはずなのに、片手では支えるだけで持ち上げる事は出来ない。

 「この鎌には、軽量化の魔法でも付与されていたんですか」

 俺が、エストレアに聞くと、彼女は首を振り。

 「速度上昇」とだけ呟く。

 すると、個人の持つ特殊能力なのだろか、まあ、この国で暮らして行く間に、色々と分かっていくだろう。


 木箱から取り出した黒い箱には、ちょうどプレートがハマる形の凹凸がある。

 鎌が重いため、箱を鎌に近づける事で、凹凸にプレートを合わせてみる。

 すると、プレートが輝き、分離した鎖が小さな金属音を立て床に落ちた。

 「よし、成功だな。これで封印の解除は何時でも出来る」

 床に落ちた、鎖を手に取り、2人に見せる。

 「おめでとうございます、片山様、これで皆様に配る事が出来ますね」

 リュエールが、胸の前で両手を握り、エストレアは、無表情だが何度か手を叩きよろこんでいる。


 「そうですね、ただ、これだけだと偶然付け忘れた物を見つけたと思われてしまうかもしれないので、剣とアクセサリー系の物を何個か解除して持って行きましょう」

 

 (これで、親父が行方不明になった理由の糸口か尻尾が見えてくるはず)


  俺は、入口近くのテーブルに向かいながら、部屋で見せられた地図を思い出していた。

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