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宇宙の傭兵SF冒険譚  作者: 戦慄の大根おろし
策謀の企業間直接戦争
79/91

76_斜陽企業の行先

用語解説

ゼネラル・エレクトロニクス

帝国経済を支える三大企業、通称御三家の一つ。

セクレトや東雲技研と比肩する巨大企業だが、企業としての歴史は浅い


 ブラックメタル鉱業連合のオフィス、と言うには生活感が隠せていない事務所の一角に俺たちは案内された。


 パーテーションで仕切られたミーティングコーナー。そこには80前後の老人が男女一人ずつ待っていた。


「ようけ遠いとこから来てくれて、ほんまにありがとぅね。

 遠慮せんとここに座りんさい。連れの人にも、ええ椅子はよう用意できんかったんじゃけど、ゆっくりしていってつかぁさいねぇ」


 老婆がにこにこと人の良い笑顔を浮かべながら座るように促して来る。


「えと、ほな失礼します。ほれ、皆も座り」


 カリナナから爺様たちと聞いてはいたものの、実際対面すると今まで関わることの無かった年代を相手にみんな気後れしているようだった。

 おっかなびっくりソファに座るハイデマリーに進められて、俺たちも急遽用意されたであろうパイプ椅子に腰を下ろす。

 

「ばっちゃ、お茶淹れてくるのです」


「あんた、梅昆布茶あったじゃろ? わざわざ遠いとこから来てくれちゃったけぇ、ちぃとええの淹れてあげにゃいけんよ」


「勿論なのです」


「え、梅昆布茶ってマジ? えぇ? 生き残ってるとか、えぇ……?」


「ウメコブチャ……って何?」


「さあ……?」


 エリーとハイデマリーが疑問符を浮かべているが、俺には到底無視できない会話だった。

 かつての記憶で好んで飲んでいた梅昆布茶がまだ生き残って楽しまれている。どこかの惑星で昆布や梅が栽培されているのか、それとも別の何かなのか。

 とにかく、もう二度と飲めないと思っていたお茶と再会出来ただけで、この星系に来た甲斐があった。


「ほれ、お菓子も食べんさい。ええのをようけ揃えとるけぇ、好きなんをつまんでみんさい。遠慮せんでもええんよ」


 見慣れた銀色のカンカンに入れられたお菓子が差し出される。中にはアーモンドチョコレートや煎餅、スティック状のクッキーなど色々詰められている。


 全員が手に取ることを躊躇しているどこか見覚えのあるそれらを手に取る。包み紙から出して口に運ぶと、チョコレートとアーモンドの味が口一杯に広がった。


「うま……」


 懐かしさから思わず呟いてしまう。こんな味だったんだな、そう噛み締めながら一つずつ口に運んでいく。


「……あ、すいません」


 お菓子を摘まむのもひと段落したところで、初めてラビットの全員が俺を見ていることに気付いた。


「かまわんけぇ、ようけ食べんさいね。若いモンが腹すかしとるんはようないけぇ、あんたらも遠慮せんと食べんさい」


 食い意地を張ったことに恥ずかしくなっている俺を尻目に、婆さんは全員にお菓子を配って回った。

 全員見たことの無いお菓子だったのかおっかなびっくり包装を剥がして口に運んでいるが、少しの咀嚼を挟むと自然と笑顔を浮かべていた。


「お茶が入ったのです。上等なのですよ」


「バカ孫が。そういう時は『粗茶ですが』言わにゃあいけんのんよ」


「あう、ごめんなさいなのです」


「まあまあ、お茶も有り難く頂きますんで気にせんといて下さい。―――うっま! このウメコブチャ? っての美味しいですね!」


「ホントだ。なんかこう、酸っぱさも後に引かないと言うか、とにかく凄く美味しいね!」


 一口飲んだハイデマリーとエリーが驚いたように声を上げる。

 俺も一口飲んでみるが、ほっとするような味だった。この感覚は何て言えばいいんだろうな。

 まるで過去を思い出すような、懐かしさと優しさとでも言えばいいのだろうか。

 とにかく久しぶりに飲む味は忘れられない一杯になった。


「りーさん黙ってもとるけどどうしたん? 苦手やった?」


 両手で湯呑を持つリタはちょびちょびと飲んでいた。いつも通り無表情だが、ハイデマリーに話しかけられた途端にグワッと顔をそちらへと向けた。


「まず舌に触れるのはうま味。深くてまろやかな塩気がじんわり広がる。

 そこに酸味がキュッと効いて、まるでリゾート惑星で浴びる涼風のような爽やかさが舌を伝ってくる。

 それにほんのり感じるこの渋み。この風味が温かいお茶の中に自然の複雑さを閉じ込めている。

 最後に残る余韻は、塩っけと酸味が織りなす絶妙なバランス。口の中がほんのり引き締まる。とても美味」


「ヤバい味覚ガチ勢だ」


「なんかよく分からないですけど、なんか凄いのです」


「忘れがちだけど、リタは元お嬢様だったよな」


 キリっとした顔からすらすらと出てくる感想はグルメリポーターも顔負けだろう。しかも無駄に高い語彙力。今度から旨いもの食わせた後に感想を聞いたら面白いかもしれない。


「口に合うたんなら、ばあちゃんもうれしいわぁ。

 ほいじゃあ、ちぃとお話させてもろうてもええかね?」


 居住まいを正す婆さんに俺たちもお茶を置いて姿勢を正す。


「おじいさん、あんたお客さんに話すことがあるんじゃろ? ちゃんと説明してあげんさいや」


 さて、いったいどんな無茶振りをされるのやら。

 ずっと黙っていた爺さんに話を振る婆さんだが、その爺さんが微動だにしない。

 

 頭の中で考えを巡らせているのだろうか。それにしても少し長い気がする。


「……?」


 少しの間動かなかったので具合でも悪いのか? そう思って顔を覗き込むと、見事に船を漕いでいた。


「なんで寝とるんね! 起きてしゃべりんさい! お客さんが来とっちゃろうが!」


「おおう!? 婆さん!?」


 耳元で怒鳴る婆さんに驚く爺さん、カリナナは頭を抱えている。

 まあそうなるだろう、全員ズッコケそうになっていたし。


「ほうかい、お客さんか。ようまぁこんな田舎まで来てくれちゃったのぅ。あんた、どこから来たんね?」


「なに寝ぼけたこと言うとるんよ。ラビット商会の人たちじゃが!」


「うさぎ!?うさぎが商売しよるんか!」


「あほんだら! ラビット商会や言うとるが! あんた、工作機械の運びもん頼んどったじゃろうが!」


「…………ああー、そうじゃったそうじゃった! ほいで、商会長さんは誰なんね?」


「しっかりしんさいや! まだ寝ぼけとるんかいの、ほんまに! ハイデマリーっちゅう娘さんのこと、言うとったじゃろうが!」


「おお〜、そうじゃったそうじゃった! ほいでハイデマリーさんいうたら、あんたのことなんかいの?」


 そう言って爺さんはリタに話しかけた。

 いや、まあ気持ちは分かるぞ。ハイデマリーは見た目子供だし、エリーはエリーだし、消去法で行くならリタになるんだろう。


「そう、何を隠そう私がハイデマリー。儲け話があるなら聞かせて欲しい」


「なんでやねん。しかも解像度低すぎやろ」


 ふてぶてしいドヤ顔で踏ん反り返るリタにすかさずハイデマリーがツッコミを入れている。


「ふ……今後に期待して欲しい」


「努力の方向性間違っとるっちゅーに。。。えっと、ウチがハイデマリーです。初めまして、ラビット商会の商会長やらせて貰ってます」


「すまんのぅ、ちぃと人違いしとったみたいじゃわい」


 いろいろと大丈夫か? これが戦争中の企業トップの姿だとしたら、ゾーラとやらがオプシディアン・ハーベスターズ恭順派になるのも分かる気がするが。


 同じ考えなのか、ハイデマリーの愛想笑いも歪んでいる。

 

「頼まれてた大型工作機械の件はどうしましょ? それ以外にも生活用品やら弾薬なんかも色々と頼まれてたんで、ウチが取り扱っとる物は全部揃えて来たんですけども。とりあえず港湾の方に渡しとけばええですか?」


 ハイデマリーが用意したホログラム上のリストは多岐に渡るようで、表示されている画面のスクロールバーが異様に小さい。ラビットⅡには結構な量を運搬できるカーゴスペースがあるが、その3割くらいがガリアンで放出できる試算になるんじゃないのか。今回でかなりの稼ぎになりそうだ。


「ああ〜、そがぁな話じゃったかいの……悪いんじゃけど港湾労働者組合はもうガリアン星系にはおらんのじゃ。じゃけん、そっちの方で荷物を降ろしてもらえんかのぅ?」


「……え゛」


「戦争じゃ言うてみ〜んな出っ張らってしもうとるけぇ、港もがらんとしとるんよ……ほんまにさみしゅうなったもんじゃ。こっちの方で受け入れ先はちゃんと決めとるけぇ、心配いらんのじゃ。段取りだけよう相談させてつかぁさい」


「いやいやいや! ちょっと待ってや! どんだけの種類と量があると思てんの!? こんなんウチらだけで降ろしてたら一ヶ月たってまうわ!」


「ガリアン星系から組合が撤退するなんて、わしらの若いころには考えられんことじゃったけぇ、時代はほんまに変わったんじゃねぇ。

 積み荷の降ろしは力仕事じゃけぇ、腰に気ぃつけてやらんといけんよ。みんなで協力して、スムーズにいけるようにせんとな」


「あかんこの爺ちゃん話通じひん……!」


 ハイデマリー含めて俺たち全員の心は多分一つになっていると思う。


 ややこしいのに巻き込まれてしまった、だ。


「ほいじゃあ言うことは言うたけぇ、あとはよろしゅう頼んどくけぇね。婆さん行こか」


「ちょっとあんた!……あぁ〜、ほんまにすまんねぇハイデマリーちゃん。

 すまんけど()()()()()()()()、よろしゅう頼むけぇね!」


「あちょっと待ってや―――ああもう! 何やねんあの爺ちゃん婆ちゃんは!」


 どっこいしょと立ち上がる爺さんをハイデマリーが引き留めるようとするも、まるで耳が聞こえてないかのように婆さんを引き連れて出ていった。


 ……え、これで話終わり?? マジで?


「何やねんホンマ、ちょい身勝手が過ぎんか」


「ごめんなさいなのですよ。じっちゃはちょっと歳なのです……」


「せやかてこれは流石に……カリナナのお願い事もあるのにどうせぇ言うねん。他に話が出来る人はおらんのか?」


「他の爺様たちもみんな入院中なのですよ。ぎっくり腰で絶対安静なのです」


 つ、使えねぇ……! 何でこんな一大事に企業のトップが全員ダウンしているんだよ。もしかして今までも全部現場任せだったりするのだろうか。だとしたら本格的にゾーラの鞍替えが正しい気がしてくる。


「ねえマリー、これからどうするの?」


「どうするもこうするも……貨物降ろすしかないやろ。折角運んで来たのに契約不履行で赤字出すとかアホ過ぎるわ」


「出るとこ出る方法もあると思うけど」


「りーさん、ウチは戦争中の厳しい台所事情に付け込むようなカスには成りとうないんや」


「分かってる。言ってみただけ」


「荷下ろしは兎も角、運搬はどうしますか? 指定先まで持って来て欲しい、みたいな言い方でしたが」


「……アレン、エレンもやけどな。細かいのは兎も角、大きいのとなると二人に働いてもらうことになるわ」


「ですよね。仕方ありません、久しぶりに使いますか」


 アレンが手首をコキコキと鳴らしている。まさか手で持ち上げるつもりなのかと思ったが、この双子は強力なP.Pを使いこなせるんだったか。どれだけ巨大な物まで持ち上げられるのか知らないが、ハイデマリーの様子を見るにかなり重いものまで持ち上げられるみたいだ。


「失礼、ラビット商会の皆さん。弊社の老いぼれとの会話は終わりましたか?」


「ゾーラ、何しに来やがったのですか」


 オフィスに入って来たゾーラを前に、一同会話を止めて其方へと視線を向ける。

 相変わらず屈強な護衛を連れているようで、俺たちみたいな万国博覧会パーティとは違って如何にも腕っぷしに自信があるように見える。


「私のお客様でもあるのよ。商会長さん、私が頼んでいた化粧品は何時手元に届くのかしら? ゼノンシスで流行りの物と聞いてますの、早く欲しいのだけれど」


 ハイデマリーが言っていた民生品の幾つかはゾーラの物だったのか。裏切者とはいえ、戦争中によくもまあ呑気に化粧品を取り寄せようだなんて思ったものだ。


「ウチも荷物降ろして終わりのつもりやったんやけど、港湾労働者組合の人がおらんらしいやんか。せやから荷下ろしから運搬まで全部お願いされてもてな……」


 ハイデマリーが肩を落としてそう言うが、本当に勘弁して貰いたいものだと思う。

 1G環境下で重労働、それも大量の荷下ろしなんて考えるだけで嫌気が差して来る。普段は元気なエリーもトホホな顔で項垂れるくらいだ、これから約1カ月間の苦労がどれだけの物か想像もしたくない。


「あら、そう言えばそうでしたわね。じゃあ荷下ろしのリストを見せて頂ける?」


「ええで、どうせここに納めるもんやし」


「……弾薬や機体の修理部品はあるけど、目ぼしい物は無いわね」


「あんさん、ホンマに裏切っとるんやなぁ」


「カリナナかしら? 人聞きが悪いですわね。ここの老いぼれに任せていたら早晩ブラックメタル鉱業連合は無くなってしまうの。だったら余力を残している間に併合して貰ったほうがいいとは思わなくて?」


「知らんがな。いやな、ウチは今の所関係ないから口出しするつもりないんやけど、隠しもせんのかと思っただけや」


「隠すわけがないわ。だってオプシディアン・ハーベスターズに従うことで、ブラックメタル鉱業連合が存続できると信じているもの」


 凄いなコイツ、ここまで言い切るのは最早あっぱれとしか言いようがない。


「だからって先生(サンドマン)を殺すのはやり過ぎなのです! あんな卑怯な騙し討ちをして、何がブラックメタルを助けるですか!」


「だから何度も言ってるでしょう! あの件は私だって知らないの!

 第一、ブラックメタルのことを一番に考えている私がサンドマンなんて奥の手を消すと本気で思っているの? やるなら生かしたまま突き出すわよ。その方が交渉が上手くいく可能性が上がるもの!」


「うるさい! 何がブラックメタルのためですか! お前が命令したって証拠は挙がっているのです! よくも……!」


「ちょちょ、待った待った! ここで暴れちゃまずいんじゃないの、って力強!? オッキーヘルプヘルプ!」


 飛び掛かろうとするカリナナを押さえるエリー。俺も一緒に肩を掴んで取り押さえようとするが、マジで力強いなコイツ! エリーの馬鹿力+俺で拮抗とか、ニャクス族ってのはどんだけだよ!


「ふ、ふん……! アンタがどれだけ強がろうが、もう私達は降参するしか道は残ってないのよ。アンタとジジババ連中は黙って首を差し出したらいいわ。そうしたら会社と星系の人だけは助けて貰うように上手いこと交渉するわよ」



「なんや、想像しとったんと違うな」


「そうだね。私もてっきり悪の親玉みたいなイメージだったけど、ちょっと違うみたい」


「りーさんも? うーん……やっぱ直接話してみんと分からんか」


 俺もそう思うけど今それどころじゃない……!「アレン! チョップ!」「はいはい」「あぅ」


「いや、こわ……アレンこわ」


 いきなり電池が切れたみたいにカリナナが墜ちた。手刀の形をしているアレンの手は薄く光っているが、P.Pでも纏わせているのだろうか。


「なあなあゾーラはん。ウチらこれから荷下ろしで時間掛るんやけど、オプシディアン・ハーベスターズは次いつ来るか分かっとるん?」


「知らないわよ。頻繁に連絡貰ってないし、今じゃ恭順派とか言って持ち上げられているけど元々は私だって主戦派よ。降伏の準備しろとか部隊配置を教えろとか、そんな連絡貰ってるだけなんだから」


「う~ん、清々しいまでの裏切りムーブにマリーちゃんも驚きを隠せません。ほんで? もちろんウチらの情報も流しよるんやろ?」


「当然でしょ。けど貴女たちが此処にいる以上は仕掛けて来ないのではなくて? つい先程、貴女方が何時までガリアン星系にいるか調べろと言われましたもの」


「ほーん……やるねぇラビット小隊の皆さん。どうやら奴さんにトラウマ植え付けることに成功したみたいやで」


「雑魚ばっかだったけどね~」

「右に同じ」

「照れる」


 宙賊相手にして勝手にビビって手出し出来なくなるなら楽なもんだ。とりあえずは荷下ろしに注力して大丈夫ってことなんだろう。


 それもそれでいやだなぁ。これから毎日筋肉痛になるんじゃないのか?


「それで? 荷下ろしにどれ程の期間が必要なのかしら?」


「だいたい一ヶ月ってところちゃう? スムーズにいけばやけど」


「……ふぅん? 一ヶ月、ねぇ? いいわ、伝えておきます。

 でも今から一ヶ月以内に、計ったかのようにアレがあるのよね」


 アレってなんだ? エリーやアレンと顔を突き合わせるも、2人とも頭に疑問符を浮かべている。


「―――ああアレか! ……うん? え、ちょい待ち……。

 ゼネラル・エレクトロニクスと取引のあるブラックメタルとオプシディアン・ハーベスターズ、仲裁役を申し出とるのもゼネラル・エレクトロニクス……ウチらが此処に来たタイミングと降伏予定日の被り……もしかしてあの爺ちゃん、この状況を狙って?」


「偶然、と言い切れないのが怖い所ね。往生際の悪いジジババのことよ、きっと何かしらの手を打っているに違いないわ。これは風向きが変わるかもしれませんわね」




「なあハイデマリー、何の話なのか分かるように言ってくれよ。爺さんたちが何か考えているのか?」


「今から2週間後にバレンシア星系で経済フォーラムがあるんや。聞いたことくらいあるやろ?」


「バレンシア会議。年に一度、帝国を動かす人達が一堂に会する年次総会だね」


「帝国に居なかったのに随分と詳しいなリタ……でもそれなら俺も知ってる。あれだろ、中央評議会も参加するやつ」


 一度だけ伯爵に連れて行って貰う機会があったけど、ちょうどヴォイドへの攻勢タイミングが重なったから行けなかったんだよな。その次の年も、そのまた次の年もフォーラムの前に間引き作戦に参加してたからもう面倒になって行かなくなったんだっけか。


「バレンシア会議は企業御三家が中心になって帝国経済の今後を語り合う場。

 中央評議会をはじめとする各銀河系の総督府、貴族連が主要な参加者で、御三家には届かないでも大企業の社長クラスなら招待されているはず」


「せやね。これはウチの勘違いかもしれんけど、たぶんゼネラル・エレクトロニクスが抱えとるこの戦争についても何か話が出るんちゃうか?」


「たかが辺境企業の戦争を議題に? あり得なくないか?」


「どうやろな。そもそもが終戦後直ぐの開戦、始まりからしてオカシイ今回の戦争や。何が切っ掛けで議題に上がるか分からへんで?」



掴み処のないやり手爺さん婆さんほど難解な相手はいないと思っております。

何だその知識どこにも載ってねーぞと、人生経験の濃さで圧倒された日々を思い出します。

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