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宇宙の傭兵SF冒険譚  作者: 戦慄の大根おろし
道標
67/91

64_結成うさぎ派閥


「伯爵。リストって何ですか?」


 備え付けのベッドに放り投げられたハイデマリーとアリアドネが沈んでいる間、シズが持って来た紅茶片手に聞いてみる。”リスト”の単語を聞いた反応からしてクレア、伯爵、グラスレー侯爵は知っている様子だったが、こういった話は伯爵が一番詳しいような気がする。


「俺もリストに載っているかもしれないとアリアドネが言ってました。でも俺、よく分からない物に登録した覚えはないんです」


「お前が勝手に決められる内容ではないし、リストに載ったとは限らん」


 伯爵は渋い顔をしながら紅茶を呑んでおり、こちらの話など聞かんと言わんばかりにばっさり切り捨てた。元々年期の入った顔が厳ついからか、大抵の人はこの顔をした伯爵を見たら話しかけるのを尻込みをしてしまう。

 けど関係がそれなりに深い俺には関係ない。今の伯爵は機嫌を悪くみせているお爺ちゃんみたいなものだ。


「俺には言えないことですか?」


「お前にとって毒にも薬にもならん話だ。聞くだけ無駄になる」


「俺の為に話すつもりはない、ですか?」


「……」


「あの時と同じで、俺はまた蚊帳の外ですか」


 この人はいつもこうだ。俺にとって不要と考えていることは全て省き、自分で対処しようとする。だから伯爵がどれだけの苦労を背負っているのか分からないし、俺が何から守られているのかも知らない。帝国軍に入る前も、帝国軍を辞める時もそうだった。俺はいつも蚊帳の外で、気付かない内に全てが終わっている。


「軍を辞めて関係が途切れたと思ってましたけど、伯爵は今回も俺の為にここまでしてくれた。

 何故ですか? 何で俺なんかの為にそこまで良くしてくれるんですか」


「……お前のパイロットセンスがワシには必要だったからだ。今回の一件は、今までのお前の働きに報いただけだ」


「馬鹿言わないで下さい。軍に入る前、自分を守ることすら出来なかった頃の俺に何を見出せるって言うんですか。辞める時は、まぁ……あれしかなかったのは分かってます」


 伯爵の顔が曇っていく。


「俺が伯爵に会ってからもう3年以上です。覚えていますか? 右も左も分からない、市民権すら持たない俺を引き取ってくれたことを」


 着の身着のままで目覚めた俺は、この世界で生きる術が備わっていなかった。触れるものは全てが未知で、俺が知る常識はこの世界に無いのだと思い知る毎日だった。

 俺は今も自分の正確な年齢を知らないが、当時俺の背丈は小さかった。小学生と言えば通用するくらいだったはずだ。

 そんな俺が騙されて身包み剥がされるまで、それほど時間は掛からなかった。

 全部無くして、それからはゴミを集めて金になる物を探して、飯はよく分からない腐りかけの物を口にする日々。金目の物はスラムの大人たちに奪われるから、同年代を見つけて最低限の人付き合いだけで何とか日々を食い繋いでいた。

 この世界はクソだ。みんな死んじまえ。そうやって目に映るもの全てがクソにしか見えない日々をぶち壊してくれたのは、不幸にもコロニーに侵入してきたヴォイドだった。


 今でも鮮明に覚えている、ヴォイド大規模侵攻によるコロニー喪失事件だ。


 あの事件がひと段落付いた後、俺は辿り着いた帝国軍事施設で途方に暮れていた。緊急事態とはいえ、無断で軍の備品を使った俺には罰則が与えられると聞かされていたからだ。

 もちろん情状酌量の余地があるのは軍も理解してくれていたし、俺が助けた人たちからは擁護の声もあったらしい。

 とはいえ罪は罪。レジスタンスとして現地招集された記録は、俺を庇った軍人と一緒に無くなってしまっていた。市民権を持たず、記録にも存在しない俺は世界から弾かれ、掃き溜めで暮らすただのガキに戻っていた。


「伯爵は俺に市民権を与えて教育をしてくれましたよね。コロニーで暮らすためには酸素税を払わないといけない。そんな常識すら知らない俺に、頭を抱えながら教育までくれた」


 忙しいはずなのに、時間を作って会いに来てくれた。時間があれば伯爵自身が一般常識から軍での身の振り方まで教えてくれた。


「問題は俺の頭の出来が良くなかったことですね……」


 想像以上にアホだった。いや、難しすぎるのが悪い。なまじ地球の常識がある分、宇宙やコロニーでの生活を覚えるだけで時間が掛かり、決められた期間内では最低限の常識を覚えるだけに留まってしまった。こればかりは伯爵にも申し訳なく、恥ずかしさで悶え死にそうになる。

 それとは打って変わり、軍事関係の知識はすらすらと頭の中に入っていった。周りも不思議に思っていたが、何となくでTSFを操縦していたことを知られてからはそういう適性なのだろうと思われるようになった。

 そして初陣……レジスタンス時代にヴォイドに取り込まれた仲間に対して処女切っていた(味方の介錯)にも拘らず、敵の圧力が弱い部分に配置してくれた。

 俺が子供だったからか、前へ出ようとすると小隊長にクソ程怒られたのも覚えている。捨て駒でしかなかったレジスタンスの頃とは扱いが段違いで、厳しい言い様の中にも人間扱いしてくれる心遣いが嬉しかった。結局前線まで飛んでって後で反省室に入れられたことも良い思い出だ。


「俺が部隊を持つようになった時も、戦闘だけに集中できるよう隊員を集めてくれましたね」


 対外折衝が上手く、部隊間の緩衝材になってくれた貴族のお坊ちゃま。

 情報が命と言い、機密情報すら違法スレスレに手に入れてくるヘタレ政治犯。

 事務仕事が苦手な俺を、公私に渡ってサポートしてくれた同い年くらいの少女。


 細事を任せられる3人が居てくれたから俺はエースでいられた。それでいて戦場では無理を任される俺に十分付いて来れるのだから、3人とも俺の隊を離れればエース級なのは間違いなかった。よくそんな人員を集められたなと思う反面、そのどれもが伯爵が俺のために環境を整えてくれたお陰だった。


 俺は伯爵に拾われたから、この世界で人の温もりを感じられた。

 そんな伯爵に今も守られている。お前は目の前だけ見て進めばいいのだと気遣われ、要らない苦労は引き受けられている。

 だが軍を辞め、自分の道を決めた以上そうも言っていられない。そこには誰にも背負わせてはいけない責任が付随するのだから。


「何か知っているなら教えてください。もう蚊帳の外にいるふりも、無知を装ってやり過ごすことが出来ないのは俺でも分かります。俺はもう、貴方に守られるだけのガキじゃない」


 俺がそう言って伯爵を見ると、彼は少し寂しそうに微笑んだ。


「軍を辞める時も未熟者だったお前が周りを気にするようになりおって……一丁前に大きくなったな。

 ―――分かった。お前もリストに載る以上、ある程度は知っておくべきだ」


「! ありがとうございます!」


 仕方ない奴めと笑ってくれる伯爵に、漸く認めて貰えた気がした。


「リストとは、帝国が定める条件を満たした人物をファイリングするためのシステムだ。選ばれる条件、選定者、用途については不明とされている」


「されている、と言うことは伯爵は知っているんですか?」


「とある使命を帯びた存在、だそうだ。

 これは与太話に過ぎないが、『ブックマン』と呼ばれる存在がいて、リストを含めた帝国全ての情報と記録を管理しているらしい」


「ブックマン……私も聞いたことがありませんわ。帝国全ての情報を管理する存在がいるなんて信じられません」


 確かに帝国の支配領域を考えると、その全てを管理できるとは到底思えない。とてもじゃないが人間の限界を超えている。と言うことは、シズみたいなAIの事を言っているのだろうか?


「悪いが、これ以上は帝国の禁足事項に抵触するため話すことは出来ない。

 もしリストについて詳しく知りたいのなら、ブックマンを探して話を聞くのだな」


 伯爵はそう言って耳を二度叩いた。誰かが聞いている、その合図だ。

 改めて部屋を見渡すが、当然俺たち以外誰もいない。シズや伯爵が防諜を施したVIPルームで誰が聞けるんだ? 目線だけでシズに確認を取ったが、目を伏せられた。

 センサーを搭載したシズが感知できない存在? そんな馬鹿な話があるか。そう思ったが、用心深い伯爵の言うことだと頷くだけに留める。


「お前たちも気を付けておけ。同じ組織、それも同時期に2名もリストに載るなど聞いたことが無い。

 だが踏み込んでしまった以上、お前たちが考える常識など何の意味も持たなくなるぞ」


 緊張感を持たせる雰囲気を纏う姿に、ラビットの面々も自然と唾を呑みこんでいる。

 シズにも感知されずに盗聴可能な存在もいるかもしれない。P.PやB.M.Iで読心できる存在がいる以上、想像もつかない手段を使ってくる可能性を考慮しろってことだろう。そんな中でΑΩと評議会、リストと厄ネタのオンパレードを抱えてしまった。

 だが()()()。抱えた厄ネタを帳消しにするくらい面白いと思えるのは、生きていくうえでとても大事なことだ。何かをしでかす、巻き込まれる、馬鹿をやる。機械的な日々じゃない、刺激的で変化のある毎日が待っていると思うと心が踊る。


 それに、俺には今も昔も頼れる仲間たちが居る。


「オキタもマリーも私が守る」

「まだまだガキが多いんでな、一歩離れて見守る奴が必要だろう」

「オキタ氏が寿命で死ぬまで離れるつもりは無いですね」

「長い人生の一部としては申し分ないです」

『皆様に仕えるのが私の望む存在理由です。離れるなどあり得ません』


「ボクらが揃ってれば何があっても平気だよ! なんたってお暴力だけは得意だからね!」


 拳を突き出してきたエリーにグータッチで返す。好戦的な笑みを浮かべるエリーの言う通り、暴力だけは人並外れた自信がある。ラビットナンバーの1から3まで全員が二つ名持ちのエース級、それも専用機を持った暴の化身だ。常識が通用しない相手が今後の敵だって? 上等だ、非常識には非常識をぶつけてやる。


『話は纏まりましたね。では仕事の話といきましょう』





   ◇





 くんずほぐれつで見てられない状況になっていたハイデマリーをアリアドネを引き摺り起こし、全員集まった所で漸く本題に入れるようになった。

 仕事の話をするにあたり、まずは捜索範囲を絞り込む必要がある。そう言ったハイデマリーの要望によって、部屋の真ん中には帝国を形成する銀河系の星図が表示されている。


 帝国は”ゼノンシス”と名付けた親銀河を丸々ひとつ支配領域としており、支配領域には多数の伴銀河も含んでいる。伴銀河の中でも重要拠点として、スターゲートが多く設置されている伴銀河は4つに数えられる。


 銀河系を構成する大半が軍事拠点である帝国軍の本拠地”アストラ”

 商業が盛んで帝国支配領域全ての資源供給を賄う帝国の台所”オルフェオン”

 帝国発祥の地とされ、多数の惑星が神秘に包まれた”エリュシオン”

 支配領域を広げるため外宇宙への探索拠点になっている”フロンティア”


 これら4つの主要な伴銀河と、帝国の政治経済軍事の中枢が集まる親銀河系”ゼノンシス=コア”。

 その他小さな銀河系を全て含んだ局所銀河群を帝国は”ゼノンシス銀河”と呼び、これが帝国の全貌となっている。

 もちろんゼノンシス銀河の中にはエリーや双子の出身地であるエルフの支配領域や、リタが所属していた共和国の支配領域なんかも含まれているが、帝国はそんな細かいことを気にしない。ゼノンシス銀河の全てが自分たちの物と考えている。

 

 この話を初めて聞いた時、話の規模があまりにも大きいせいで”お前は何を言っているんだ?”が俺の感想だった。何を言われているのかさっぱり分からん、教育係の軍人にそう伝えた時には残念な子を見る目で見られた。どうも一般常識だったらしく、俺が頭の残念な子と判断される切っ掛けになった一幕だった。


 だからこれではいかんと思い、頭を振り絞って地球規模の話で例えてみた。


 地球は太陽系に所属していて、太陽系は天の川銀河に所属している。

 天の川銀河はその重力を基に多くの銀河を従えていて、大マゼランなんかがその中でも有名だ。

 この関係から天の川銀河が親銀河、大マゼランが伴銀河と考えることが出来る。

 そして天の川銀河、大マゼランなどを示して局所銀河群と呼んでいる。

 つまり天の川銀河を含んだ局所銀河群=ゼノンシス銀河=帝国の支配領域と考えればいいのだ。

 アストラやオルフェオンはゼノンシス=コアの伴銀河だから、位置づけ的には大マゼランが此処に当てはまる。

 ちなみにバレンシア星系はゼノンシス=コアに属する星系の一つで、言ってしまえば太陽系に等しい存在だ。規模的にはバレンシア星系が圧倒的にデカいが。


 こう考えるとまだ話が分かる気がした当時の俺は、理解した内容を自慢げに教育係に話してみた。アホを見る目で見られたが、今思うと一般常識をドヤ顔で語るガキンチョはそんな目で見られて当然だろう。

 閑話休題。

 ゼノンシス銀河の天体は1兆個を遥かに超えるくらいはあるって話だから、帝国の支配領域がどれだけ広いのか? そんなことを考え始めたら今でも話が分からなくなる。

 何光年も先の銀河系でも瞬間的に移動できる手段が確立されているとはいえ、その広さを具体的に想像して個人のスケールに落とし込めるほど俺の想像力は大きくないのだ。 


 そんな宇宙の地図ともいえる物を前に、ハイデマリーはシズを伴って皆に振り返った。


「シズ。ゼノンシス銀河の中で、ウチがシミュレーションしたオーパーツが漂ってそうな場所にポイントを付けて」


『はい』


「視づらいな……ガスと塵を消して。あと、近づくのがめんどそうな白色矮星と中性子星の近くも全部カットや、重力に引き伸ばされたら適わんからな。ああ、伴銀河にも同じ処理してや」


『星図を更新しました』


 映し出されたのは局所銀河群、ゼノンシス銀河の中で安全に航行できる星図だ。これだけでも価値があるが、驚くことにこの星図には事細かにオーパーツの所在が記されている。


「これは……本当なら宝の地図ですわね。どのように計算を?」


「あんま知られてないことやけど、オーパーツって作られた年代と場所がだいたい決まっとんよ。

 やからla型超新星爆発、キロノバ、マグネターの大フレア……計算条件並べるの面倒やな。とりあえず、ず~っと昔から起こったありとあらゆる銀河の事象を帝国のデータベースからクラッk……もとい頂戴して天体の動きを予想して、あとは重力の関係からちょちょいのちょいと計算したら飛んでったオーパーツの軌道を求められるで。

 もちろんウチの頭だけやとパンクするさかい、シズのCPUに頼っとるけどな」


「これが全部?」


「そんな訳ないやん? 買い手もおるのに全部見せたら商売あがったりやわ」


「このデータの信憑性は?」


「ラビットの皆は知っとるやろうけど、オークリーで第2艦隊が救援に来てくれたやろ? あれ実はグラスレーのばあ様におねだりして呼んだんやけど、その対価にポイントの情報を教えたんよ。

 ばあ様、ええもん見つかったんやろ?」


「ああ、お前さんはホントいい仕事をするもんだ。誤差も許容できる範囲、宇宙規模で言えばピンポイントと言える範囲内さ」


「うひひ、それほどでもあるんやなコレが! どーや義姉やん、ウチの道楽も役に立つやろ?」


「う~ん……これは地味に天才かな? 私でも出来そうだけど」


「そう簡単に出来てたまりますか……」


 スケールがデカすぎて話に付いて行けない。とりあえずこの広大な宇宙の中で、何処にあるかも分からないオーパーツを探し出したハイデマリーがどれほどぶっ飛んだ存在か。その凄さが分からない俺から送れる言葉はただ一つ、パネェ。


「ねえ、ひょっとしてだけどさ。マリーがリストに載ったのってこれが原因だよね?」


「もしかしなくてもこれが原因でしょうね。それだけじゃなくて、軌道を計算しきったこと。マリーちゃんの無茶振りに応えて計算しきれるシズちゃんを作ったことがヤバい判定を喰らったんじゃないかしら? うん、マリーちゃんの自業自得ね♪」


 俺もそう思う。なんかこう、本当はやったらいけない事をやっているような気がしてうすら寒い物を感じる。当の本人は唇を尖らせて拗ねた様子だが、やってる内容が内容だけに全然かわいく見えない。むしろ俺たちパイロット組とは別の路線で化け物なんだと確信した。


「と言う訳で。せっかくやからゼノンシス=コアを離れて別の銀河系にオーパーツを回収に行くで。

 場所は~……せやな、オルフェオンにしよか。中央の物はどの銀河系でも高く買い取ってくれるけど、物流が激しい場所やからウチらも商売しやすいし」


「では私はセクレト・オルフェオン本社に連絡を入れておきます。艦と艦載機の部品、武器弾薬の補給についてはセクレトが全面的にフォローしますわ」


「えらい協力的やん。何か考えてんの?」


「それもありますが、再誕計画後にオキタ様のフォローを行うことは当初の契約に入ってありますの。

 それとは別に、オキタ様にはこちらをお渡しします。セクレトが特別な方宛てに発行しているゴールドカードです。これを提示頂くと、セクレトが運営する場所で無期限無条件での優待を受けることが出来ます。是非お使いください」


「え? ああ、ありがとう……?」


 クレアからゴールドカードを受け取るが、これって地味にヤバいカードじゃないのか……? セクレトはゼノンシス銀河系の全域に支社を持っているメガコーポだ。そんな帝国御三家企業の一つ、セクレトから無期限無条件で優遇されるということは、人生イージーモードに突入したと言っても過言ではないのでは……?

 それも武器弾薬の補給だけじゃない、生活に必要なありとあらゆる商品を取り扱うセクレトだから、その効果範囲は少なく見積もって俺の人生何回分……? ヤバい、カードを持つ手が震えて来た。今だけは微笑むクレアが悪のメガコーポ首領に見えて仕方がない。


「婆からは貴族連中、オルフェオンにいる中央評議会の派閥連中に牽制を入れておこうかね。オルフェオンの総督府にはツテがある、要らん横槍が入らんように何とかするよう伝えておくよ。

 まったく、私が統治しているエリュシオンにしておけば要らん手間も省けたものを……」


 オルフェオン総督府。位置づけだと中央評議会の下、各銀河系ごとにある政府機関だったか。そこにツテがあるのは流石大貴族と言った所か。


「そう言わんといて。でも流石ばあ様、持つべきは権力やね」


「オーパーツは期待しておくよ」


「任されたで!」


 政治権力からの面倒な茶々入れはたぶん無しと。いいね、それだと仕事のやりやすさがグンと変わってくる。


「ワシからは何もしてやれんが、情報は集めておこう」


「よろしくお願いします」


 伯爵にはここまで色々助けて貰った。銀河系を移る以上、これ以上無理を言う訳にもいかないだろう。


「セクレト研はΑΩの解析を続けます。ヴェルニス・パイロットラインの追加装備は開発が完了次第、そちらへお送りします」


「まずは砲撃戦ユニットからじゃな」


「ありがとう、お爺ちゃん」


 ヴェルニスの戦力アップも問題なさそうだ。リタはオークリーで砲戦仕様のヴェルニスを扱っていたからな。本人は機動戦が得意と言っているが卒なくこなすだろう。


「私はオキたん君が起こした大規模破壊現象の解析を進めるねん。社長業の合間にやるからあまり進まないかもだけど、結果には期待してくれていいよん」


「義姉やんは2倍働け?」


 アリアドネには無理させてもいいかな、、、ハイデマリーとの関係を見ているとそう思ってしまう。いやホント、顔付き合わせたの今日が初めてなんだけど印象が愉快な人で固まってしまってな……。


『話も纏まったところで、今回の会合は以上とさせて頂きます。他に何か仰りたい方はいますか?

 ―――では皆さま、力を合わせてこの局面を乗り切りましょう。まずはラビットの借金、3000億から膨らんで3500億のクレジット返済からです。気張っていきましょう』


 ――――――え? ……はぁっ!?


親銀河:ゼノンシス=コア

伴銀河:アストラ、オルフェオン、エリュシオン、フロンティア、その他多数

親銀河+伴銀河=局所銀河群。帝国名「ゼノンシス銀河」

といった感じの世界観になり、5つの銀河系を舞台に話を進めていきます。


New word:ブックマン

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オキタん借金が一番の衝撃ダナ!(゜∀゜)
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