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サイボーグ競馬場

ドラロンのところから帰った俺っちは毎日のようにJBのところに行き

そしてドラムの件は・・・そっちのけでJBの作る中華料理を堪能していた。

「ホイコーロー1つ」「アイヨー」

チチッチッチ、ドドッパッパ、チチッチッチ、ドドッパッパ。

相変わらずいい音出してるぜ、そしてこの味・・・

「うまっ!」

この美味さで一皿純銀貨1枚(千円)とは良心的すぎる。

バンドに引き込もうとしている自分は間違っていることをしている気すらする。

ドラロンにドラムの作成を依頼してから3日経過したが

どうやったらJBにドラマーとしてバンドに参加してもらえるか

考えてはいる、考えてはいるが・・・明日は麻婆豆腐で決まりだな。

大きな町ではあるが少し飽きてた。宿屋の主人に何かないか聞いてみると

「サイボーグ競馬場に行ってみては?」

賭け事に興味は無いがサイボーグ馬には興味がある。競馬用にカスタマイズされた

サイボーグ馬といえば金貨500枚(五百万円)以上する代物だ。

そんなサイボーグ馬たちが猛スピードで走る姿を見るだけでもきっと楽しいはず。

徒歩で2時間かけサイボーグ競馬場へ。

途中、マダラスカルの冒険者ギルドを見かけたので立ち寄ってみる。

実はステータス画面を開いても冒険者ランクは空白のままだったりする。

魔族相手のライブを乗り切ったから少しは上がっているかと期待したが

ステータスは全然変化が無い。

「冒険者ランクってどうやったら上がるんっすか?」

受付の女性に聞いてみる。

「ギルドの依頼をこなして完了しないと上がりませんよ」

なるほど、ギルドの依頼を受けて完了することが必須なのか。

ということで、パーティーを組んでくれオーラを発してみるも

またもやギルド内で孤立する俺っち。

やめたやめた、無理してパーティー組んでもらっても

どうせお荷物扱いされるだけだ。

冒険して死にそうな目にあってランク上げても職業は吟遊詩人のままだし。

悔しいけど異世界でも即戦力を求めるのは同じってか。

   ●

競馬場の中へ入ると人々の熱気というかザワザワした空気が漂っていた。

ガコンという大きな音がして歓声が沸きあがる。どうやらレースが始まったようだ。

早速、見に行ってみると10体のサイボーグ馬が走っている。

転生前の競馬との違いは人が乗っていないこと。スピードが速すぎて危ないからね。

「いけぇ!こら何ちんたら走ってんじゃこらぁ!」

うわっ柄の悪い女の人もいるもんだ。

「んああああ、いったれや、このチンカスがぁ!」

チンカスって、スーザンみたいなこと言ってるし。

「神のお導きがぁあああああ」

神のお導きって、あんたシスターみたいな格好して

こんなところで何をしてますの~って

「スーザンかよ!」

ここ数日姿を見せないと思っていたらこんなところにいたのか。

目が血走ってやがる。話しかけるのはやめておこう。

いや~サイボーグ競馬場、楽しかったな~。サイボーグ馬を見に行くだけで楽しす。

ん?あれは・・・宿屋フローネの前にスーザンが立っている。

俺っちに気が付いたスーザンが小走りで近寄ってくる。嫌な予感しかしない。

「レニーあのね、お金を貸して欲しいの、うふっ」

キターっ、やっぱりキターっ。

「サイボーグ競馬か?」

「うっ、何でそれを知ってるの?何?あんた私のストーカー?」

逆切れ気味なスーザン。

「今日の昼間にサイボーグ競馬場で見掛けただけだよ」

全財産を競馬で失う人を初めて見た。しかもそれをシスターで。

「神のお導きのもとレニーの部屋で一緒にシスターの私が泊まってあげるわ」

「いや別に結構です。さよなら~」

「っちょ、ちょっと待ちなさいよ!困っているシスターを見捨てる気ぃ!」

「ああ、見捨てるとも。

競馬で全財産をスル、シスターのコスプレをしたダメ人間など」

「わかった、わかったわよ、少しは触らせてあげるから」

何!何だとぉ!どこを・・・どこを触らせてくださるんですかぁ!

「私の大切にしている・・・」

胸元に手を突っ込むスーザン。取り出したのは10センチほどのサークルクロス。

「ほら、暖かいでしょ!あたしの胸のぬくもりを感じなさい!」

無視して宿屋に入ろうとしている俺っちに

「待ってぇ~お願い~お金貸して~すっからかんなの~」

鼻水を垂らしながら泣き叫びラグビーのタックルみたいにしがみつくスーザン。

「金貨1枚でいいから貸して。明日、2倍にして返すから」

「ダメだ!じゃ、さようなら」

「明日からまじめにシスターするから~、今晩だけでいいから一緒の部屋に泊めてよ」

「わかった、わかったよ」

「ありがとう、レニー様ぁ~」

「俺っちがお前を襲わないと思ってるのかよ?」

「信用してるわ。シスターのあたしに手を出さないでしょ?」

ほんと都合良くシスターを持ち出してくるやつだ。

スーザンの目には俺っちはチェリーな15才の若造に見えるだろう。

しかーし、中身は29才の大人でありチェリーではない。

神の存在などクソ食らえ!シスターなど関係あるか!

やってやるぅ、やってやるともさ。

女性の方から部屋に泊めてと言ってきた時点で俺っちの転生前のカズキが叫ぶ。

OKなのだ!と。今夜、俺っちのエクスカリバーを岩から抜きさる時が来たのだ。

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