極悪、西遊記
メルティピッグ狩りの3日前、スペランカ洞窟近くのある村。
「私達が何をしたというのですか?」
村人の男性が懇願している。
「いや~何もしてねーよ。ただ、俺たちの仕事に必要だからやってるだけさ」
そう言うと男は村人の心臓を一突きして殺してしまった。
西遊記の三蔵法師のような格好にダルマのようなにギョロっとした目のヒゲ面。
手配書の男、三三蔵蔵である。
「ガキを数人残して村人は全員皆殺しにしろ!」
「女ぁ~女ブヒ~」
逃げ惑う女達を執拗に追いかける豚人がいる。
西遊記に出てくる猪八戒のような格好でほぼそのままの豚人。
倒れた女性の上に馬乗りになり襲い掛かろうとしたとき、
後ろから棍棒で頭を殴られる。
「妻に手を出すな!」
「俺は男が嫌いブヒ!」
豚人は腰に付けていた手斧で男性の首を跳ねた。
「あなたっー!」「とうちゃーん」
「ハッカイカイ、ちょっとこい」
「何だブヒ?」
三三蔵蔵は右手をグーにして思いっきりハッカイカイの右頬をぶん殴った。
「何度も言ってるだろうが!殺すときは綺麗に殺せって!
首を跳ねたら後でくっつけるのが面倒だろうが!」
「ごめんよ、和尚ブヒ」
「ちっとはゴクククウを見習え、バカ豚がぁ!」
複数の猿が村人を襲っている。
首の骨を折っている猿。心臓に刃物をつきたてている猿。
如意棒らしき棒を突っ立て、棒に寄りかかっている猿のところに
村人を襲っていた猿達が集まってくる。
これまた西遊記に出てくる孫悟空のような格好だが頭のワッカは装着していない。
「お前達、よくやったキー」
ポンっ、ポンっと煙を出して消え去る猿達。
「キジキジ~、他に隠れているやつはいねーか?」
上空で飛んでいた鳥のシルエットがだんだん大きくなり
人型のようなシルエットになる。
バッサバッサと羽を動かし、旋回しながら降りてきたのは
これまた西遊記・・・ではなく、ガーゴイルに服を着せたような感じというか。
くつは履いていない。鷹やふくろうのような獲物をガッチリと掴むような足。
顔は鷹のように鋭い。鎖帷子をしているが全体的には軽装である。
「もーいねぇみてーだキジ」
それを聞いた三三蔵蔵は
「よ~し、そんじゃ死体を集めてこい」
「了解キー」「了解ブヒ」「了解キジ」
三三蔵蔵はA4サイズくらいの大きさの茶色の巾着袋をキジキジに渡すと
「キジキジーっ、上空でこいつを撒いて村全体をカモフラージュしてこい」
ニヤリと笑いあごひげを触りながら
「これで準備はOKと。あとはカモがやってくるのを待つだけだな」




