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JB中華飯店毒混入事件

ん?今、窓の外を彩姫が横切ったような。和服が目立つから普段は街中に

姿を現さないのだが。ニヤついていたな。あの表情どこかで見たことがあるような。

「お待たせしました」

おお、これよこれこれ、このチャーハン。チャーハンにがっつく俺っち。

「いや~、このチャーハンはもはや合法ドラッグだよな、タイガックス」

そうだにゃ~と言いながら俺っちの前で突然椅子から崩れ落ちるタイガックス。

口から白い泡を出している。一人、また一人と異変を起こし椅子からずり落ちていく。

「どうした、何がおこ・・・ちゃらん」

あれ、呂律が回らないぞ・・・デジャブ、以前も同じようなことがあったような。

体が痺れて動けない。窓の外を彩姫・・・思い出した!

あのニヤついた表情、ドラロンのところで湖に毒を盛ったときの表情だ!

とうとう街中で白昼どうどうやりやがったな、あの毒殺魔め!

「何だ、何が起こったのですか!」

店内の異常に気が付いたJBが客達にヒールをかけるが回復しない。

そりゃ~回復しないだろうさ。彩姫の解毒剤がないと回復不可能だ。

バタン!唐突に店のドアを開け入ってきたのは

「通りすがりのただのシスターです」

なぜこのタイミングでスーザンが?

「こんにちは、オラは通りすがりの保健所の役人だべ。

好きな麺類はりんごとはちみつとろ~り入ったうどんです」

役人っぽい格好のサングラスを掛けたクワーマンが続いて登場する。超棒読みで

「これはいけませんね。こんなことを・・・こんなことを、えっとなんだっけか」

スーザンがクワーマンの耳元で何かを言っている。

「こんなことを起こしたら1ヶ月の営業停止だべ」

「そんな・・・!」

愕然とするJB。

『お主も悪よのぉ~』

俺っちの脳裏にスーザンが綾姫に何かを言っていた映像が思い浮かぶ。

あの時か!これはスーザンの入れ知恵か!

『仕事の打ち合わせがあるんだから』

もしかして、あいつらこの段取りを打ち合わせしてやがったのか!

スーザンがお祈りをしながら小瓶を取り出す。

「この聖水で回復するはずです」

痺れて動けなくなっているタイガックスの元へ行き

聖水を口の中へゆっくりと流し込む。

「おっ、痺れが取れた」

ムクッと立ち上がるタイガックス。

「1本純金貨5枚(五十万円)でご提供させていただいておりますが

キャンペーン期間中のため30分以内にご購入された方に限り」

A3サイズほどのプラカードを横向きに持ち

さささっとスーザンの右横に小走りで近寄るクワーマン。

「1本金貨1枚(1万円)にてご提供させていただいております!」

スーザンの声に合わせてプラカードをクルリと回すクワーマン。プラカードには

キャンペーン期間中 1本純金貨5枚が何と金貨1枚!今がチャンス

と書かれてある。まるで平日午前10時のテレビショッピングを見ているようだ。

「これ・・・こな・・・ここ・・・」

スーザンがクワーマンの耳元で何かを言っている。

「これも神のお導きだ。今がチャンスだべ」

清清しいほどの棒読みだぞクワーマン。こんな寸劇に引っ掛かるやつがこの世に

「キャンペーン期間中で助かったぁ~!」

いたーっ!ここにいたーっ!JBよ、冷静になれ!

一国の宰相までになった男がこんなチープな詐欺に引っ掛かるとは。

まるでオレオレ詐欺に引っ掛かるおじいちゃん、おばあちゃんレベルだぞ。

JBは中華料理の事になると回りが見えなくなる。

俺っちはこの状態になっているJBを中華ハイと名付けたよ。

「シスター様がいて助かった、これも神のお導きです」

涙目で聖水を購入しているJB。ATMで送金しているおじいちゃんに見える。

彩姫の毒を使い混乱状態にしてからのタイミングを見計らったシスター登場。

偽の役人による煽り。聖水の効果を見せ付けてからのキャンペーン期間中までの

たたみかけるような流れ。絵を描いたのはスーザンか。恐ろしいやつだ。

シスターが自分を騙すとは思っていない先入観。シスターだから人は騙されるのか。

「一ヶ月間営業停止にならなくてよい方法がございます」

「シスター様、その方法は何でしょうか?」

「あるバンドのメンバーとなり1週間バンド活動するのです。神のお導きです!」

宿屋フローラの俺っちの部屋。

「うまく行ったのぉ、ザンスー」

「あややの毒の調合がお見事でしたわ」

「汚ねぇ手を使いやがる」

「世の中はキレイ事だけでは先に進まないこともあるのよ」

知ってるさ。確かに世の中にはそういう面もある。例え仲間であっても解毒剤を

売りつけるしたたかさも必要だ。

ほらほら~早く解毒しないと死んじゃうわよ~と

JBの中華飯店で解毒剤をお友達価格の金貨2枚で売りつけられた俺っち。

「金貨1枚じゃなかったのかよ!」

「別にいいじゃん、あんたお金持ってんだし」

「これでいいんだべか」

クワーマンが肩を落としながら申し訳なさそうに言う。

そう、それが良心を持つ人としての普通の反応だ。

「やっぱり好きな食べ物はうどんじゃなくてラーメンっていうべきだったべか」

「そこぉ?そこはどうでもよくなーい?」

スーザンが切れ気味に返答している。

「あの状態のJBなどシスターの私にかかればちょろいもんよ。

シスターの立場は万能です、ぎゃはははは」

これで明日から1週間、JB中華飯店は臨時休業となった。

このチャンスを活かして何としてもJBをドラマーとしてバンドに参加させなくては!

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