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哀れイエロビッチ

「おおお、お待ちください、88、いやメルト様!」

慌てた表情の恵比寿丸が必死の形相で88の前に立ちはだかる。

どれだけ慌てふためいているかは白いマスクでわかり難いがとにかく必死である。

左手の白い手袋をはずし、8の字が書かれた左手の甲を目の前に出している88。

どうやら8式を発動しようとした様子であり、その発動が待った無しの状況のようだ。

たらりらりらーん、りらりららーん。

「おっ急用が出来た。じゃ、バイバイ」

手を振りながら去っていく88。

「ふう~間一髪。城の破壊は免れたぁ~」

安堵の表情の恵比寿丸だが白いマスクでわかり難い。

「あと少しで我輩が8式を粉砕してやったものを。

タイミングが良いというか、またあの呼び出し音が鳴りおったか。

88はスリータイムスチャンピオンの我輩のことが怖いと見える、グワッハッハッハ」

無表情の恵比寿丸であるが白いマスクでわらない。ドスの効いたかすれ声で

「あれほどメルト様に8式を使うことを煽るなと忠告したのを、このしれ者めが」

「メルト?メルトとは88のことか?88はメルトという名があるのか。

可愛い名じゃな、グワッハッハッハ」

「メルト様のお名前、お前ごとき、こわっぱが口にして良いものでは無い。

もはや魔王城の管理者として、そしてメルト様への無礼。

イエロビッチ、この場でお前を葬っておくことにしよう」

恵比寿丸の威圧感に一瞬たじろいだイエロビッチであったが

「城の管理者ごときがスリータイムスチャンピオンの

我輩に勝てると思っているのか!東方の田舎者が身の程を知れい!」

恵比寿丸に殴りかかろうとした瞬間

「う、動けない・・・」

「相手の力量も見抜けぬアホぅが」

ぴゅあ~らぴゅあ~らぴゃっぴゃっぴゃっらら。

どこからともなく聞こえる歌舞伎のBGM。

恵比寿丸の白いマスクから歌舞伎の隈取の模様が浮かび上がる。

「魔族超強武道会など稚戯ちぎなものは知らぬ。

3度優勝しようが10連覇しようが何の役にも立たぬ。

スリータイムスチャンピオンなどとで有頂天になりおって。

冥土の土産に教えてやろう。私の顔に浮かぶ模様の色は

青、黄、緑、赤、金がある。青で18%、黄で33%、緑で50%、赤で89%

そして金は100%の魔力を消費する」

「何でそんなに細かく刻んであるんだ」

「わかる人にはわかる!お前ごとき青でもほふるのに多いくらいよ」

恵比寿丸の背後に大きなおたふくの面が浮かびあがる。

じわりじわりとおたふくの面をした割烹着姿の女性の上半身が浮かびあがる。

おたふくは右手に和包丁をもっている。おたふくは左手をそっと

イエロビッチの足元へもって行き、すぅ~っとイエロビッチを持ち上げた。

「や、やめて・・・ごめんなさい」

「青 味噌汁 豆腐一丁!」

イエロビッチの体を四角い半透明の豆腐が覆う。よ~っお、という掛け声がすると

お味噌汁に入れる豆腐を切るようにおたふくが和包丁をイエロビッチに入れる。

ポン(小鼓の音)という音が鳴り、

イエロビッチの体はバラバラになり消えてしまった。

歌舞伎の見栄を切りながら恵比寿丸が一言

「お袋さんの味噌汁の味を思い出すがいい」

カン、カカカカカ、カカン!(ツケ打ちの音)

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