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42-3.奢り

「よっぽど腹減ってたんだな!」

ものすごい勢いで料理を平らげる男にチャックは愉快そうに尋ねる。

「何も食べてなくて限界で…ありがとうございます…」男は半泣きだ。

「俺も昔迷宮都市で腹すかして困ってた時にある人に助けてもらったんだ。それで、その人がやられて嬉しかったことは他の誰かにもしてあげなさい。そうすれば世の中はもっと良くなる。って言っててさ。」チャックは懐かしそうに語る。

「いい話ですね。ありがとうございます!お兄さん!」男は感涙に咽ぶ。

「なんかいい話してるけどさ、金払うの私なんだけど…」ロスは静かに怒った。


「俺ジョン・ウイリアムズっていいます。ジョンって呼ばれてます!」ジョンは満腹になって元気になったので自己紹介をする。

「ジョンはどうしてここに?」チャックが尋ねる。

「元々は王都に住んでたんですけど、北部侵攻に参加してそこで使えないからって送り返されて実家に戻ったんですけど、父さんが厳しくて「途中から逃げ帰る軟弱者を家には置いておけん!」って言われて、根性を叩き直せということで南部に送られました。」ジョンは悲しそうに語る。

「お父さん厳しすぎだろ。」チャックはドン引きする。

「父さんはもともとすごい軍人だったらしくて、納得いかないですけど…」ジョンは口を尖らせる。

「無様ね。親近感が湧く。」ロスも思わぬ同類の出現に少し気が大きくなる。

そのあとしばらく三人は盛り上がった。


 帰り際、

「じゃあ、私はこの辺で。本当ありがとうございました!」ジョンは深々と頭を下げる。

「おう。気をつけてな。」チャックが別れの挨拶をする。

ジョンは背を向けて歩き出す。

「ジョン?」ロスが呼び止める。

「どうかしましたか?」ジョンが振り返る。

「泊まる当てはあるの?」ロスが尋ねる。

「あっ、そっか。困りましたね…」ジョンは俯く。

ピンとロスは金貨をジョンに投げる。

咄嗟に金貨をキャッチしたジョンは困惑する。

「無様仲間のよしみで貸してあげるわ。今度返して。」ロスが言う。

「あ、ありがとうございます!!!」ジョンは深々と頭を下げる。

「このご恩は一生忘れませんっ!!!」ジョンはぺこぺことお辞儀をする。

「ええい、暑苦しい!」ロスが嫌がる。

「絶対に返しますから!」ジョンはそう言うと何度もこちらを振り向きお辞儀をしながら人混みの中に消えていった。


「はぁ…」ロスはため息をつく。

「面白いやつだったな。」チャックが言う。

「ちょっと鬱陶しかったけどね。」ロスはやれやれといった顔をする。

「俺たちも帰るか。」チャックが提案する。

「そうね。」ロスも同意した。

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