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40-1.共謀

 「うーん。穏健派との共闘ね。」オーム総督は難しい顔をする。

「はい。こちらで検討した結果、共闘案でいこうということになったんですが、それには総督の許可が必要なので。」シルヴィアがかしこまって言う。

「そうだね。たしかに穏健派とのパイプが出来たのなら上手く活用すべきだ。特に南部に配属された帝国軍の練度は低い。地方に飛ばされたってことでやる気がないんだ。だから、まともに戦闘になれば南部を知り尽くしている反乱軍に勝つのは難しいかもしれない。」総督が言う。

「ある程度の譲歩を見せれば穏健派はそれに答えると言質をとりました。」ロスが補足する。

「南部が未だ帝国領であるのは反乱軍が一枚岩ではないことが最大の要因だ。特に軍の精鋭が北部にいる今、反乱軍が結束すれば我々はひとたまりもない。今は時間を稼げればそれでいい。私も立場上そうしろとは言えないが、当面時間を稼げるなら悪くない案だ。どちらにせよ反乱軍の分断を深められる良い機会だ。」

「つまり?」俺は尋ねる。

「表立っては無理だが、内密に支援しよう。」総督は真剣な顔で言う。

ロスさんの目が少し笑っているように見えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「そうか!総督の許可が出たか!」マーカスは大きな声を出す。

「そうですね。では共闘といきましょうか。」シルヴィアは淡々と言う。

「おお!帝国と反乱軍の共闘か!熱いね!」マーカスは両手を広げる。

マーカスが握手を求めたがシルヴィアが露骨に嫌な顔をする。

「あれ?俺嫌われてる?」マーカスは不思議そうな顔をした。


「今の反乱軍は急進派が多数派だ。ロス、お前の知ってる頃よりそれは酷くなってる。」

マーカスは反乱軍の説明を始める。

「主に急進派は俺たち穏健派よりも軍事力が強く勢力もでかい。まともにやり合うのはおすすめしない。」そう言ってマーカスはフリップを取り出す。

「いったいどこから?」チャックは驚愕する。

「まず、帝国に対する反乱は南部が帝国領になった時からずっと続いていた。さらに、北部から連れてこられた奴隷達も混じって勢力を拡大した。だが、当時の帝国は全盛期。圧倒的な練度と物量で反乱軍は幾度も踏み潰された。だが、支配があるかぎり反乱の火が消えることはなかった。

そして、帝国の衰退によって、今まではすぐに弾圧されていた俺たちが今まで以上に暴れられるようになった。そんな中登場したのが反乱軍のカリスマ、英雄プリニツキーだ。奴はもともと北部から連れてこられた奴隷だったが、そのカリスマ性と巧みな軍略で反乱軍を統一し幾度となく帝国軍を打ち破った。南部の英雄だ。プリニツキーは穏健派だった。それ故に南部の人々は彼に味方したし、帝国側も平和的な対応をすることもあった。だが、そんなプリニツキーも帝国軍に暗殺されてしまう。南部が復習に燃える中、今まで隅に追いやられていた急進派をはある者を担ぎ上げた。それがプリニツキーの妻であるサンドラだった。サンドラは愛する者を殺されたという復讐心から急進派をどんどん拡大させた。結局反乱軍の議会はほとんどが過激派の幹部に占められ、反乱軍は実質サンドラの、急進派のものとなった。急進派率いる反乱軍は復習に燃え決戦の準備のため中立状態の村までも飲み込もうとしている。それが今の反乱軍の状況だ。」

「特にこの村は首都に近いため中立を守っているのですが、帝国軍はこの村を守る気はない。ただ、反乱軍に味方すれば軍は私たちを罰します。だから大変なんです。」村長が俯く。

「な?最低だろ?」マーカスは呆れたような顔をする。

「つまり、今の反乱軍のトップはその、サンドラさんなんですか?」俺が質問する。

「ああ、表向きはな。だが、一概にそうとも言い切れない。過激派の幹部はサンドラだけじゃない。昔から急進派の重鎮だった宿老ソルマン。プリニツキーの信奉者であるカーター。急進派の古株、残虐なベルモント。元急進派のリーダーであるジェファーソン。そいつらが今の反乱軍を実質的に取り仕切っている。」

「サンドラは傀儡なのか?」シルヴィアが質問する。

「それは見方による。たしかに俺にはそう見えた。だが、彼女はプリニツキーの闘争において最期まで彼と共に戦った女傑だ。夫を失っただけで簡単に操り人形に転げ落ちるような奴じゃない。復讐のため自ら操り人形になったとも言える。まあ、そればっかりは本人に訊かないとわからんな。」マーカスはそう答えた。

「なるほど、その五人が今の反乱軍を牛耳ってると。」シルヴィアが言う。

「それで間違いない。あぁ、座って話すのは疲れるな。休憩にしよう!」マーカスはそう言ってさっさと外に出て行ってしまった。マイペースな男だ。

俺たちも難しい話をしすぎてパンクしそうだったので休憩することにした。


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