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39-2.策略

 俺たちは村長の家で円になって座った。

「まあ、自己紹介をしよう。俺はお前らが反乱軍と呼ぶ組織に属している。マーカスって呼んでくれ。」男は自己紹介をした。

「こいつは反乱軍の幹部だけど、あいつらの中ではまだマシなやつよ。」ロスが補足する。

「褒めてくれてありがとう。俺としても急進派の蛮行には手を焼いてる。当初俺たちは歓迎されたが、あいつらが反乱軍内で勢力を拡大で勢力を拡大するにつれ、その辺の村は協力を拒んでくるようになったし、ロスみたいに見切って帝国に寝返るやつも増えた。困ったもんだよ。」

「お前もこっちに来ないか?」ロスが冗談めかした事を言う。

「いや。俺は南部のため活動し続ける。」マーカスはあっさりと突っぱねる。

「そう。でも、マーカス、シルヴィア。あなたたちは利害が一致しているんじゃないかしら?」

「「?」」二人は不思議そうにロスの顔を見る。


「なるほどな。お前らは帝国の回し者で反乱軍を弱体化させたいと。たしかに急進派を潰したい俺とは利害が一致していると言えなくもないな。あくまで弱体化が目的であって俺たちを皆殺しにするわけじゃないんだろう?」今までの経緯をきいたマーカスは不敵な笑みを浮かべながら言う。

「共闘は十分に可能だと思うが?」ロスは二人を見つめる。

「だが、反乱軍に敵対している私たちが反乱軍と組むなんて、どうなんだ?」シルヴィアは首を傾げる。

「確かに、無理のある話ですね。」俺も考え込む。

「俺はな、急進派を潰して反乱軍を少しでもマシな組織にする。そうすればお前たちにも利益はあるだろう?」

「私たちに利益?」シルヴィアが質問する。

「もし急進派を打倒して、帝国がある程度の譲歩を見せれば俺たち反乱軍はある程度大人しくしてやってもいい。」マーカスは人差し指を立てる。

「譲歩とは?」チャックが尋ねる。

「税率を下げるとかか?取りすぎだ。六割と言いながら帝国は七割八割徴収するときもある。これからは戦争でさらに上がるだろ?」

「まあ、その話は考えておこう。」シルヴィアは曖昧な返事をした。

大臣曰く多少の譲歩は想定内らしい。しかし、それは交渉のためあえて言わないようにしているのだろう。俺も黙っておく。

「とまあ、俺からの話はこれくらいだ。もしお前らが断るってんならこれ以上俺の話は聞かない方がいい。それがお互いのためだ。だろ?」マーカスは見透かすような目でこちらを見る。

「我々も即決はできない。時間をくれないか?」シルヴィアはチラッとこちらを見る。

俺は黙って頷く。

「じゃあ、答えはまたの機会にきこう。俺らはしばらくここにいる。」マーカスはニヤニヤしている。

俺たちは逃げるように村長の家を見た。


ロスは俺たち三人が家を出るのを見送ると自分も立ちあがろうとする。

「なあ、ロス。これが狙いだったのか?」マーカスは彼女を呼び止める。

ロスは無言で首を傾げる。

「お前は反乱軍も帝国も死ぬほど恨んでる。それはよく知ってる。お前の狙いは共倒れ。違うか?」マーカスはロスに顔を近づける。

ロスは口元を隠す。

「私はただ総督から命じられた事をやっているだけだ。」

「嘘だな。お前は遠くからでも俺たち反乱軍が村にいる事をあの中の誰よりも先に察知して引き返せるはずだ。それをしなかったってことは、お前は俺らとあいつらを接触させたかった。合ってるだろ?」

「マーカス。それは論理の飛躍だぞ。」

「論理の飛躍か。人殺ししか能のない奴隷女がどこでそんな文明的な言葉を覚えた?よほどあちらの生活が気に入っているんだな。」マーカスは肩を震わせて笑う。

ロスは無言で立ち去る。

「俺らはどこからどこまでお前の手のひらの上で踊るんだろうな!」マーカスはダンスしながらロスの背中に言葉を吐く。


「なあ、ロス、お前の用意した舞台が極上のものなら俺は死ぬまで踊り狂ってやるよ。」

マーカスは去っていくロス達に向けて呟いた。

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