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38-1.横領
「最悪。落ちた時に曲がったかこれ。」ロスは愛用の弓を見て顔をしかめる。
「修理に出さないとな。これ機構が複雑だから直せないし。第一片腕動かないし。」
「なら修理に出さないとな。」近くで読書をする総督が呟く。
「なんで私の部屋にいる?」ロスが総督を睨む。
「別に護衛と同じ部屋にいるのは変なことではない。」総督は太々しい顔で言い張る。
「何かあっても動けないんですが?」
「肉壁くらいにはなるだろ。」
「歩けないので肉壁にもなりませんよ。ただの肉です私。」
「お前もジョークを言うようになったか。変わったな。」総督は嬉しそうに微笑む。
「何がですか…」
「いいや、なんでもない。邪魔みたいなんで仕事に戻るよ。」そう言って総督は席を立つ。
「肩の傷は化膿しないようにこまめに包帯を取り替える。あと栄養摂って早く傷を治して職務に復帰したまえ。」
総督はそう言うと部屋を出て行った。




