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37-2.PRESS

 俺たちは意気揚々と村に向かった。

俺たちは記者だ。異世界マスコミだ。財務省職員なので国営メディアか。まあいい。

結論から伝えるとこの後俺たちは反乱軍に捕えられた。


俺たちは村までの道を歩いていた。俺もフル装備ではなかったが、胴体の部分の鎧は着ていた。シルヴィアもいるしなんとかなるだろうと思っていた。南部の温暖な気候が俺たちの気持ちを緩ませた。反乱軍が活動している地域であろうことか俺たちは護衛もつけずに行動した。反乱軍も普段は農民として活動している者が多い。彼らも基本的には帝国による支配をよく思わない普通の農民が大半であり略奪行為を繰り返しているのはごく一部である。なのでいきなり捕まって殺されるなどということはない。そう考えて俺たちは村へ向かった。

結果反乱軍に怪しいからという理由で取り囲まれて縛られ拉致された。


「まずいね。」シルヴィアは遠い目をしている。

「まさか捕まるとは思わなかったですね。俺たちそんなに怪しかったですか?」

「怪しかったんだろうね。」

「俺たち殺されるんですかね?」

「さあね。でも、私たちが財務省の関係者だとは口が裂けても言っちゃいけないよ。」

「わかりました。」


しばらくすると、反乱軍の幹部の一人と思わしき人物が俺たちの前に現れた。

「お前たち、どうしてこの辺をうろついていた?」荒っぽい風貌だが、それを取り繕うように丁寧な様子で話しかけてくる。

「散歩していただけです。」シルヴィアは白を切る。俺も頷く。

「散歩ねぇ。随分身なりがいいようだが、そんな奴らがなぜこんなところで散歩する?何も見るものなんざないだろうに。」男は愉快そうに肩を振るわす。

「小麦畑とか美しいじゃないですか。見にくる価値はありましたよ。」

「もう少ししたら収穫期だ。もっと美しくなる。壮観な小麦畑を見たいならまだ少し早いぞ。都会の娘が農民相手にバレる嘘なんざつかなくていい。最初の質問に戻ろうか。どうしてお前たちはこの辺をうろついていた?」

シルヴィアは「やばい」と言いたげな視線を送ってくる。

「はぁ。言わないなら当ててやろう。こっちの嬢ちゃんはいい匂いがする。身なりもいい。王都の者だろう。南部の女は香水を使わん。こっちは暑い上に農作業や狩りですぐ汚れる。だから毎日水浴びをする。香水なんて高えもんは使わない。だが、王都の女は昔の不衛生だった頃の名残で当たり前のように香水を使う。だろ?当たってるか?」男はニヤつく。

大体合っている。図星を突かれたシルヴィアは目をそらす。

「それでこっちの兄ちゃんは、西部の港町出身だろう。あそこにはハンが大勢いる。お前も同じ顔だ。どう知り合ったのかは知らんが、おおかたいい暮らしを夢見て王都に潜り込んで上手くたらし込んでこの女についてきた。そうだろ?」

こっちは全然違う。まあ、俺はイレギュラーすぎるので仕方ない。

「俺は昔から鼻が効くんだ。特に狩りの時にな。獲物を細かく分析する。今の状況と一緒だ。」

鼻が効くのはそうなのだろうが俺の方は間違っている。

黙り込んだ俺たちをみて男は呆れたような顔をする。

「あのな。別にお前らが王都から来たからってぶっ殺すわけじゃない。どこから来たのか、何をしているのか訊いただけだ。」

俺たちはしばらく考える。このまましらばっくれていても埒が開かない。

「私は王都を追われて南部に逃げてきた。他に言うことはない。」シルヴィアは意を決して本当のことを言う。

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