35-3.敵襲
反乱軍兵士は小屋の中からゴソゴソと音がするのが聞こえた。
男でも女でも略奪できればプラスになる。中に誰かいると考えドアを蹴破る。部屋の奥には子供が二人いる。
「お兄ちゃん!」
少女が叫んで少年に飛びつく。兄と思わしき少年は少女の前に立ち塞がる。
「お?いいお兄ちゃんだな。」
そう言って兵士は剣を煽るように振りながら近づく。
「来るな!」
少年は半泣きになりながら棒切れを振り回す。
「へへへ、大事な戦利品だ。抵抗するなよ?ん?」
腕が動かなくなったのに気づく。
「後ろに良い戦利品がいるよ?」
女の声だ。
振り向くと眼鏡をかけた女がいる。すぐに使えそうな年齢だったのでこちらを優先しようと歩き出そうとしたが、足が動かない。
「なんだ?」
男は激しく困惑する。周りを見る。天井にはびっしりと蜘蛛が張り付いていて、今自分の動きを封じているのは蜘蛛だとわかった。
「あれ?戦利品はいらない?じゃあね。」
そう言うと眼鏡の女は何か合図する。同時に蜘蛛が降りて来て兵士は縛り上げられた。
「お兄ちゃんかっこよかったね。」
シルヴィアは妹を庇っていた少年に微笑みかける。
少年は糸が切れたように泣き出した。
いざという時のために出口に控えていた俺はほっとした。
もう一人の兵士は村の男たちの猛烈な抵抗に遭い、多勢に無勢と逃げ帰ろうとしたがロスの放った矢が脇腹に突き刺さり落馬、捕えられた。
拘束された五人の兵士たちが村人から罵詈雑言を浴びせられる。
「彼らは?」
シルヴィアがロスさんに尋ねる。
「彼らは反帝国勢力の兵士。活動のためとか言って略奪行為を繰り返してる。」ロスさんが説明する。
「略奪ね…」
チャックが難しそうな顔をする。
「独立のためだ!とか言って規模の小さい村を略奪して女子供を連れ去るの。見つけたら殺して。」
ロスさんは気が立っているようだ。
「反帝国派も歓迎されてるわけじゃないんですね。」
俺は呟く。
「南部の人々は収奪してくる帝国を嫌ってる。でも反帝国を名目にやりたい放題するこいつらも嫌われてる。救いがないの。」
ロスさんの目は不快感に満ちていた。
全く救いのない話だ。だが、それは同時に俺たちが何らかの手を加える余地があるという意味でもある。
「暗くなる前に帰ろう。」
シルヴィアが今度こそとロスさんに言う。
ロスさんは頷くと歩き出した。




